ALR(耐外光)は正面からのプロジェクター光源のみを返す特徴がある。そのため、このような昼間の外光が入るシーンでも比較的高コントラストの映像が写し出せる

明るい場所で投写できる喜び

 米国テキサス州オースティンに本拠を置くスクリーンイノベーションズ社は、灯を残した部屋でもコントラストが維持できるALR(Ambient Light Rejection)スクリーン開発に定評がある。今般HiViグランプリのペリフェラル部門賞を受賞したキクチSPA-UTと同系統の製品も展開している。

 SPA-UTは上方からの光を遮り下からの光を反射させるレンチキュラー・タイプだったが、本製品「Slate(スレート)」はそうではない。塩化ビニール素材の幕面に、黒の顔料を混ぜ合わせたコーティング材を塗布して耐外光性能を持たせたスクリーンである。同社には「スレート」の他に「ブラックダイアモンド」というシリーズがあるが、前者のコーティングは単層、後者のそれは複層という違いがある。

 また、スレートにはゲイン0.8と1.2の2種類がある。輸入元のキクチ科学によれば、ゲインの低い前者のほうが黒表現で有利ということで、電動100インチタイプ(ゲイン0.8)にソニーVPL-VW855の映像を投写し、その画質を精査させてもらった。

 光の拡散性の高い蛍光灯の一灯全体照明下では、APL(平均輝度レベル)の高いスポーツ中継はコントラストのしっかりとした明快な画質が得られ、「超大型テレビ」と形容したくなる映像が楽しめた。しかし、APLの低い映画のナイトシーンでは暗部がつまり気味となり、ホワイトスクリーンに比べればずいぶんマシだが、やはり黒は浮く。

 そこで、照明を光が拡散しにくいLEDのダウンライトに変更してみると、映画のナイトシーンの黒の黒らしさが維持され、ずいぶん好印象となった。現在は、天井に吊るした色温度の高い蛍光灯で一灯全体照明としたリビングルームは少ないと思うが、このスクリーンを大画面テレビ感覚で使いたいなら、光が直進してスクリーンに映り込みにくいLEDダウンライト照明とするべき。また、照明を全部落とした状態では、色乗りのよい濃厚な画調が味わえ、これはこれで大きな魅力がある。米国では、ALRスクリーンはホワイトスクリーンを駆逐する勢いで売上げを伸ばしているという。

画像: 明るい場所で投写できる喜び

SCREEN
Screen Innovations
Slate 0.8

オープン価格
(100インチ巻き上げ式の場合、実勢価格80万円前後)
●ゲイン:0.8 ●半値角:30度
●問合せ先:(株)キクチ科学研究所 TEL. 03(3952)5131︎

画像: ALR(耐外光)は正面からのプロジェクター光源のみを返す特徴がある。そのため、このような昼間の外光が入るシーンでも比較的高コントラストの映像が写し出せる
ALR(耐外光)は正面からのプロジェクター光源のみを返す特徴がある。そのため、このような昼間の外光が入るシーンでも比較的高コントラストの映像が写し出せる

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