1990年にFIFAワールドカップ・サッカーの前夜祭として、イタリアで開催された“三大テノール”によるコンサート。その舞台裏を描いた『甦る三大テノール 永遠の歌声』が2021年1月8日から全国公開される。

 このコンサートはこれまでも映画化されているが、本作はカラカラ浴場やドジャー・スタジアムなどでのコンサート映像や未公開のバックステージ映像、関係者のインタビューなどで構成したドキュメンタリー作品となっている。

 そんな期待作の初号試写が、東京・五反田のIMAGICA試写室で行われた。今回そこに参加する機会を得たので、その模様をリポートしたい。

画像1: 『甦る三大テノール 永遠の歌声』試写会リポート。世界中を魅了し、クラシックの楽しさを多くの人に伝えた“三大テノール”の貴重なバックステージ映像とインタビューで構成したドキュメント

1990年イタリアの“三大テノール”が、世界中に愛されて行く様子を描く

 1990年にイタリアで開催された“三大テノール”によるコンサート。オペラのテノール歌手三人、しかもルチオアーノ・パヴァロッティ、プラシド・ドミンゴ、ホセ・カレーラスという当時の大スターが同じ舞台に立つという普段ならありえない出来事が大きな注目を集めた。この公演の映像作品やCDは日本でも大ヒットしたので、覚えている人も多いだろう。

 その『甦る三大テノール〜』では、同じテノール歌手としてライバル関係にもあった三人が顔を合わせたときの様子、打ち合わせやリハーサルなど、これまで見ることのなかった貴重な映像とともに、それぞれの素顔や歌声を満喫できる作品になっている。

 当時の音源はすべて5.1チャンネルにリマスターされ、鮮度の高い音で甦った。ローマのカラカラ浴場の音の響きが豊かに再現されるし、アメリカのドジャー・スタジアムの公演では、広大な空間をリアルに再現する。ここではスタジアムにステージを設営する映像など、これまで“三大テノール”を知っているはずの人でも、初めて見る映像がいっぱいだ。

 そして、三人の打ち合わせやプライベート映像なども、ファンにはたまらない内容になっている。加えて指揮者のズービン・メータらの関係者が、三人の素顔や予想を超えた大人気となった“三大テノール”のその後について語っていく。

 1回で終わるはずだったコンサートは、1994年のワールドカップ・アメリカ大会で再び開催。世界で100以上のネットワークで放送され、13億人が視聴したという。その後もフランス(1998年)、日本(2002年)で開催された。

 こうして成長を遂げた“三大テノール”は、クラシックの魅力を若い世代も含めた多くの人に知らしめ、オペラファンの拡大にも貢献した一方で、商業主義的と批判もされるなどの歴史にも触れていく。作品ではそこから2007年のルチアーノ・パヴァロッティの死去とその後までを描いている。

画像2: 『甦る三大テノール 永遠の歌声』試写会リポート。世界中を魅了し、クラシックの楽しさを多くの人に伝えた“三大テノール”の貴重なバックステージ映像とインタビューで構成したドキュメント

“三大テノール”のコンサートをもっと見たくなる、バラエティ豊かなステージ

 コンサートの楽曲はもちろんオペラが中心だが、アメリカでの開催では「マイ・ウェイ」や「ニューヨーク・ニューヨーク」といったポップスも歌われるなど、開催国に合わせた選曲も行われていた。3人が歌うポピュラーミュージックは実に魅力的で、各国でのコンサートをCDでじっくりと聴き直したいと思ったほどだ。

 そして、世界で活躍する“三大テノール”の素顔、コンサート前の音楽への姿勢などが見られるのは、とても貴重だ。それぞれの魅力がたっぷりと詰まっているし、世界的な大人気となった理由もよくわかる。大スクリーンと質の高い音響設備の整った映画館で見れば、その面白さは倍増するはずだ。

 当時から“三大テノール”に魅了されてきた人はもちろん、“三大テノール”の名を知らなかった人にも、彼らの魅力が充分伝わる魅力的な作品に仕上がっている。

『甦る三大テノール 永遠の歌声』

画像3: 『甦る三大テノール 永遠の歌声』試写会リポート。世界中を魅了し、クラシックの楽しさを多くの人に伝えた“三大テノール”の貴重なバックステージ映像とインタビューで構成したドキュメント

●2021年1月8日 Bunkamuraル・シネマほか全国公開
●出演:ルチアーノ・パヴァロッティ、プラシド・ドミンゴ、ホセ・カレーラス、ズービン・メータ、ニコレッタ・マントヴァーニ、マリオ・ドラティ、ラロ・シフリン、ポール・ポッツほか
●2020年ドイツ作品
●ビスタ
●94分
●配給:GAGA

<歌唱楽曲>
『アルルの女』より「フェデリコの嘆き」、『港の酒場の女』から「そんなことはあり得ない」、『帰れ、ソレントへ』、『太陽の土地』、『シェリト・リンド』より「ペドロ・インファンテ」、『マッティナータ』、『バラ色の人生』、『オ・ソレ・ミオ』、『ウエスト・サイド物語』より「アメリカ」、『マイ・ウェイ』、『ニューヨーク・ニューヨーク』、『トスカ』より「星はひかりぬ」、『グラナダ』、『トスカ』より「妙なる調和」、『トゥーランドット』より「誰も寝てはならぬ」

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