本号(HiVi2019年5月号)で特集されている『ボヘミアン・ラプソディ』は、クイーンのフレディ・マーキュリーの半生を描いた伝記映画。昨年末から今年にかけ、世界中で異例の大ヒットを記録しているのは皆さんもご存知だろう。このたび、ついに日本におけるUHDブルーレイの発売が決定し、その感動を自宅でも味わいたいと思っている人は多いのではないだろうか。

 その場合、もちろん自宅にホームシアターがあればそれに越したことはないが、なかなか現実的ではないという人もいるだろう。そこでおすすめしたいのがテレビを用いたステレオAV再生の構築だ。最近は、品質の高いテレビとUHDブルーレイプレーヤーを組み合わせれば、比較的簡単に高画質環境を構築できる時代になった。

 ただ、“音”については、一筋縄ではいかない。高音質を標榜するテレビが増えているが、その高画質ぶりとはバランスしないし、テレビ周りにアンプやスピーカーを導入しようとすると、設置場所や配線の問題が出てくるからだ。しかし『ボヘミアン〜』は、特に音質が満足度を大きく左右する映画である。せっかくなら、高画質テレビにふさわしい音環境を作って、本作を存分に楽しみたいではないか。

 そんなときに有力な選択肢となりそうなのが、ディナウディオのアンプ内蔵ワイヤレススピーカー、Xeo(シオ)なのである。デンマークのスピーカーメーカー、ディナウディオは、硬派なメーカーとして長年オーディオファンから認知されてきた。2012年秋にはワイヤレススピーカーのXeoシリーズを発表し、その先進性が話題を呼ぶ。そして今年に新世代のXeo10、同20、同30が発売された。今回試すXeo30は、Xeo6の後継機にあたる2.5ウェイ仕様のトールボーイスピーカー。2.4GHz帯域のWi-Fiを利用した同社独自の無線伝送技術と、同社プロ部門のアンプ技術が融合した1台だ。

 Xeo30は28mm口径のドーム型トゥイーターと14cm口径コーン型ウーファー2基を搭載し、それぞれのスピーカーユニットに合わせて最適化された60Wアンプでドライブするマルチアンプ駆動が大きな特徴だ。さらにDSPによってデジタル領域で帯域分割と位相制御を行なう、高度な信号処理技術も搭載する。

セリフの微妙なニュアンスからライヴの迫力まできっちり鳴らす

 今回はパナソニックの有機ELテレビTH-55FZ1000とUHDブルーレイプレーヤーDP-UB9000を用い、UHDブルーレイ『ボヘミアン〜』を視聴してみた。オプションの無線ユニットXeoHUBにUB9000からの光ケーブルでつなぎ、Xeo30へワイヤレスで接続する。この場合、XeoHUBからXeo30間はすべて96kHz/24ビットの非圧縮信号で音声伝送できる。

画像: ▲ワイヤレススピーカーXeoシリーズに電源ケーブル以外のケーブル結線をしないスタイリッシュさを優先して、今回はオプションのXeo HUBを介してUHDブルーレイプレーヤーを無線接続した。プレーヤー側のデジタル設定は「PCM」出力にした状態だ

▲ワイヤレススピーカーXeoシリーズに電源ケーブル以外のケーブル結線をしないスタイリッシュさを優先して、今回はオプションのXeo HUBを介してUHDブルーレイプレーヤーを無線接続した。プレーヤー側のデジタル設定は「PCM」出力にした状態だ

 この状態で鳴らすXeo30のサウンドは格別。劇中で流れる環境音は左右に大きく広がり、その中に明瞭にセリフが定位する。映画館で感じるような、セリフと環境音がセパレートされる表現に近い印象だ。ソロ活動を表明したフレディと他のメンバーが話し合うシーンでは、聴感上のSN比に優れているためか、セリフが実に明瞭。それぞれのメンバーの感情がリアルに感じられ、シリアスな雰囲気がより伝わってくる。

 また、クライマックスのライヴ・エイドのステージシーンの迫力は格別。ロックの再生で重要なベースとドラムによる低音の迫力をレスポンスよく再生。しかも豊富な情報量で、スタジアムにいる数万人もの観客の興奮を迫真性を持って伝えてくれるのだ。思わず取材を忘れて画面に釘付けになった。

画像: ▲Xeo30は、マスターとスレーブと2本1組のペアでステレオ再生を行なうアンプ内蔵ワイヤレススピーカー。マスターとスレーブは、L/Rが任意に指定できるので、設置時の自由度が高い点も見逃せない。また、マスター側の端子には電源コネクターのほか、光入力や2系統のアナログ入力も備わっている

▲Xeo30は、マスターとスレーブと2本1組のペアでステレオ再生を行なうアンプ内蔵ワイヤレススピーカー。マスターとスレーブは、L/Rが任意に指定できるので、設置時の自由度が高い点も見逃せない。また、マスター側の端子には電源コネクターのほか、光入力や2系統のアナログ入力も備わっている

総括

ワイヤレススピーカーの枠を超えた高音質究極のシンプルさでAVが楽しめる

Xeo30は、単にワイヤレススピーカーという価値だけで考えてはいけない魅力を備えている。高性能なユニットだけでなく高出力アンプも内蔵しているので別途アンプを用意する必要がない。今回はXeoHUBを介してプレーヤーとつないだが、Xeo30自体にも入力端子が備わるので、その場合はテレビ周りをさらにすっきりできるはず。Xeoを用いたステレオAVは、究極なシンプルさでよい音を楽しむ強力な選択肢として大推薦したい。

画像: ワイヤレススピーカーの枠を超えた高音質究極のシンプルさでAVが楽しめる

 

画像: 『ボヘミアン・ラプソディ』特集⑥ ワイヤレス接続対応のディナウディオXeo30<接続はシンプル。感動は格別だ>

DYNAUDIO
WIRELESS SPEAKER SYSTEM

Xeo30
¥520,000(ペア)+税
●型式:ワイヤレス対応アンプ内蔵2.5ウェイ3スピーカー.バスレフ型●使用ユニット:28mmドーム型トゥイーター、140mmコーン型ウーファー×2●クロスオーバー周波数:200Hz、4.3kHz●内蔵アンプ出力:65W×3●接続端子:デジタル音声入力1系統(光)、アナログ音声入力2系統(RCAアンバランス、3.5mmステレオミニ)●備考:Bluetooth接続対応(aptX対応)●寸法/質量:W228×H852×D275mm/13.4kg●オプション:Xeo HUB(¥45,000+税)●カラリング:サテン.ホワイト(写真)、サテン.ブラック●問合せ先:DYNAUDIO JAPAN㈱☎03(5542)3545

PROFILE
高性能なドライバーユニットおよびそれらを用いた高品位なスピーカーシステムで知られる、北欧デンマークのディナウディオ。同社は近年、ワイヤレス接続可能なハイグレードスピーカーシステム、Xeo(シオ)シリーズを積極的に展開し、話題を集めている。Xeoシリーズの第2世代のトップモデル、Xeo6の後継機として登場したXeo30は、シリーズ唯一のトールボーイ型スタイルに高性能ドライバーを3ウェイ構成で搭載。アンプは65W出力仕様をユニットそれぞれに独立して用意している。なお、新Xeoシリーズは、Xeo10(¥220,000ペア+税)、Xeo20(¥320,000ペア+税)が用意され、すべてBluetooth対応の3モデルでの展開となる(編集部)

 

そのほかの使用機器
●有機ELディスプレイ:パナソニックTH-55FZ1000●UHDブルーレイプレーヤー:パナソニックDP-UB9000(Japan LImited)

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