5月25日(土)午後、東横線学芸大学駅近くのオーディオショップ、ホーム商会で、UA(ウルトラアート)レコード初のアナログLPレコード『Balluchon(バルーション)/小川理子』の試聴イベントが開催された。
解説に登場したのは、UAレコードの代表&副代表である潮晴男さんと麻倉怜士さん。今回はアナログレコードを発売した意図を解説すると共に、そのクォリティを実際にユーザーに体験してもらおうという狙いで開催されている。
冒頭、既発売のCD『Balluchon』についての解説からスタートした。まず今回のCD作成時に2種類のデジタル録音機器で収録したデータをディスクに焼いたCD-Rの音を聴き比べ、その違いを確認。それを踏まえてCD用マスターにはピラミックスで収録したデータが使われたと解説された。
続いてアナログレコード『Balluchon』の試聴に移った。今回の再生システムはアナログプレーヤーにラックスマンPD-171AL、トーンアームはサエクWE-4700という組み合せで、MCカートリッジのミューテックRM-KAGAYAKIを装着している。フォノイコライザーのパスXP-27の出力をプリメインアンプ、ブルメスター032に接続し、スピーカー、マジコA-3をドライブしている。
『Balluchon』はCDの時からA面、B面という区別がされている。A面は麻倉怜士さん、B面は潮晴男さんがプロデュースを担当しているが、その点については「もともとアナログレコードを想定していた結果です」と麻倉さんが説明していた。
それを踏まえ、A面からは「Oh Lady Be Goo」や「Love For Sale」「Do Nothing Till You Hear From Me」を、B面からは「Take The “A”Train」「Smile」などを再生しながら、収録時の解説が行なわれた。
そもそも『Balluchon』の特徴は、録音時に一発取りをしており、後からオーバーダビングや修正などを加えていない点にある。そのためスタジオでも1曲について3〜5回は録音をしているそうで、「演奏の完成度ももちろんですが、どのテイクを活かすかの際には、グルーヴ感も重視しています」(潮さん)と、制作サイドの狙いも紹介された。
当日のサウンドもおふたりの狙い通りとても熱いもので、スピード感、グルーヴ感もあるし、ベースの切れもいい。参加者もリズムを取りながら音楽に浸っていた。サエクのトーンアームやミューテックのカートリッジといった豪華なシステムが、パッケージソフトの情報をフルに引き出していると感じた次第だ。
また最後に潮さんから(あくまでも試作盤とのことだが)、78回転盤『Balluchon』について説明があり、その試聴も行なわれている。
ターンテーブルをトーレンス製に交換すると、プラッターが回っている早さにみんな思わず笑ってしまうほど。参加者からの「針圧はどうしたらいいんですか?」という質問には、「通常よりも2〜3割上げた方が音飛びもないし、安心です」と機材セットを担当してくれたカジハラ・ラボの梶原弘希さんが答えてくれた。
78回転の音は、低音がさらに安定して演奏に力が漲る。「これを聴いたら欲しくなるでしょう。でも片面に1曲しか入らないんですよ(笑)。今回はとにかく面白いことをやってみたかったから、トライしました。製品になるかどうかは、皆さん次第です」と潮さんが語って、イベントは終了となった。
『Balluchon』の概要
●アーティスト:小川理子
●レーベル:Ultra Art Record(ウルトラアートレコード合同会社)
●価格:¥7,000(税込)