日本の有機ELディスプレイメーカー、JOLEDが新型印刷・RGB有機ELパネルを、ラスベガス・コンベンションセンターに隣接するウエストゲイトホテルで公開した。
これまでの21.6型に加え、新たに27型と32型がデビュー。昨年11月に稼働した能美事業所(石川県)での、第5.5世代のガラス基板(1300×1500mm)ラインから取り出された、出来たてほやほやの新作パネルだ。能美事業所の月産能力は2万枚(ガラス基板投入ペース)とされ、今後の印刷方式有機ELパネルの活用拡大が期待される。
初代の21.6型は、まずソニーの医療用モニター、次に台湾の大手パソコンメーカー、ASUSのプロフェッショナルモニター、そしてEIZOの有機ELディスプレイ「FORIS NOVA」に搭載された。
「FORIS NOVA」は、私が昨年見たテレビ、ディスプレイで、もっとも好ましいと判断した画質、画調を持つ。「FORIS」は液晶テレビが出始めた頃にもあったシリーズ名だ。液晶テレビはまだまだだといわれていた頃に、しっとりした画質で、高い評価を得ていた。
NOVAとは“新星”の意味。新世代の「FORIS」として、伝統にも乗った名前だ。画質は実に上等だ。ピーク輝度は330nitsと低い数値なので、明るい環境で高輝度で見る用途には向かない。でも少し暗い環境では好ましい画調だ。
これ見よがしではない自然な精細感と階調感が美質。有機ELらしい、自発光ならではの滑らかさがあり、強調感、押し出し感のない、生成り的なあるがままのビジュアルだ。
印刷方式有機ELパネルは、多くの有機ELテレビで使われている白色有機ELパネルと異なり、RGBのサブピクセルから直接カラーが発光するのがメリット。27型、32型のアプリケーションも拡がるだろう。特に32型は家庭でのかつてのハイビジョンのデファクトサイズだった。有機ELテレビは、現在48型が最小なので、コンパクトな有機ELテレビが欲しい向きには最適な逸品だろう。