おおらかだけれど雑把にあらず。スケールの大きいサウンド
Monitorシリーズは、Platinumをはじめとするホームオーディオ向けモニターオーディオ・スピーカーの新規エントリー製品。そのトップエンドに位置する代表作が当機、Monitor300である。背丈がほぼ1mもあるリアバスレフ型エンクロージュアに、16.5㎝径のダブルウーファーと同径ミッドバス、および2.5㎝口径のC-CAMハードドームトゥイーターを組込んだ大掛かりな2.5ウェイシステムだ。
ウーファーとミッドバスの逆ドーム状コーンは金属粒子を混ぜ込んだポリプロピレンで、オレンジ色に着色されて独自の存在感を放つ。C-CAMトゥイーターとの比類なきコンビネーションというわけだろう。
そうした外観が示唆するとおりのサウンドを響かせるスピーカーだ。低域優勢型だが、それほど伸びているわけではない。スケールが大きいのである。バスレフポートにフォームプラグを差込むことで多少のチューニングもおこなえる。
とはいえマッシヴに迫り来るタイプの音とはちがう。むしろつつましやかな音色でゆったり、ふんわりした空気感を漂わせつつ陽春の大河は流れるといった感じだ。けれん味のない音楽になごんでいると、時折りスーッと澄んでニュアンス豊かなC-CAMトゥイーターのオーバートーンが流れを横切り、思わず目を見張る。おおらかだけれど雑把にあらず。文字どおりの異色作だった。
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