オーディオ機器らしからぬモダンなデザインを採用したコンパクトさが目を引く"BLUESOUND"。その代表的なモデルである「NODE(N132)」をはじめ、「NODE ICON」やよりコンパクトなモデルの「NODE NANO」といったモデルを、幅広くラインアップしている。いわゆるオーディオ機器らしからぬデザインは、一見すると「デザイン家具?、はたまた、IT分野で急成長したメーカーが新規参入してきたの?」などと思ってしまいがちだ。しかし、"BLUESOUND"は、オーディオメーカーとして実績のある"NAD Electronics"や"PSB Speakers"といったHiFIブランドのグループで、オーディオ技術や音質追求のための技術開発に関するデータ蓄積も十分に備えたメーカーとなる。しっかりした実績や知見をベースとしながらオーディオの新しい価値や楽しみを提案してくれるのが"BLUESOUND"なのだ。
今回、そのBLUESOUNDのラインアップの中から、コンパクトなボディはそのままにスピーカーを駆動するためのアンプも内蔵したのが、「POWERNODE」になる。その最新モデルである「POWERNODE(N331)」は、3chアンプを内蔵し、LCR(左/センター/右)の3ch再生が可能のほか、別の「POWERNODE」などと連携することで、5.1ch再生にも発展させることができるようになっている。今回は、その「POWERNODE(N331)」(2025年12月発売)を使って、2ch再生や3ch再生だけでなく、5.1ch再生まで試してみることにした。
POWERNODE(N331)の概要
まずは、「POWERNODE(N331)」の概要を紹介しよう。本機は、"BLUESOUND"独自のBluOSによって豊富な音楽配信サービスに対応し、最新のサービスであるQobuzもサポートしている。さらに、多彩なネットワーク機能を備え、BluOS搭載機器との連携やマルチルーム再生機能なども楽しめる。こうしたネットワーク機能やストリーマー機能などは従来と同じだ。


「POWERNODE(N331)」の新機能は、内蔵するパワーアンプがDirectDigital方式となり、高速スイッチングが可能なGaNトランジスターを組み合わせることで、高効率で低歪みの増幅を実現したこと。しかも3ch出力が可能となったことがポイントだ。2chモードでは100W+100W(8Ω)、3chモードでは各チャンネル80W(8Ω)の出力となっている。

また、ヘッドホンアンプもTHX AAAテクノロジーを搭載した仕様となり、さらに音質を向上させている。接続端子もシングルエンドの標準ヘッドホンジャックとなっている。このほか、アナログ音声/光デジタル音声入力は兼用でステレオミニ端子になるが、RCAアナログ音声入力端子1系統を別に搭載している。またPCなどと接続できるUSB-C端子を新たに搭載するほか、薄型テレビなどと接続できるHDMI(ARC)端子なども用意されるなど、より多彩な入出力端子を備えている。「POWERNODE(N311)」ならではの内蔵アンプと、入出力がさらに充実したものとなっていることが大きな特徴と言えるだろう。
POWERNODE(N331)のご紹介
youtu.beParadigm(パラダイム)の「PREMIER V2シリーズ」と組み合わせて、音を聴いてみる
それでは、「POWERNODE(N331)」の音を聴いてみることにしよう。組み合わせるスピーカーは、新たに発売されるパラダイムの「PREMIER V2シリーズ」。なお、「PREMIER V2シリーズ」の概要について簡単に紹介すると、ユニットが一新され、アルミニウム、マグネシウム、セラミックを組み合わせたAL-MAC高域ドライバーには、OSWウエーブガイドおよびパラダイムではおなじみのPPAレンズを備える。

720F V2のピアノブラックモデル

720F V2のウォルナットモデル
アルミニウムとマグネシウムによるAL-MAG中域ドライバーにもPPAレンズを搭載し、ウーファー用のドライバーにはカーボンXユニボディドライバーをそれぞれ装備している。シリーズのラインアップは、3ウェイ4ドライバーの820 V2および、720FV2、2ウェイ2ドライバーの220B V2と120B V2、センター用の3ウェイ4ドライバー+2パッシヴドライバーとなる620C V2、よりコンパクトな3ウェイ4ドライバーの520LCR V2の6モデルとなる。
ラインアップは「PREMIER シリーズ」と共通だが、820 V2では、ウーファーが既存のモデルの口径165mmから177mmへ大型化しているほか、アウトリガー型の設置用脚部、ショックマウント・アイソレーション・フィートが820F V2と720F V2に備わっている。このため、既存のモデルと比べるとイメージが変わって、かなり立派なスピーカーになった印象を受ける。Paradigm(パラダイム)の中で最上位に位置づけられるペルソナ、次いでファウンダーと続き、3番目に"PREMIER V2シリーズ"となるはずだが、上位のファウンダーシリーズよりも上位のシリーズかと勘違いしてしまうほどだ。
PDNの試聴室で3ch試聴した時の印象
まずは、PDNの試聴室で、820FV2を2台と620C V2(センター)による3ch再生を聴いてみた。見た目も立派な大型スピーカーに比べると、POWERNODE(N331)の筐体はとても小さい。パワーアンプがどこに隠れているかと思うほどだ。Qobuzでユジャ・ワンの「ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第2番」を聴いてみたが、オーケストラのスケール感もしっかりと出るし、ホール感がしっかりと出る音場感豊かな音は、これほどまでにコンパクトなアンプで鳴らしているとは思えないほどだ。試しにより大きな音量を出してみたが、力不足を感じることもなく、より雄大な音が出る。これはなかなかの駆動力だ。しっかりと駆動されたPREMIER 820V2と620C V2の音も立派だし、スピーカーの存在を感じさせないスムーズでつながりのよい音になっていた。

色づけの少ないナチュラルな音で、ディテールの再現性や解像感も高い。かといってあまりカリカリの音にはなっておらず、感触としてはソフトでしなやかさもある。音場感のある立体的な音場や濁りや歪みのない清らかと言っても過言ではない澄んだ再生音からも、ひとつ上位のファウンダーシリーズに追いついたと言いたくなるほどの出来映えだ。
今度は、HiVi試聴室で5.1chの試聴を行ってみた
さて、今度は場所を変えて、HiVi試聴室で試聴をおこなった。試聴セットは、前方のフロントとセンターが720F V2と520LCR V2、リアは2ウェイの220B、サブウーファーは編集部のイクリプスTD725SWMK2とした5.1chシステムにして再生を試してみた。フロントスピーカーを820F V2から720F V2、センターを520LCR V2としてもらったのはこちらの希望。POWERNODE(N331)が十分な駆動力を持っているのはわかったので、POWERNODE(N331)と見た目的な相性が良い一回り小さいモデルでも聴いてみたかったためだ。スピーカーのサイズがやや小さくなったこともあり、より身近で親しみやすい雰囲気になった。

5.1ch再生を実現させるためには、もう一台POWERNODEが必要
さて、5.1ch再生では、後方のスピーカーを駆動するためにもう一台POWERNODEが必要になる。そこで今回は、2chモデルのPOWERNODE(N330)を用いて5.1ch再生を実現させている。例えば、すでにPOWERNODEを使っている人であれば、新たに3chのPOWERNODE(N331)を買い足すことで、5.1ch再生に発展することができる。
両者の連携は、BluOSで行う。2台のPOWERNODEをグループ化し、POWERNODE(N331)をコントロール側にしてやることで5.1ch再生の設定が行なえる。ちなみに設定は、AVアンプのような自動音場調整機能はなく、各スピーカーの音量調整と設置したスピーカーの距離を実測して入力する必要がある。豊富な便利機能が備わっているわけではないが、最低限必要なスピーカー設定ができるようになっている。
5.1ch再生でUHDブルーレイソフトを視聴してみる
POWERNODE(N331)にBDプレーヤーのステレオ音声出力を接続して、UHDブルーレイソフトを視聴してみる。『28年後・・・白骨の神殿』で、感染者(ゾンビ)がうろつくイギリス本土で独り生活している変わり者の元医師が、ハードロックの強烈な儀式を行う場面を視聴。激しいロックサウンドが鳴り響くなか、火炎放射をしたり、燃え上がった松明を振り回すような熱狂の踊りが繰り広げられるのだが、その様子をまさに立体的に再現した。

5.1chを実現させるためには、もう一台POWERNODEが必要に。写真は、「N 330」

5.1chを実現させるために用いたスピーカは「220B V2」を使用、リア、左右に配置した
音楽が周囲に響く様子や、松明を振り回した時に火の粉が周囲にまき散らされる様子もしっかり再現されていたし、天井チャンネルのない5.1ch再生にも関わらず天井から音が降り注ぐような高さ感もあった。元々はドルビーアトモスの2chダウンミックス再生だが、これはなかなかのものだ。
次いで、『グレイテスト・ショーマン』の「ネバーイナフ」の歌唱シーンを視聴したが、ステージのホール感や歌声が響く様子もしっかりと再現される。感心したのは、センターチャンネルのつながりが良いこと。センタースピーカーは実際の家庭環境ではテレビやプロジェクターのスクリーンの上や下など、置く場所に制限があり、センタースピーカーの音(歌声やセリフなど)が上や下に偏ってしまうことがままあること。これはスピーカーの設置位置や設置角度などの微調整が必要で調整に苦労している人も少なくないだろう。しかし、BLUESOUNDとパラダイム「PREMIER V2シリーズ」による再生では、最低限の調整と、スピーカースタンドもパラダイムの別売スタンドを使用しただけという状況にも関わらず、フロントとセンターの音がうまく溶け合い、センタースピーカーの位置がスクリーン下にも関わらず、しっかりとスクリーン上に定位した感じになり、不自然さをほとんど感じなかった。「PREMIER V2シリーズ」の位相特性の良さ、自然な音の広がりといった特徴はこういった点でも効果を発揮するのだと実感することができた。

ともあれ、POWERNODE(N331)の3チャンネルアンプ内蔵や5.1ch再生への発展は、当初こそ簡易的なものと高を括っていたが、AVアンプを導入するほど真剣にホームシアターを実現しようというほどではないものの、映画などは、手軽にサラウンドを楽しみたいという人にはなかなか魅力的だと思った。まずはPOWERNODE(N331)で、前方だけの3.1ch再生を楽しむ。パラダイムのスピーカーとの組み合わせならば、3.1.2構成にも似た高さ感まで楽しめるものになるだろう。それが面白いと感じたら、5.1chへ発展するとさらに臨場感のあるサウンドを楽しむことができる。
また、音楽配信サービスをはじめとする多彩なネットワーク再生を楽しめるだけでなく、HDMI(ARC)を使って薄型テレビを中心としたリビングオーディオシステムとするのも面白いだろう。音楽配信だけでなく、テレビ側で動画配信も楽しめるなどの機能性はもちろんだが、サブウーファーを組み合わせて3.1ch再生とすることで、テレビドラマやアニメなどもより楽しくなるはずだ。センターチャンネルがあるので、セリフがより明瞭に聞こえるようになるし、サラウンド音声の雰囲気も味わえるだろう。
まとめ
このように、POWERNODE(N331)は、アンプ内蔵で後はスピーカーをつなぐだけというシンプルなスタイルがより魅力を増したものになったと思う。アンプの実力の点でも、大型スピーカーをしっかりと鳴らす駆動力が確認できたし、音質は色づけが少なく、聴きやすい。そして、パラダイムの新しい「PREMIER V2シリーズ」にも感心させられた。音場感に優れた再現や濁りのない清潔感のある音はパラダイムの上位シリーズにも迫る実力だし、サラウンド再生においても高さまで感じる立体感やセンタースピーカーの音のつながりの良さなど、かなり魅力を増したものだと感じた。ホームシアターに適したスピーカーを探している人はぜひ参考にしてほしい。
最後に
POWERNODE(N331)のような、リビングに適した使い勝手の良さ、コンパクトでオーディオ機器らしくないデザインなど、今後ますます注目されるはず。リビング向けのちょっと洒落た、しかし機能性や音質はしっかりした実力を備えた製品が欲しいという人は、ぜひとも注目してほしい。






