トップウイング(TOP WING)のスイッチングHUB「OPT REF SW」がよく売れている。
まず発売を知らせるリリースを発表した本年(2026年)4月15日から一週間で第一ロット(350台)が完売してしまった。4月30日の発売日を迎える前に初回分が売り切れていたのだ。現在は第二ロットの9月末の分まで完売しており、追加購入希望を断っている状態。この様子では年内に第三ロットの発売を開始しなくてはならないことになりそうだ。よほど熱心に開発した結果がこの人気の理由なのだろうなあ……と、わたしは思っていた。
いい音を造り出すために、いちから取り組んだリスニングルーム

トップウイングの試聴室は本社から徒歩数分のビル1Fに準備されており、同社製品の最終的な音の確認などはここで行っている。賃貸物件だが、床下にはコンクリートを敷き詰め、壁や天井にも調音材を配置するなど様々な対応が施されている。フロントスピーカーの「TAD-CE1TX」は先日入れ替えたばかり

低音がこもらないように、部屋の角には大型の吸音材を設置。写真右側のドアも低域の調整のために、音を聴く時はあえて開けている。隣がカラオケ教室なので、心配なく音を出せるという理想的な環境です。壁面に並んでいるアナログレコードは菅沼さんのコレクションとか

スピーカーに向かって左側に同社製品を中心にした再生システムが設置されている。ここでは、ネットワークオーディオ再生でのノイズ対策等を充分に考えた接続が行われている(詳細は後半のコラムを参照)
OPT REF SWは現在進行形のネットワークオーディオにまさにドンピシャリな製品だ。まず、ネットワークオーディオ関連機器として重要視されるスイッチングHUBであること。しかも価格は50万円以上ではなく22万円と現実的な価格だ。しかも入出力端子は12ポート(端子)もある。
12ポートの内訳は、メタルケーブルを接続するRJ45端子のLANポート×5、SFPモジュールを受け入れるSFPポートは7個もある。SFPポートは主に「光接続」で使用される。スイッチングHUBにおけるSFPポートの数はゼロが普通であり、SFPポートがあっても1~2個程度、多くても3個程度だ。しかし本機は7ポートも装備しているのが特徴だ(7ポートのうち、SFP×3、SFPプラス/SFP×4)。
LANポートと違ってSFPポートは、光接続が出来、レイテンシー(遅延時間)の低減が期待出来るので、音質的に優位な発展性があるからだ。ネットワークオーディオの音質を重視するオーディオファイルの間で現在急速に普及しつつある「光接続」を、しっかりとサポートするスイッチングHUBが本機である。
このようにOPT REF SWは将来を見据えた構成となっている。近いうちに機能が半分の小型モデルの商品企画はあるか?との問いに、責任者の菅沼洋介さん(後述)の答えは「NO」だった。
OPT REF SWをはじめ、トップウイング製の独自開発ネットワークオーディオ周辺機器が快進撃中だ。それもそのはずで、よく検討された商品企画とよく練られた高音質と現実的な価格との三拍子が揃っている。
トップウイング製品をフル活用して、いい音を再現

ネットワークハブ「OPT REF SW」(写真手前)を中心に、多くのトップウイング製品を使用したシステムが組まれている。写真右後方はオーディオ再生用の無線ルーター「OPT AP」で、OPT REF SWとの間はSPFケーブル「Silent Fiderity SFP」でつないでいる

ハイレゾ音源は、デラのミュージックライブラリー「N100」に格納し、「OPT LAN Bridge」を経由して、OPT REF SWとSFPケーブルでつないでいる。写真上段はRoonサーバーで、こちらは「OPT USB Bridge」を使ってOPT REF SWとSFPケーブルでつなぐ仕組みだ

音楽ストリーミングやミュージックサーバーの音源は、Volumioの新製品「Primo(2026)」で再生する。こちらもOPT USB BridgeでSFPケーブルに変換してOPT REF SWとつないでいる。下段のプリアンプはManunta Audioの「Classic Preamplifier」(日本未発売)で、テープ入力に「Sonic Corrector」を加えている
わたしはネットワークオーディオの「光接続」に懐疑的だった。メタルケーブルでの接続とは違ってアース回路が遮断することのメリットはわかっている。しかし音がダメだった。高音域がシャリシャリと上ずり、奥へ展開して欲しい音像が前にセリ出してしまうからだ。「光変換」用のSFPモジュールと変換器によって多少の違いはあるものの、シャリシャリ音と音像のセリ出しにはなじめなかったのだった。
ところが、トップウイング製のメディア(SFP-LAN)コンバーターの「OPT LAN Bridge」と、オーディオグレードSFPモジュール「Silent Fidelity SFP」を昨年(2025年)夏から使い始めて、シャリシャリ音と音像のセリ出しがないことと、音楽の背景が静かであることに満足しているのだ。
SFPモジュールは普通熱くなるものだが、トップウイング製のはぬるい程度だ。通常のSFPモジュールの1/2~1/3程度の電流で動作させているそうだ。接続にはST端子を装備した独自の光ケーブルを使い、しかも「出し」と「受け」とではSFPモジュールを使い分けるようになっている。これぞオーディオ用に対策/音作りされた証拠だ。「音のいいネットワークオーディオ周辺機器」としてトップウイング製品が評価されるはずである。
ネットワークオーディオ機器の接続は、基本的にSFPで統一。徹底したノイズ対策を施す

トップウイング試聴室のネットワーク接続図。OPT REF SEWを中心に、ソース機器の間はすべてSFPケーブルで接続されている。SFP接続のメリットを提唱しているトップウイングならではでしょうか

OPT REF SWの背面。SFPポートを7個備えるという他にない特徴を持つスイッチングハブだが、ここではそのうち6個が使われている

外部ネットワーク(業務用ルーター)からのLANケーブルは、「OPT ISO BOX」→「DATA ISO BOX」を経由した後、写真の「OPT LAN Bridge」でSFPに変換してOPTREF SWに送り込んでいる
千葉県・松戸にあるトップウイングのリスニングルームを訪問した、迎えてくれたのは、社長であり、独自開発のトップウイング製のネットワークオーディオ周辺機器を企画/構成した責任者であり立役者である菅沼さんだ。
トップウイングはオーディオ機器の輸入/販売とフォノカートリッジの独自開発/販売を行ってきた。昨2025年、オーディオ機器の輸入/販売を支えて来た屋台骨のブランドが消滅することとなって、会社の組織替えで菅沼さんは社長になり、そして独自開発のネットワークオーディオ周辺機器をデビューさせて快進撃となっているわけだ。
菅沼洋介さん、1990年生まれ。6歳で父親からWindows95マシンを与えられたのがパソコン始めだった。筑波大学で「知識情報・図書館学類」を専攻した。文理融合型の情報系であり、ネットワークの分散処理を学んだ。「そのまま大人しく勉強していたら図書館の司書になっていただろう」けれど、菅沼青年は音楽/オーディオが好きだった。「アナログプレーヤーを操作している人物の集中力をそがさないように近づいてはイカン」と父親に叱られたことがある。
生まれてから高校生まで、栃木県・宇都宮市で過ごした。高校生でバイトしてタンノイやリンの製品を買って使っていた。「デカイ音でバンバン鳴らしてました」。トップウイングには約10年前、25歳で入社した。大学在学の頃からイベントの手伝いをしていたことが縁だったそうだ。
サブウーファーを加えた2.1チャンネルシステムで、全帯域整ったサウンドを再現

トップウイング試聴室の再生システム。Primo(2026)のアナログ出力をManunta Audioのプリアンプ、Benchmarkのパワーアンプを使って、TAD-CE1TXで鳴らしている。

フロントとリア側に1台ずつ、KEFのサブウーファー「KC92」が追加されている。フロントスピーカーでの再生音を測定した結果、定在波の影響で一部の低域にディップ(落ち込み)があったので、サブウーファーを加えてそこを補間しているとのこと
PCオーディオは2007年ごろ(Onkyo SE-90PCI~Lynx AES16e)から、ネットワークオーディオは2009年ごろ(LINN Akurate DS)から取り組んでいた。当時はオーディオグレードの周辺機器がなかったので、自作PCと業務用機器で組んでいたのだった。
「ネットワークオーディオの勉強/体験をたくさんしました。業務用機器の完成度の高さに加えてオーディオグレイドの音質と感性を加えようと企画したのが、一連のトップウイング製品です」
トップウイング製の独自開発ネットワークオーディオ周辺機器の製造は中国・深圳にあるネットワーク機器の専門メーカーに任せている。アチラ(専門メーカー)はネットワーク専門であるから、伝送速度の高速性が最優先である。ところがコチラ(トップウイング)は音質が最優先である。高速であるほど音質を阻害するノイズが潜在することなど、音質面からの注文を先方が理解してくれるまでには、相当な時間がかかったそうだ。
トップウイングのリスニングルームは貸しビルの1階にある。テナント用の一室だ。借りた直後、前任者が床に直接生コンクリートを流し込むという荒技をやったので、床はカチンカチンに頑丈だ。平面性に欠けるので、機器を水平に置くには苦労している。低音の逃げ場のために隣室の小部屋の「ドアは開けてある」。デカイ音を出して平気なんですか? と尋ねると、「隣はカラオケ教室なんです」。
SFPトランシーバーで、本当に音は変わるかも検証した

菅沼さんは、色々なメーカーのSFPトランシーバーを購入し、それらの音も確認しているそうです。取材時にこれらの幾つかを試聴させてもらったところ、音の違いは予想以上に大きかった

傅さんのリクエストに応じて、菅沼さんがSFPトランシーバーをつなぎ替えてくれた

今回視聴させてもらった中では、トップウイングの「Silent Fidelity SFP」(写真左)や「Direct Link SFP」(右)の音が好印象でした
リスニングルームには試聴用/研究用に買い込んだSFPモジュールがたくさんある。代表的な物を聴かせてもらった。まず日本の大会社製、1個20万円ほどする(サポート/メンテナンス代込み)。なんのことはないフツーの音だ。続いてトップウイング製。自然な音であり音楽が活き活きとしている。コレだこの音だよ。続いて1個数千円の製品。コレは高域にシャリシャリとクセのある音で聴き続けられなかった。トップウイング製が抜群の音のバランスのよさであり、価格もこなれていた。
試聴曲を一曲紹介すると、Celtic Angelsの演奏による「Edge Of Night」、映画「ロード・オブ・ザ・リング」の挿入歌だ。Qobuzからダウンロード購入した。シンセサイザーによる重低音に支えられてソプラノの歌声が長く深いリバーブを伴って響きが繊細に伸びてゆく曲だ。トップウイングのリスニングルームで、この曲は荘厳な雰囲気で見事に鳴った。繊細な響きが長く深く伸びて空気感がたっぷりとあり、音場感がとても広くて深い。音場感が広いのにしかし音像はボケていなくて明瞭で、音像フォーカスがキリリッとシャープだった。
スピーカーは届いたばかりのTAD「TAD-CE1TX」でまだ少々金属的な音が残っているが、聴感上のS/Nがとても高いスピーカーであるので、開発中の製品を聴き取るにはかっこうのスピーカーだ。すべての音を聴かせようとするモニター的な鳴りっぷりに加えて音楽的なハーモニーがリッチに鳴ってくれる、上手いバランスにまとめられていると聴けた。「開発中の製品のアラ探しをするのだったら、ヘッドフォンでやります」と菅沼さん。

試聴室についての細かいこだわりから音の確認、さらには菅沼さんの経歴に至るまで、様々な内容のインタビューは数時間続きました
ネットワークトランスポートは同社で扱う、イタリア製のVolumioの「Primo(2026)」だ。「Primo(2026)は14万円くらいの製品ですが、これだけ鳴ってくれるのだからネットワークオーディオの可能性は深いですよ」と菅沼さんがおっしゃる。
たしかに、このリスニングルームで鳴っている音は、トップウイング製の独自開発ネットワークオーディオ周辺機器たちが支えている。あらためて知るネットワークオーディオ周辺機器の音質的な重要性の高さだった。
ところで菅沼さんは8月10生まれの獅子座だ。獅子座の人の性格は、明るく情熱的でリーダー気質を持つ──のだそうだ。なるほど、そうだったのか!
アナログ関係のアクセサリーも好評発売中


トップウイングではネットワーク機器だけでなく、カートリッジやアナログ関係のアクセサリーも販売している。写真の「Static Eraser "Direct"」はカートリッジとトーンアームの間に装着するもので、レコード再生中の静電気を効率的に逃がしてくれるもので、コンスタントにオーダーが入っている人気製品とのこと


