映画評論家 久保田明さんが注目する、きらりと光る名作を毎月、公開に合わせてタイムリーに紹介する映画コラム【コレミヨ映画館】の第26回をお送りします。今回取り上げるのは、大人気シリーズの最終章となる『X-MEN:ダーク・フェニックス』。はちゃめちゃアクションの連続で、これが見たかった! の大盤振る舞い。登場人物それぞれにもきちんと見せ場を用意するなど、大団円を迎えます。とくとご賞味ください。(Stereo Sound ONLINE 編集部)
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『X-MEN:ダーク・フェニックス』
6月21日(金)より全国ロードショー
超能力者は社会から疎(うと)まれ、差別される存在。という視点で、2000年にシリーズがスタート。その後4作目の『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(2011年)で時代がさかのぼり、ジェームズ・マカヴォイ(プロフェッサーX)、マイケル・ファスベンダー(マグニートー)、ジェニファー・ローレンス(ミスティーク)などキャストを一新。計6作が作られてきたX-MENシリーズの最新第7作。
地に足が着いた上で、メチャクチャに派手! ナイトクローラー、ビースト、サイクロップス、ストーム、そしてマグニートー、プロフェッサーXなどメンバーそれぞれに見せ場があり、列車上での敵味方入り乱れる大乱闘などアクションが物語を紡いでゆく。痒いところに手が届く。こりゃ面白いわ!
演出のサイモン・キンバーグは脚本、製作でシリーズに関わってきた人物で、X-MENワールドのスピンオフである『デッドプール』2部作や『LOGAN/ローガン』にも参加している。初監督作となったここで、大盤振る舞いをしながら、シリーズにひとつのピリオドを打ちたかったのだろう。
第1作からの貢献者であるブライアン・シンガー監督は、過去の少年への性的虐待が問題視され、シリーズから離脱。今回は参加していない。また大元の20世紀フォックスがウォルト・ディズニー・カンパニーに約8兆円という巨額で買収され、今後はその傘下で製作をつづける。現状ではX-MENも20世紀フォックスも、『スリー・ビルボード』などを発表してきたフォックス・サーチライト・ピクチャーズも、ディズニー・グループ参加後の進路が見えないのだ。
今後のX-MENはマーベル・スタジオの超敏腕ケヴィン・ファイギが統括することになるのだから万歳。でも同時に、何もかもがユニバースに雪崩れこんでゆくのはどうかなあと思うんだよね。メチャ楽しかったけれど、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのあいつらはいつまでも宇宙の風来坊でフラフラしていてほしかった気がするし。
古参の女性メンバー、ジーン・グレイのテレキネシス(念動力)が暴走モードに突入する第7作。加えて、『ゼロ・ダーク・サーティ』や『女神の見えざる手』のジェシカ・チャスティンが、チャスティン史上最高に笑える役柄で登場する。女の時代。上手いなあ。演技派は暴れてもスゴイんです!
『X-MEN:ダーク・フェニックス』
6月21日(金)より、TOHOシネマズ日比谷ほかにて全国ロードショー
監督・脚本:サイモン・キンバーグ
原題:DARK PHOENIX
配給:20世紀フォックス映画
2019年/アメリカ映画/1時間54分/シネマスコープ
(C)2019 Twentieth Century Fox Film Corporation