ピエガのアイデンティティは、メタル(アルミ押出し材)エンクロージャーとリボン型トゥイーターだ。この新しいプレミアムシリーズもその流儀に沿っている。そして、古くから同社スピーカーを知っている人にとって、その細身の佇まいはどこか懐かしく、ホッとさせるものでもある。

 往年のフォルムを纏った「Premium」(プレミアム)シリーズだが、細部はブラッシュアップされている。アルミ製エンクロージャーの強度は30%向上し、表面仕上げもより美しく、洗練されたものになっている。何よりサランネット(フロントカバー)が外しやすく、オーディオファイルにとってはありがたい点だろう。

 「Premium 301」(以下301、写真中央)と「Premium 501」(以下501、写真左)に搭載されたリボン型トゥイーターは、既に採用実績のある「LDR2642MKII」。一方、最上位の「Premium 701」(以下701、写真右)のそれは、新規開発の「LDR3056」で、振動板面積が広い。新しいサスペンションと極薄振動膜とのコンビネーションは、質量負荷を無視できるほどのダンピング状態でコントロールされるという。

画像: www.piega.jp
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 ウーファーも使い慣れたMDSと呼ばれるドライバーだ。301と701が14cm口径、501が12cm口径で、トールボーイ型はダブルウーファー仕様。ただし、クロスオーバー周波数をズラしたスタガー動作、2.5ウェイとなっているのが特徴だ。ウーファーはロングストロークを意識し、若干の改良が加えられているようだ。

 501と701は、ボトムプレートが取り付けられ、脚部はスパイクと平型が選択でき、安定した設置が可能。スピーカー端子はシングルワイアリング仕様。各モデルでシルバー/ブラック/ホワイトの3色が用意される。

画像: 上位機のPremium701(写真)は同社が新開発したリボン型トゥイーターLDR3056を用いている。Premium501とPremium301の2機種は同社の従来モデルで採用されているLDR2642MKIIを採用している

上位機のPremium701(写真)は同社が新開発したリボン型トゥイーターLDR3056を用いている。Premium501とPremium301の2機種は同社の従来モデルで採用されているLDR2642MKIIを採用している

画像: 本シリーズの中低域を担うMDS(Maximum Displacement Suspension)ウーファーユニットは、それぞれのモデルのリボン型トゥイーターと強化されたエンクロージャーに合わせて改良がなされているという(写真はPremium701の140mm MDSウーファー)

本シリーズの中低域を担うMDS(Maximum Displacement Suspension)ウーファーユニットは、それぞれのモデルのリボン型トゥイーターと強化されたエンクロージャーに合わせて改良がなされているという(写真はPremium701の140mm MDSウーファー)

画像: バスレフポートはトールボーイ型の2機種が前面であることに対して、ブックシェルフ型のPremium 301では背面にレイアウトされる(写真)。接続端子は3モデルともにシングルワイアリング対応

バスレフポートはトールボーイ型の2機種が前面であることに対して、ブックシェルフ型のPremium 301では背面にレイアウトされる(写真)。接続端子は3モデルともにシングルワイアリング対応

同シリーズでのサラウンドは スムーズかつシームレス

 まずは専用スタンドを組み合わせて301から試聴。デノンのプリメインアンプ「PMA-SX」とオッポデジタルのユニバーサルUHD Blu-rayプレーヤー「UDP-205」をXLR接続してCDとハイレゾ音源を聴いた。

 ヴォーカルはすっきりとしたプロポーションの音像フォルムで、声や楽器の質感再現がとても繊細だ。フュージョン系ソースでは低域が若干詰まり気味だが、タイトなベースラインが実感できた。クラシック系ではスケール感豊かな立体音場が現われる。定材波や回折現象の悪影響を抑制していると思われるエンクロージャー形状と、コンパクトなサイズも相まっているのだろう、放射音がきれいに拡散する印象だ。

 次に301よりもウーファー口径の小さい501だが、ダブルウーファー構成で振動板面積が確保できており、エンクロージャー容積のメリットも重なって、よりリッチで量感のある低音が繰り出された。ヴォーカル音像がグッと前に迫り出す一方で、伴奏陣が少し下がった位置に定位するサウンドステージが現われる。クラシックを聴いてもその立体的なプレゼンス感が心地よい。設置スペースは狭いものの、より豊かな低音を望むケースでは、301よりも501をお薦めしたい。

 そして、さすがに701は低音の量感、歯切れともに不満がない。フュージョン系ソースのキックドラムのニュアンスは、やはりこのくらい物理的な余裕がないと出てこない。ベースの厚みはもちろん、ピッチの正確さ、あるいはサックスソロやギターソロも、このダブルウーファーによってより実在的なものになっている。ヴォーカルは語尾のアクセントやイントネーションがより克明に感じられた。クラシックではハーモニーに厚みが加わったことが大きい。ティンパニやグランカッサ等の打楽器の存在感が増し、重厚なスケール感が醸し出された。

 最後にフロントに701、リアに501を用いてセンターレスの4.1chサラウンド再生を試した(サブウーファーはイクリプス「TD725SWMK2」)。UHD Blu-ray『ダンケルク』にて、波打ち際の商船に英兵が隠れているシーンでは、船底を打ち抜いた銃弾が船内を転がる音がすこぶる生々しい。貫通時の甲高い音にスピード感がある。

 ファントム再生のセリフはやや細身な印象を受けたので、本格的にシアターを組みたい人は、しっかりとセンタースピーカーを加えることを推奨したい。いっぽうで英・独軍の戦闘機の空中戦では、旋回音の軌跡がスムーズかつシームレスにつながった。こういうシーンでは、同一ブランド/同一シリーズでサラウンドを組むメリットがきっちり実感できる。

 いずれのモデルもインピーダンスが4Ωと、AVセンターに負担を強いるスペックだが、ミドルクラス以上の一体型AVセンターならば大きな問題は生じないだろう。スタイリッシュなサラウンドシステムが組めそうだ。

SPEAKER SYSTEM
PIEGA
Premium301
¥310,000(ペア、スタンド別売)+税●型式:2ウェイ2スピーカー・バスレフ型
●使用ユニット:リボン型トゥイーター、140mmコーン型ウーファー
●クロスオーバー周波数:3.2kHz
●出力音圧レベル:89dB/W/m
●インピーダンス:4Ω
●カラリング:シルバー(写真)、ブラック、ホワイト(ブラック、ホワイトは追加料金¥40,000+税、ペア)
●寸法/質量:W180×H340×D230mm/9kg
●備考:オプションで専用スタンドStand300(¥125,000+税、ペア)あり
Premium501
¥550,000(ペア)+税
●型式:3ウェイ3スピーカー・バスレフ型
●使用ユニット:リボン型トゥイーター、120mmコーン型ウーファー×2
●クロスオーバー周波数:200Hz、3.2kHz
●出力音圧レベル:90dB/W/m
●インピーダンス:4Ω
●カラリング:シルバー(写真)、ブラック、ホワイト(ブラック、ホワイトは追加料金¥40,000+税、ペア)
●寸法/質量:W240×H1045×D230mm/23kg(ボトムプレート含む)
Premium701
¥780,000(ペア)+税
●型式:3ウェイ3スピーカー・バスレフ型
●使用ユニット:リボン型トゥイーター、140mmコーン型ウーファー×2
●クロスオーバー周波数:150Hz、3kHz
●出力音圧レベル:91dB/W/m
●インピーダンス:4Ω
●カラリング:シルバー(写真)、ブラック、ホワイト(ブラック、ホワイトは追加料金¥40,000+税、ペア)
●寸法/質量:W268×H1095×D256mm/30kg(ボトムプレート含む)

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