特撮映画『大怪獣ガメラ』(1965年)の公開から55年、平成ガメラ『ガメラ 大怪獣空中決戦』(1995年)から25年という節目を迎える2020年。KADOKAWAでは本年をガメラ生誕55周年のメモリアルイヤーと位置づけ、さまざまなプロジェクトを始動。
その第一弾として、平成ガメラ3部作の1作目『ガメラ 大怪獣空中決戦』を、35mmオリジナルネガフィルムから新規にリマスターを行ない、4K/HDRマスターを作成。本日11月27日(金)より全国7館で「ドルビーシネマ」上映を行なう。ちなみに11月27日は、1965年に『大怪獣ガメラ』が公開された日だ。
ここでは、上映に先駆けて行なわれた試写の模様を簡潔にレポートしたいと思う。試写会場はドルビーシネマ認定のIMAGICA Lab.第2試写室だ。
さて、本『ガメラ 大怪獣空中決戦』はナイトシーンが多いこともあって、SDRフォーマットであったBDソフトでは、もちろん細心の注意を払ってリマスターが行なわれていたのだが、冒頭の海洋シーン、ガメラが上陸するシーン、あるいは後半の自衛隊とガメラの戦闘シーンなどは、どうしてもノイズが多く、ディテイルの判別が難しい部分もあったのだが、今回のHDR化によってそうした瑕疵(?)は一気に払拭。1995年上映時の記憶をはるかに塗り替える(当たり前だが)、細密で彩度や輝度の高い極上の映像が楽しめるようになっていた。
海洋シーンではノイズはあるものの、月あかりに照らされた水面の煌めきが美しく、波紋のディテイルもはっきりと視認できる。
ガメラ上陸シーンでは、ガメラの肌(?)を滴り落ちる海水のシズル感が極上。ゴツゴツと隆起した肌の先端部分が、水滴と合わさって鈍く光るさまは、まるで日本刀の波紋のような美しさを放っている。
自衛隊との夜間の戦闘シーンも、近景と遠景のディテイルがはっきりと描写され、うじゃうじゃと蝟集するように集まる戦車軍と、遠方に対峙するガメラの重厚感が、同一の画面内で楽しめるようになっていた。
ラスト近辺で描かれるガメラの放つ火球や、燃え上がるコンビナード群の炎の映像も、見事に再現されている。
さらには、ギャオスが倒壊した東京タワーに降り立ち休息するという、夕景をバックにした有名シーンについても、夕日の発するオレンジ色の彩度の高さは目を見張るものがあるし、その全景の美しさは油絵による絵画のような仕上がり。
女優陣もHDR化によってさらに美しさが増しており、中山忍は目の中に光るアイキャッチが極上だし、当時10代であったセガールの娘 藤谷文子の肌のきめの細やかさもはっきりと視認できるほど。その一方で、合成シーンは大バレしているのだが、そこは気が付かないふりをしよう。
当時の風俗――パジェロ、大きな携帯電話、ソニーのテレビ プロフィールスター、日本テレビのニュースキャスター/アナウンサー陣、当時できたばかりの福岡ドームなどなど――も、鮮明・鮮鋭な映像で楽しめる。
ドルビーシネマというと、これまでは暗部の再現性に重きがおかれているように感じることも多かったが、本『ガメラ 大怪獣空中決戦』では、暗部の締まりだけでなく、煌めきのピーク感、鮮やかな色彩といった各種要素が高次元に楽しめる仕上がりとなっていた。
映画『ガメラ 大怪獣空中決戦 4K HDR』
11月27日(金)より、Dolby Cinemaにて期間限定上映
平成ガメラ3部作がUltra HD Blu-rayで2021年1月29日に発売
・4Kデジタル修復版 Ultra HD Blu-ray 各¥7,800(税別)
・4Kデジタル修復版 Blu-ray 各¥4,800(税別)
展示&物販イベント「ガメラ アキバ上陸」
日程 11月27日~12月26日まで開催
会場 DUB GALLERY AKIHABARA
入場料 特典付き¥1,000(中学生以上、税込)、小学生以下 無料(特典なし)