ゼンハイザーから同社初となるサウンドバーが登場した。手軽にテレビの音の向上が図れるということで人気のサウンドバーだが、本機は物量的にも価格的にもまったく〝手軽〟ではなく、超本気なオーディオプロダクトとして仕上げられている。AMBEO(アンビオ)というのは、ゼンハイザーとフラウンホーファー研究機構が共同で行なっている立体音響のプロジェクトの名前。立体音響にまつわるさまざまなソリューションの提供を行なっている。
まずサイズ/重量ともにサウンドバーとしては異例の存在感に圧倒される。前面、側面、天面に計13基のスピーカーユニットが搭載されており、これらを500WのクラスDアンプがドライブ。ビームフォーミングテクノロジーを適用し、5・1・4の立体音響を1台のサウンドバーで実現するという。イマーシブオーディオのフォーマットは、ドルビーアトモス/DTS:Xに加え、360 Reality Audioに採用されているMPEG-Hオーディオにも対応。ネットワーク経由での音楽ストリーミングやNASに保存したハイレゾファイルの再生も可能だ。
今回は自宅の6畳間に32インチの液晶テレビとFire TV Stick、BDプレーヤー、AMBEO Soundbarを持ち込んで視聴した。まず付属のキャリブレーション用マイク(高さ70cmの棒の先に無指向性マイクが取り付けられている)で所要時間3分ほどの測定を実行。その後ストリーミングやBDでさまざまな映画を観たが、第一にスピーカーとしての音のよさが印象に残る。『メイキング・オブ・モータウン』(5.1chをアップミックスで再生)では、躍動的なビートやベースラインに6基のウーファーの効用がはっきり感じられるし、熱っぽいヴォーカルの再現力も数多のサウンドバーでは聴けなかったレベルだ。BD『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(ドルビーアトモス音声)の冒頭部分では、荒野を疾走するクルマの轟音が立体的な移動感をもって横切って行く。360 Reality Audio対応楽曲のコーネリアス「Forbidden Apple」も聴いてみたが、リンゴをかじる音が右斜め上方や左斜め後方から実在感たっぷりに再現された。
物足りない製品も少なくないサウンドバーだが、高音質のための物量と最高技術を惜しみなく投入すれば、ここまでの再生が実現できる。サウンドバーの新たな指針を示す、意義深い製品だと感じた。
SOUND BAR
SENNHEISER
AMBEO Soundbar
オープン価格(実勢価格32万5,000円前後)
●使用ユニット:[フロント部]ウーファー×6、トゥイーター×3
[サイド部]トゥイーター×2
[トップ部]フルレンジ×2
●アンプ出力:500W
●接続端子:HDMI入力3系統、HDMI出力1系統、デジタル音声入力1系統(光)、
アナログ音声入力1系統(RCA)、サブウーファー用プリアウト1系統、LAN1系統
●対応サラウンドフォーマット:ドルビーアトモス、DTS:X、360 Reality Audio、ほか
●サウンドモード:映画、音楽、スポーツ、ニュース、ニュートラル
●寸法/質量:W1,265 × H135 × D171mm/約18.5kg
●問合せ先:ゼンハイザージャパン(株) TEL. 03(6406)8911
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