いまから約16年前、香港の地で産声を上げたスピーカーブランド、AIRPULSE(エアパルス)。開発チームを牽引するのは、伝説の名スピーカー「アコースティック・エナジーAE-1」を手がけたフィル・ジョーンズ氏だ。

 AE-1はビートルズ、ピンク・フロイドなどのビッグネームが重用したアビーロード・スタジオに、ニアフィールドのモニタースピーカーとして導入された小型2ウェイシステムで、当時、世界のオーディオファンから羨望のまなざしが注がれた名機だ。

 エアパルスのスピーカーシステムでも小口径のアルミニウムウーファーを採用しているが、これはまさに90mm口径のアルミニウム振動板ウーファーを搭載したAE-1に通じるもの。とはいえAE-1の当時の価格はペア32万円(ピアノブラック仕上げ)。誰にでも手軽に購入できるという代物ではなかった。

 

アンプを内蔵することで、低コストかつ高音質スピーカーを実現

「AE-1の感動をできるだけ多くのオーディオファンに届けたい」(フィル氏)。この熱い思いを実現するために開発されたのが、今回紹介するスピーカーシステム、A80およびA100 BT5.0の2モデルだ。

 

画像1: 名匠が作った画期的スピーカー!デスクトップの音宇宙に心打たれる。AIRPULSE『A80』『A100 BT5.0』

※ ブラック仕上げ。レッド仕上げは実勢価格10万5,000円前後
● 問合せ先:(株)ユキム ☎︎ 03(5743)6202

 

 最大の注目点は、アクティブ型(アンプ内蔵型)スピーカーとして仕上げられたことだ。ユニット毎にアンプが配置できる(バイアンプ駆動)だけでなく、そのスピーカーに最適化した設計が可能。つまりアクティブ型とすることで、コストを抑えつつ、音のいいスピーカーが提供できると考えたわけだ。

 ホーンロード型リボントゥイーター、大型ボイスコイルを組み込んだアルミコーンウーファー(A80は115㎜径、A100 BT5.0は127㎜径)ともに、フィル氏が開発を手がけた完全なオリジナルだ。磁気回路には優れた残留磁束密度、保磁力を誇るネオジウムマグネットが投入され、低歪みで、ダイナミックなサウンドを約束している。

 この贅沢なユニットを駆動するのが、専用に開発されたDSP制御のデジタルパワーアンプである。パワー素子としてはテキサス・インスツルメンツTAS5754を2基投入。PWM(パルス幅変調)周波数は通常のClass-Dアンプの2倍にあたる768kHzとして、リボントゥイーターならではの繊細な響きを積極的な引き出しているという。

 ちなみにTAS5754は1基で2ch駆動が可能なClass-Dアンプで、この両モデルの場合、1基で左右スピーカーそれぞれのリボントゥイーターを、別の1基で同じく左右それぞれのウーファーを駆動するというブリッジモードで接続(バイアンプ駆動)されている。

 入力はRCAアナログ2系統、デジタルUSB TypeB/光(最大192kHzまで対応)に加えて、高音質コーデックaptX対応のBluetooth接続が可能。さらにサブウーファー出力用のRCA端子も搭載している。内部配線材は高級オーディオ機器でも広く使われているトランスペアレント製だ。

 エンクロージャーはこのクラスとしては異例とも言える18㎜厚のMDF製で、実際に手にとってもガッチリとして、その剛性の高さが実感できる。特に上位機種A100 BT5.0は高級感のあるハイグロス・フィニッシュで、まさにAE-1を連想させる仕上がりだ。

 

この音が8万円台で入手できるとは!驚きのクォリティのA80

画像1: この音が8万円台で入手できるとは!驚きのクォリティのA80

 まずAmazon Music HDでヴォーカル、ジャズトリオと、聴き慣れた楽曲を選んでA80で聴いてみたが(パソコンとUSBで接続)、音の粒子感が鮮明に浮き上がり、質感が細やかだ。ダイアナ・クラールのハスキーボイスはなめらかさ、温かさを感じさせ、優しく、おおらかに歌う様子が、実に新鮮だった。

 そしてバックのベース、ピアノは程よい柔軟性を持ち、音の芯、骨格をていねいに描きあげていくイメージ。空間を漂うように拡がる緻密な響きと、ゆったりと深く沈み込む低音は、このクラスのスピーカーとしては傑出したもの。このサウンドがアンプ込みで8万円前後で入手できるとは、驚きだ。

ACTIVE SPEAKER SYSTEM
AIRPULSE
A80
オープン価格(実勢価格7万7000円前後)

画像2: 名匠が作った画期的スピーカー!デスクトップの音宇宙に心打たれる。AIRPULSE『A80』『A100 BT5.0』

 

画像2: この音が8万円台で入手できるとは!驚きのクォリティのA80

 

躍動するサウンドのA100 BT5.0。サブスクもライブ配信も出色の楽しさ

画像: 画面はベルリン・フィルのデジタル・コンサートホールの様子 ⓒKetterer Lucerne Festival

画面はベルリン・フィルのデジタル・コンサートホールの様子
ⓒKetterer Lucerne Festival

 ここで上級機A100 BT5.0に交代。外観はA80がそのままひと回り大きくなった印象だが、デスクトップとしても無理なく使えるサイズに納まっている。Amazon Music HDでビヨンセ「Daddy Lesson」(44.1kHz/16ビット)のロスレス音源を聴いたが、空間を覆い包むように拡がる優雅な響きに圧倒された。

 生々しい手拍子とかけ声をバックに、トランペット、ギターの響きが躍動し、あたかも目の前のステージで彼女が歌い、演奏しているかのような生っぽさが体験できる。それはけっして大袈裟ではなく、ロスレス音源の優位性をしっかりと感じさせてくれる出色のパフォーマンスだった。

 このままA100 BT5.0とTCL製液晶32インチテレビの組合せでYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」からYOASOBIの「優しい彗星」を視聴したが、これがまたいい。歌い始める前にかすかに聴こえるかすかな衣擦れ、息づかい、ヘッドホン装着時のメカノイズなどなど、その気配の生々しいこと。

 原作の物語を紹介するヴォーカル、ikuraの声は、目の前の映像に明確に定位して、ニュアンスが豊かだ。「フゥー」と息をはいて、ささやくように歌い始めるが、その声は徐々に勢いが増して、知らず知らずのうちにその世界に引き込まれていく。

 そして演奏との関係を強く意識しながら、ひとつひとつの歌詞をていねいに歌いあげていく様子が、手にとるように分かるのが実に楽しい。これぞまさに一発撮りならではの緊張感。収録現場の気配、雰囲気をここまで鮮明に描き出せるスピーカーは、そう多くはない。

 

ACTIVE SPEAKER SYSTEM
AIRPULSE
A100 BT5.0
オープン価格(実勢価格10万5000円前後、レッド仕上げ)

画像3: 名匠が作った画期的スピーカー!デスクトップの音宇宙に心打たれる。AIRPULSE『A80』『A100 BT5.0』

 

 

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