英国Qアコースティクスのスピーカーといえば、コンパクトで洒落た佇まいながら、エンクロージャーの部材に独自のメソッドを採り入れるなど、ユニークなアプローチで知られる。今回試聴したConcept 500/300の2機種とて例外でなく、非硬化性ゲルによる3層構造の板材が用いられており、振動を熱に変換・吸収するシステムが継承されている。また、新たに導入された「Point 2 Point」技術による内部の振動解析で適材適所のブレーシングを施し、より効果的な補強法が確立された点にも注目したい。

画像: Speaker System  Q Acoustics   Concept 300(左)、Concept 500(右)

Speaker System Q Acoustics  Concept 300(左)、Concept 500(右)

 両機種のドライバーユニットは共通だ。28mmのソフトドーム型トゥイーターは、ラバー製ガスケットに取り付けられ、エンクロージャーの固定時にはフローティングされた状態となる。165cmコーン型ウーファーは含浸コーティング仕様。ふたつのドライバーは近接配置され、特にConcept 500の方はトゥイーターを2基のウーファーで挟んだ仮想同軸レイアウトとなっている。また、内部配線に英QED社のハイエンドケーブルが使用されている点も共通である。

画像: ←Concept 300

←Concept 300

画像: ←Concept 500 両モデル共通のスピーカーユニット。28mmドーム型トゥイーターは実はキャビネットと構造的に分離した状態で共振を防いでおり、165mmの中・低域コーン型ウーファーとかなり近い位置に配置されている。Concept 500はふたつのウーファーがトゥイーターを挟み込む仮装同軸レイアウトで定位感の向上を図る

←Concept 500
両モデル共通のスピーカーユニット。28mmドーム型トゥイーターは実はキャビネットと構造的に分離した状態で共振を防いでおり、165mmの中・低域コーン型ウーファーとかなり近い位置に配置されている。Concept 500はふたつのウーファーがトゥイーターを挟み込む仮装同軸レイアウトで定位感の向上を図る

専用スタンド設計の妙が光る、ヴォーカルのツヤと定位感

 ブックシェルフ型のConcept 300は、たいそうユニークな構造の専用スタンドとのセット。ひじょうに細いステンレススチール製ロッド3本によって構成された専用設計のそれは、「テンセグリティ・スタンド」と命名され、自身の圧縮または張力によって安定に自立し、調整箇所ひとつで容易に水平を保つことができる。また、表面積が少ないことから、スタンドによる変位とそれに伴なうスピーカーのパフォーマンスの変化をほとんど無視できるレベルまで低減しているという。エンクロージャーのベース部分に免震構造を採り入れたことも興味深い。「サイロダンプ」と呼ばれる特殊な素材を介し、スピーカー本体は4本のスプリングによって浮いた状態になっているのである(底部を下から覗き込むと、その機構がわかる)。

画像: Concept 300は、スタンドにガッチリと固定「しない」のがユニークなポイント。スピーカーの底に免震機構 (アイソレーション・ベース) を使用した一体型のプレートを取り付け、4点のスプリングの上にスピーカーが乗る構造となっている

Concept 300は、スタンドにガッチリと固定「しない」のがユニークなポイント。スピーカーの底に免震機構 (アイソレーション・ベース) を使用した一体型のプレートを取り付け、4点のスプリングの上にスピーカーが乗る構造となっている

画像: Concept 300を受けるのが薄型の硬質ステンレススチール・バーによる三脚型スタンド。一般的な構造のスタンドと比べて共振が少ないという

Concept 300を受けるのが薄型の硬質ステンレススチール・バーによる三脚型スタンド。一般的な構造のスタンドと比べて共振が少ないという

 フワッと宙に浮かんだヴォーカル音像。その定位感の明瞭さこそがConcept 300の真骨頂だ。加えてこのサイズでも必要充分な低域のエネルギーが確保されており、トーンバランスにもまったく不満はない。華奢に映る専用スタンドだが、こうしてパフォーマンスに触れると、実に入念に設計されているであろうことがうかがい知れる。

 音色には適度な色艶がある上、ステレオイメージは奥行方向に深く提示され、エンクロージャーでの反射コントロールだけでなく、巧みなサウンドチューニングが施されていることと想像する。サン・サーンスの交響曲第3番を聴くと、重厚なオルガンが音場の奥の方から立体的に響いてくることがわかった。映画UHDブルーレイ『ブレードランナー2049』のクライマックスシーンでも、セリフの克明な定位感、効果音の微かなニュアンス再現がとてもうまい。

画像: 専用スタンド設計の妙が光る、ヴォーカルのツヤと定位感

Speaker System Q Acoustics Concept 300 ¥450,000(ペア・スタンド付属)+税
●型式:2ウェイ2スピーカー・バスレフ型
●使用ユニット:28mmソフトドーム型トゥイーター、165cmコーン型ウーファー
●クロスオーバー周波数:2.5kHz
●出力音圧レベル:84dB/2.83V/m
●インピーダンス:6Ω
●寸法/質量:W220×H355×D430mm/14.5kg
●寸法/質量(スタンド):W492×H690×D400mm/3.9kg

サブウーファーいらずの低重心、豊かな音は映像にもよし

 トールボーイ型のConcept 500には、「HPE(ヘルムホルツ・プレッシャー・イコライザー)」テクノロジーなる技術が採用されている。これは、キャビネット内全体の圧力を低減するもので、部分的不均衡に陥りがちなトールボーイ型特有の共振の問題を回避することができるという。脚部のデザインと仕上げもひじょうにエレガントだ。

画像: Concept 300/500共にバイワイヤリング接続に対応。また、両モデル共通で高域のレベルをー0.5/0/+0.5dB調整できる。写真上のピンの抜き差しで切り替える仕組みで、3つの穴のうち、左と中央にピンを差した写真の状態がデフォルト、抜いて何も差さっていない場合が−0.5dB、中央と右に差した状態が+0.5dBとなる

Concept 300/500共にバイワイヤリング接続に対応。また、両モデル共通で高域のレベルをー0.5/0/+0.5dB調整できる。写真上のピンの抜き差しで切り替える仕組みで、3つの穴のうち、左と中央にピンを差した写真の状態がデフォルト、抜いて何も差さっていない場合が−0.5dB、中央と右に差した状態が+0.5dBとなる

 こちらは仮想同軸システムならではと言えるリアルな音像描写と抜群の定位感が持味。音像フォルムが肉厚で実在的な点も、さすがは上位モデルらしい再現力といえよう。

 Concept 300よりもエンクロージャーサイズが大きいにも関わらず、本機の方がステレオイメージが一段と広がりを伴なって再現されるのは、やはりエンクロージャーの共振制御の追込みが的確になされている証ではなかろうか。音がまとわりつく感じがなく、トランジェントが抜群によいのだ。『スペクトラム/上原ひろみ』のソロピアノは、俊敏なメロディーがきわめてスピーディーに展開。サン・サーンス交響曲第3番では、重心の低い堂々としたパイプオルガンが堪能できた。

 デノンのPMA-SX1リミテッドで2ch再生で観たUHDブルーレイ『ブレードランナー2049』では、サブウーファーは要らないと感じたのが意外だった。それほど低域は充実しており、空中戦の衝突音、波飛沫の強さ、野太い銃声などが生々しく再現された。セリフのボディ感もたいへんしっかりしており、AVユースでのパフォーマンスは秀逸とみた。

画像: サブウーファーいらずの低重心、豊かな音は映像にもよし

Speaker System Q Acoustics Concept 500 ¥600,000(ペア)+税
●型式:2ウェイ3スピーカー・バスレフ型
●使用ユニット:28mmドーム型トゥイーター、165cmコーン型ウーファー×2
●クロスオーバー周波数:2.5kHz
●出力音圧レベル:90dB/2.83V/m
●インピーダンス:6Ω
●寸法/質量:W400×H1150×D350mm/42kg
●問合せ先:(株)イースタンサウンドファクトリー TEL 045(548)6592

This article is a sponsored article by
''.