新4K8K衛星放送がスタートしてまもなく2週間。StereoSound ONLINE読者諸氏に中には4K放送を体験し、もう2Kには戻れなくなったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。一度高品質の絵や音を体験してしまうと、後戻りはできないもの。特に毎日目にする放送番組は、いっそう分かりやすいはずですから。
さて高品質といえば、4Kのさらに上を行く8K放送もスタートしています。NHKのBS 8Kだけではありますが、12月1日にオンエアされた『2001年宇宙の旅』が大きな話題を集めましたね。実際、渋谷のストリームホールで開催されたハイビジョンパークには、この作品を観るために足を運んだとおぼしき方も多く見かけました。
ということで今回は連載第8回を記念して(?)、8K放送の受信方法について整理します。
8K放送を観るには、左旋対応のアンテナが必要
8Kを受信しようという時に忘れていけないのは、8K放送は左旋の電波で放送されているということ。なので、当然ながら右旋左旋対応のアンテナを準備しなくてはいけません。
そしてブースターや分配器、壁のコネクターなども左旋に対応した製品が必要です。具体的にはSHマークが付いた製品を選ぶことになるわけで、この機会に思い切って8Kに対応するぞ、という方はご自宅の配線にも気をつけましょう。
さてそんな8K放送とは、水平7680×垂直4320画素(4Kの4倍)の解像度を持った映像で、HDR(HLG)方式やBT.2020の広色域、毎秒60コマの静止画(60p)というフォーマットで伝送されています。
現在8Kを楽しめる家庭用モデルはシャープ製品のみ
で、現時点でそんな8K放送が受信できる家庭用モデルは、実はシャープ製品しかありません。
というのも、日本国内で8K解像度を持った家庭用の液晶テレビを製造・販売しているのはシャープだけだから。これは、シャープ以外のメーカーが上位モデルで採用している有機ELパネルが4K解像度しかないことも一因です。
ということで8K放送を受信する手段としては、8Kチューナー内蔵テレビAX1シリーズを選ぶか、単体8Kチューナーと8K対応テレビを組み合わせるかになります。それらのスペック比較はこちら。
AX1シリーズは80/70/60インチが準備され、8Kはもちろん4K放送もすべて受信できます(8Kを観ながら4Kの裏番組録画も可能)。2Kや4Kからのアップコン機能も優れているので、すべての放送を8K品位で楽しめるはず。
80インチの8K映像を視距離2H(Hは画面の高さ)で観てみましたが、もはや画素の存在も忘れてしまい、映像に没入してしまいました。なお、この近接8K体験については、近々麻倉怜士さんのインプレッションを紹介する予定ですので、お楽しみに。
もうひとつの受信手段である単体8Kチューナーの8S-C00AW1は、基本的にはシャープ製8K対応テレビの8T-C60AW1やLC-70X500と組み合わせて使うことを前提にしたもの。8K放送を伝送するにはHDMIケーブルが4本必要で、先述の2モデルは8K用の入力端子を備えています。
機能面としては4K8K放送専用チューナーで、2KのBS/110度CS放送は受信できません。ただしテレビのAX1シリーズと同様に、8K放送を観ながら4K放送の裏番組録画をするといったことはできます(その逆も可能)。
なお、AX1シリーズ、8S-C00AW1とも8K放送の録画にはシャープ製8K対応USB HDD、8R-C80A1が必要です。これは8Tバイトの容量を持った外付けHDDで、8K放送を約170時間録画できる。市場想定価格が13万円と高価だけど、今のところ8Kのタイムシフトにはこれが必須なのです。
こうして見てみると、8K放送をフルに楽しもうと思ったら製品の選択肢が限られているし、価格面でも4Kよりハードルが高いのは確かです。しかし、『2001年宇宙の旅』も2019年1月3日の再放送が決定しており、さらに3月以降には『マイ・フェ・アレディ』も控えているとか。他にも『宝塚』や『世界3大オーケストラ』もリピートされているわけで、画質フェチにはなんとも悩ましい状態が続きそうです。
ちなみに8K受信の裏技として、8S-C00AW1を4Kテレビと組み合わせるという方法もあります。こうすると8S-C00AW1側で8Kを4KにダウンコンバートしてHDMIケーブル1本で出力してくれるので、HDCP2.2に対応した4Kテレビ(2Kテレビでも!)なら8K放送を楽しむことはできます。
現有システムを活かしつつ8Kコンテンツを楽しむ手段として、案外アリかもしれませんね。