ウォルト・ディズニー・ジャパンのお招きで、『ラスト・サバイバー』のIMAX大阪完成披露試写会に足を運んできた。試写会場はIMAXに対応したTOHOシネマズなんばのスクリーン2。

 大阪のIMAXといえば、万博跡地にあるIMAXレーザー/GTテクノロジーで名を馳せる109シネマズ大阪エキスポシティが全国的には知られているが、中心地の大阪市内となると、かつてシネラマを擁したOS劇場があったキタの街にはなんとIMAX対応館がないのだ。ミナミにあるのならばいいではないか、と考えられるかもしれないが、大阪の場合は “キタはキタ、ミナミはミナミ” なのである。訊いたところによると、国内での試写はIMAXのスクリーンで行うべし、というのは監督のリドリー・スコット直々の指示とのことだ。

画像1: リドリー・スコット監督最新作『ラスト・サバイバー』をIMAXで体験。ディストピアを生き抜く人間たちの濃密な物語。これは近未来の開拓史だ

 この作品、顔を揃えた俳優陣がなによりいい。これもリドリー・スコット監督ならではのマジックだろうか。スクリーン映えが抜群にいいのだ。なかでも主演のジェイコブ・エロルディはいま、もっとも注目されている俳優のひとり。御存知の方も多いと思うが、これからスタートする新たな007映画のジェームズ・ボンド役の候補として、ここ数年は必ず名前が上がる注目株である。190cmを越える長身と、憂いを感じさせる甘いマスク。声も良いのが本作を観てよくわかった。マーガレット・クアリーは言わずもがな、まさに旬の俳優だし、ジョシュ・ブローリン、そしてガイ・ピアースと、脂ののった存在感のある巧い役者が脇を固めている。眼福、眼福。

 ほとんどの人類が滅亡してしまったディストピアの世界で生き延びようとサバイバルしていく彼らの姿は、まるで開拓史の物語のようだ。思いのほか静謐なタッチで描かれていく物語のなかにあって、もうひとつの主役でもあるセスナ機を捉えたロングショットや、襲撃者たちと闘うアクション・シークエンスになると、俄然IMAXの画郭が活きてくるし、ここぞという聴かせどころのサウンドデザインの切れ味の良さは、さすがリドリー・スコット作品といった印象だ。人類が滅亡することになったプロセスよりも、生き残った人間の生きざまや関係性に的を絞り、ていねいに描いた演出が吉と出たように感じた。

画像2: リドリー・スコット監督最新作『ラスト・サバイバー』をIMAXで体験。ディストピアを生き抜く人間たちの濃密な物語。これは近未来の開拓史だ

 リドリー・スコットとくれば、否が応にもあの『ブラック・レイン』を思い出さずにはいられない。奇しくも、その舞台となったのがミナミだ。試写会場の難波から道頓堀川までは歩いてすぐのところにあり、せっかくなので映画の余韻に浸りながら久しぶりに(40年ぶりか)戎橋に立ち寄ってみた。夜遅くにも関わらず、インバウンドでとんでもない混雑ぶり。『ブラック・レイン』の80年代の頃とはまったく雰囲気が変わってしまい、擦れ違う人々、見回してみても外国人ばかりだ。ときおり聞こえてくる日本語が『ブレード・ランナー』を思い起させる。

 人種、国籍を問わず、楽しんでいる人たちの姿はなにやら暗示的でもある。『ラスト・サバイバー』でリドリー・スコット監督が伝えようとした、ディストピアのその後の世界とはなんだったのか。朧気ながらその片鱗が肌で感じられるような感覚に陥った。それはこれまで彼が変わらずに描き続けてきた、人々のありようなのかもしれない。此処にはもうクラブ「みやこ」はない。けれど、リドリー・スコットが解き放った遺伝子のようなものが、いまだミナミには息づいているような気がしてならない。

『ラスト・サバイバー』(全国劇場にて公開中)

●監督:リドリー・スコット●原作:ピーター・ヘラー「ラスト・サバイバー」(早川書房)●脚本:マーク・L・スミス●出演:ジェイコブ・エロルディ、ジョシュ・ブローリン、マーガレット・クアリー、アリソン・ジャネイ、ガイ・ピアース●配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン

<STORY>謎のパンデミックで人類の大半が死滅、生存者たちが奪い合い殺し合う狂気の世界。孤独なパイロットのヒッグは、無線に届いた“謎の声”に導かれ、希望を求め未知の空へと飛び立つ――。巨匠リドリー・スコットが放つ、魂を揺さぶるディストピア・サバイバル。

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