平成ガメラ3部作の第2作で、金子修介監督や樋口真嗣特技監督らによって制作された『ガメラ2 レギオン襲来』。リアルな設定や怪獣などに対しての緻密な考証など、日本の特撮映画のなかで確固たる地位を築いた作品だ。そんな本作が、2月11日(木)から全国7館のDOLBY CINEMAで期間限定上映が行なわれる。上映に先んじて実施された『ガメラ2 レギオン襲来』“ドルビーシネマ版”試写会での模様をレポートしたい。

誰も観たことがない“ガメラ”がいま甦る

 『ガメラ2 レギオン襲来』のドルビーシネマ化は、第1作と同様に撮影監督の木所寛がグレーディングを監修。音声は平成ガメラ3部作すべての音の設計・デザインを手掛けた録音技師の橋本泰夫をサウンドデザイナーに迎え、公開当時のドルビーサラウンド音源をベースに、レーザーディスク制作時の音源も部分的に使用してドルビーアトモス音響へリニューアルした。

画像: 誰も観たことがない“ガメラ”がいま甦る

 ドルビーシネマ版では、フィルムの深く沈んだ黒をていねいに再現しながら、暗部の階調も豊かに描いている。序盤では札幌に謎の流星群が飛来するが、そのときの一面の雪原と夜空の対比が美しい。隕石とともに飛来したレギオンは、小型の群体として札幌の地下鉄に出現するが、その場面も見物だ。暗いトンネルの中で不気味な物体が蠢く様子は、黒を深く沈めたトーンが恐怖感を増幅する。ドルビーシネマ版では、暗く見通しの悪い様子が実によく分かる。当時のままの感触でありながら情報量が大幅に増しているのだ。赤や青の照明を使って異様な雰囲気を伝える演出も、より色再現が鮮やかになったことで、場面の緊張感がよく伝わってくる。

 ガメラやレギオンの戦いも見応えたっぷりだ。ミニチュアの都市や新造形のガメラなどはディテイルも豊かで、さらに迫力を増している。ガメラのプラズマ火球もCGを駆使したよりリアルなものになっており、炎の燃え上がるような輝きがより豊かに再現される。レギオンの放つ光線も青みを帯びた光が鮮やかだ。HDRの高輝度表現をしっかりと活かした映像に仕上がっているし、ドルビーシネマの高いコントラストで映像の迫力は倍増している。

 音の迫力も見事なものだ。自衛隊によるミサイル攻撃は後方から前方へと移動してレギオンに命中するし、札幌での草体の破壊で炎上する都市の様子も、四方のあちこちで爆発音が炸裂するなど、臨場感満点。また無数の群体が飛翔する翅レギオンが飛び交う場面では、まさに無数の羽音が場内を飛び回っている。ドルビーアトモスの自由自在な音場定位を活かし、作品の持つ本来の魅力をさらに高めている。

特撮好きな人にとっては見逃せないシーンの連続。大画面でじっくりと観たい

 本作は映画制作においても、デジタル合成などが本格的に採用されており、特撮映画としてのクオリティも大幅に高まっている。ミニチュアで再現された札幌や仙台の街は精密な姿を見せ、壊滅的な被害を受けるショッキングな場面を、説得力のある映像で再現している。ドルビーシネマ化で情報量が増したこともあり、当時の特撮のレベルの高さを改めて実感できるだろう。着ぐるみのスーツやミニチュアの操演による映像が、これほどまでにリアルな存在感と迫力を伝えてくることに驚くはず。怪獣映画としても指折りの傑作と言える作品だが、その本来の姿がようやく甦ったと感じた。

 公開当時から高く評価され、今でも熱心なファンの多い作品だが、ぜひともドルビーシネマの特大スクリーンで観てほしい。長年のファンにとっては、今まで見ることができなかったガメラだと思うし、初めて観る人は日本の特撮の技術力にびっくりするはずだ。なにより、巨大な怪獣が大暴れする様子は巨大なスクリーンでなければ迫力は伝わらない。ドルビーシネマで『ガメラ2 レギオン襲来』の凄さを体感してほしい。

映画『ガメラ2 レギオン襲来』ドルビーシネマ版

2月11日(木)より期間限定上映
<上映館>
東京 丸の内ピカデリー
神奈川 T・ジョイ横浜
埼玉 MOVIXさいたま
愛知 ミッドランドスクエアシネマ
京都 MOVIX京都
大阪 梅田ブルク7
福岡 T・ジョイ博多

配給:KADOKAWA
(C)KADOKAWA 日本テレビ 博報堂DYメディアパートナーズ 富士通 日販/1996

4Kデジタル修復Ultra HD Blu-ray【HDR版】
『ガメラ 大怪獣空中決戦』    発売中
『ガメラ2 レギオン襲来』    3月26日発売
『ガメラ3 邪心<イリス>覚醒』 3月26日発売
各¥7,800(税別) 発売・販売:KADOKAWA

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