バランス接続することにより、さらにダイナミック感が増す
無帰還の管球式アンプやエアーフロート方式の重厚なアナログプレーヤーを製造しているCSポートの新製品CMT1は、バランス入力も装備している昇圧トランスである。
同社のC3EQM2(フォノイコライザーアンプ)もバランス対応の昇圧トランスを内蔵しているわけだが、そちらは適合インピーダンスが3Ω〜20Ωで、CMT1は1.5Ω〜40Ωと広めの設定。コア材は共に透磁率に優れたスーパーパーマロイ。同社によると、CMT1はファインチューニング的な範疇で巻数を増やして対応力を広げているという。背面はオーソドックスな端子群で、グラウンドのフロートスイッチなどは装備しない。
本機は管球王国本誌のリファレンス環境で聴いている。フォノカートリッジをフェーズメーションPP-2000にして、私は最初にRCA端子のフォノケーブルを繋いで音を聴いてみた。元マンハッタントランスファーのシェリル・ベンティーンが歌うジャズアルバム「ワルツ・フォー・デビー」は、質感が高く声の上品な柔らかさが心地いい。続いて聴いたビッグバンドの「ビッグ・ファット・バンド」は、音数が多く切れ込みの鋭い迫力満点の演奏である。これは良いぞと、今度は同じ線材のXLR端子バランス型フォノケーブルに交換。オッと驚いたのは、ノイズフロアーが下がったことである。灰汁を抜いたように音楽が鮮やかに聴こえて、ダイナミック感がアップした。本機はバランス接続で聴くべき製品だ。