残暑が厳しすぎる中、「夏フェス」の代表格である『サマーソニック』が終演した。20周年を迎えた『サマソニ』だが、来年2020年は東京オリンピック開催の都合で“お休み”することが発表されている。

同じ理由で例年より1ヶ月遅い開催となるのが、当コラムの“②”で紹介した『フジロックフェスティバル』。2020年の『フジロック』は8月21日から23日の3日間開催であると告知された。

画像: 雨が降るのも「フジロック」、とはいえども、2日目の豪雨には辟易とした方も多いのでは……。写真はメインステージの「GREEN STAGE」の様子。初日と3日目は実に過ごしやすかった

雨が降るのも「フジロック」、とはいえども、2日目の豪雨には辟易とした方も多いのでは……。写真はメインステージの「GREEN STAGE」の様子。初日と3日目は実に過ごしやすかった

『フジロック』、『サマソニ』どちらも参加した2019年、例年以上によく“濡れた”なぁと感じている。フジロックでは一部イベントが中止になるほどの豪雨で、先週末の『サマソニ』ではうだるような暑さによる汗で……。

『サマソニ』では熱中症対策の積極的に放水も実施していて、特にメインステージ=「MARINE STAGE」の放水は“もはやシャワー”。ここではたと思い出したのがやはり“②”で紹介した『S2O』のこと。

天候に恵まれなかったものの、早速“ずぶ濡れロス”に……
『S2O JAPAN SONGKRAN MUSICFESTIVAL 2019』

7月13日、14日に実施された『S2O JAPAN SONGKRAN MUSICFESTIVAL 2019』は、タイ発祥の水かけ祭り「ソンクラーン」と夏フェスが融合した催しであることは以前紹介した通り。次のイベント紹介の前に、この振り返りをしておきたい。

画像: 会場はサマソニのビーチステージと同じ場所、言うとわかりやすいかもしれない。造営物の規模感、水の量などは本国と比べても申し分なし

会場はサマソニのビーチステージと同じ場所、言うとわかりやすいかもしれない。造営物の規模感、水の量などは本国と比べても申し分なし

海外から輸入されたこの手のイベントで気になるのは、本国と比べてどうなの? ということ。この点、「水かけ」という観点から言えばまったく遜色なし。“もはやシャワー”が音楽に合わせて、タイミングよく降り注ぐ。

水を浴びていて“ここは違うな”と思ったのは、水がしっかり消毒されていそうだったということ。やや塩素臭がするということなのだが、バンコクの『S2O』でもっとも心配していたことが、「口に入った水にあたらないか」ということだった。そういう意味ではとても嬉しい配慮であり、歓迎すべき日本ならではの大きな違いであったと言える。

画像: 放水部隊による散水も、本国同等のパフォーマンスで会場を沸かせる

放水部隊による散水も、本国同等のパフォーマンスで会場を沸かせる

しかし、来年以降に改善希望点がなかったわけではない。まずは音響について。会場は県立幕張海浜公園 S2O JAPAN特設会場、つまりサマソニのビーチステージと同じ場所だったのだが、どうしても音が海風に流されてしまう。最前列にいればともかく、後方でもボディソニックと水が同時に迫る醍醐味を味わえる……というわけにはいかなかった。

そして、何より残念だったのは、天候に恵まれなかったこと。こればかりは運営の力ではどうしようもないけれど。先週末のような、うだるような暑さの中で開催してくれていれば……と思うことしきり。2020年の同会場での開催はできないはずなので、場所と時期を変えての開催を期待したい。

今週から暑さは和らいでいくとは聞いているものの、炎天下の東京で過ごしていると、また“ずぶ濡れになる”フェスに参加したいなぁと思ってしまうのである。

今年も4K放送に期待!
ハイレゾでプレビューする『東京JAZZ』

画像: 今年も4K放送に期待! ハイレゾでプレビューする『東京JAZZ』

前振りが長くなってしまったが、これからのイベントは言ってみれば「秋フェス」。秋だからというわけではないが、また違った味わいがある『東京JAZZ』をご紹介したい。

『東京JAZZ』はもちろんジャズミュージシャンの出演を中心とした音楽イベントであり、8月30日、31日、9月1日の3日間にわたって開催される。2019年で18回目を迎える長寿フェスだが、近年は渋谷のNHKホールをメイン会場として、勢いをましている印象だ。

いわゆる“レジェンド”の出演で長らくのジャズファンだけを相手にするのではなく、若手の積極登用でファン層の拡大を狙う意図がしっかりと見て取れるのだ。特にカマシ・ワシントン、スナーキー・パピーなどはロックファンの心にも刺さりそうなラインアップ。MISIA×黒田卓也のステージも面白い。なぜジャズフェスにMISIAが? と思われる方は、ぜひ一度音源を聴いていただきたい。トランペット奏者:黒田卓也のアレンジで生まれ変わったMISIAの楽曲はハイレゾで映える。

まったく若手感はないけれど、ミシェル・ンデゲオチェロや、アヴィシャイ・コーエン・トリオ(ドラムはマーク・ジュリアナ)というセレクトも素晴らしい。おもねった感じのしないこのブッキング、果たして集客の方は……というと、多くのチケットがソールドアウト。一部席は購入可能のようなので、ご確認はお早めに。

さらに、本イベントが素晴らしいのは、NHKホールの外で“無料”で楽しめるイベントが充実していること。代々木公園ケヤキ並木は「thePlaza」という名前で野外ステージ&飲食店街と化す。

また、毎年恒例となっているNHKでの番組放送があることも見逃せない。「フジロック」&「サマソニ」はYouTubeでの配信が話題だったが、かっちり編集されたライヴ番組となるこちらの後日放送にもぜひ注目を。現状での放送は未定だけれど……。(HiVi編集部・柿沼)

『第18回 東京JAZZ』
●2019年8月30日〜9月1日@渋谷NHKホール他
●「the Hall」でのライヴは「daytime」と「evening」の2部制
●チケットはB席 ¥3,800〜プラチナ・パッケージ ¥19,800(全席指定)
※SS席 1日通し券は¥24,600

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