わが家のオーディオルームのネットワーク環境を抜本的に改善する集中連載の第2回。
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前回は、オーディオルームに届いたインターネット回線を一度光信号に変換してノイズを絶縁する「OPT ISO BOX」、そしてオーディオルーム専用のルーターを配置(二重ルーター化)し、オーディオルームのネットワーク回線に繋がる機器の数を減らし、データの流れを整頓する「DATA ISO BOX」と専用無線LANのための「OPT AP」を試した。
これらによって、わが家のネットワーク環境はかなり改善され、音楽配信サービスの高音質化をはじめ、家庭内LANにおけるハイレゾ音源再生もクォリティアップ。そして、Apple TV 4Kを使っている動画配信サービスでも音声に加えて映像もより緻密で情報量も豊かなものになった。

トップウイングの新製品オーディオ専用ハブを試す
今回挑戦したのは、スイッチングハブの改善。スイッチングハブとは、ネットワーク接続を必要とする複数の機器を接続する機器でネットワーク信号を分配・供給するアイテム。現在ではオーディオ用スイッチングハブも数多く登場し、確かに見逃せない音質的な効果が得られるが、オーディオ用と呼ばれるものの多くは高価だ。それが税込22万円で手に入るのが、トップウイングの新製品「OPT REF SW」。
改善❶
ネットワーク再生の要、オーディオ専用ハブを試す

トップウイング初のオーディオ専用ハブ、OPT REF SW(¥220,000税込)。オーディオ再生に求められる、高品質かつユニークなネットワークアイテムを多数送り出してきた、同社が満を持して送り出した、スイッチングハブ。「単なるネットワーク機器ではなく、オーディオ再生における信号の純度と時間軸の整合性を追求するために、一から設計された完全オリジナルのオーディオグレード」のスイッチングハブだ
一般的なLAN接続に使われるRJ45端子が5ポート、光LAN接続も可能なSFP端子が3ポート、10Gbps対応のSFP+およびSFP互換端子が4ポートとなっている。クロック回路は、Super TCXO MEMSと低位相ノイズPLLによる二段構成のシステムとした。
スイッチングハブとは、ネットワーク回路に接続された機器から届くデータの宛先情報を読み取り、必要なポートへデータを送り出すハードウェア。全ての信号をただポートに流すのではなく、内部のスイッチング回路が、瞬時にデータの交通整理を行なっている機器と考えていい。この処理は基本的に電気信号で行なわれるが、それは各ポートの送/受信回路や内部クロック、バッファーなどが高速かつ連続的に動作することを意味し、電流変動によるノイズ発生が起こりうる。「音質」などを考慮するのであれば、ハブ自身が正確なクロック回路を備えて、各ポートの動作や内部処理のタイミングを安定させる必要があり、OPT REF SWは、これらの点に対して、徹底的にこだわっているのである。さらにOPT REF SWでは、ポートノイズにも注目し、スイッチング回路を支えるCPUを含む制御系のソフトウェアを最適化させることで、電流変動やノイズ発生を抑えている。

RJ45と呼ばれる一般的に使われるLANポート5系統のほかに、1Gbps対応のSFPポート3系統、SFP1Gbps/SFP+10Gbps対応ポート4系統を搭載。10MHzクロック入力も備えている。幅335mm、質量は約1.4kg。クロックはSuper TCXO MEMSを採用。恒温槽を使う従来のOCXOとは異なり、ヒーター不要であるため、発熱などの電源変動要因を持たないメリットがあるという

前回の連載で試した、光絶縁ツールOPT ISO BOX(左手前)、オーディオ専用ルーターDATA ISO BOX(左奥)、専用アクセスポイントOPT AP(右)は、ラックの天板から中段に移動している
ハブの大きな効果を実感。音楽が自然に生き生きと鳴る
まずはこのOPT REF SWをわが家のオーディオルームのネットワークに組み込む。DATA ISO BOXでオーディオルーム専用となった回線をOPT REF SWに繋ぎ、各オーディオ機器(ネットワークプレーヤー、ミュージックサーバー、動画サービス用ネットワークプレーヤーなど)も同様に、OPT REF SWのRJ45ポート経由でLAN接続する。
さらに多くの機器との接続が必要な場合は別のスイッチングハブをカスケード増設する。僕の場合はこれまで使っていたハブを活用して、アップデートなどで使用するだけの優先順位の低い機器などを繋いでいる。
さっそくリンのネットワークプレーヤーMAJIK DSで、アイ・オー・データのサーバーRockDisk Next(HLS-C2.0HF)に保存していたハイレゾ音源を再生してみたが、聴いてすぐに“音が生き生きとした”と実感した。前回すでに大幅なノイズ低減を果たしており、情報量なども十分と感じていたが、さらにその上があったわけだ。
ノイズの影響などがさらに減り、音がより自然に、本来の音色で生き生きと鳴る。もう少し詳しく言えば、音の数が増えるというよりは音の質感や感触が生の楽器の音に近づいた印象だ。出音の勢いというかリズム感、オーケストラが演奏するときの各楽器の出音が揃った感じがよくわかるようになった。細部だけに注目せず、音楽全体を一望するように聴けば、音場の奥行や目の前に現れるオーケストラの楽器群の見通しが良くなることも明確になる。オーディオ用スイッチングハブの意義、意味を確かに実感、大きな改善効果を感じた。
ハブの電源を強化で激変。ここまで変わるのか! と驚く
まだ終わりではない。オーディオ信号の正体は数字や記号ではなく、電気信号である。つまり、大元の電源供給を改善すれば、電気信号の質、すなわち音質も改善される。この理屈自体は従来からのオーディオと同じだし、受け入れやすいだろう。
ということで、電源の強化だ。OPT REF SWの給電は、付属のACアダプターで行なうタイプだが、これをリニア電源を採用した電源アイテムに変更してみる。
そのアイテムがトップウイングの「DC POWER BOX 12V」。トランスは大容量Rコアトランス。応答性が高く、大電流時でも歪みや唸りが少ないことが特長だ。後段の回路はあえてシンプルな構成としてトランスの良さを活かしたクセのない音質を目指している。
改善❷
ハブの電源を強化する

ACアダプターで給電される機器に対して、より高品位な電源を送り出すためのトップウイング製のリニア電源、DC POWER BOX。大容量かつ低歪みという観点で選定されたRコアトランスと、必要最低限のレギューレーター回路により構成された。5V、12V、19Vの3仕様が製品化されているが、OPT REF SWの給電が可能な12V仕様(DC POWER BOX 12V)を今回使っている。価格は3仕様とも5万5,000円税込となる

OPT REF BOX付属のACアダプター。当然、安定した動作はするが、ネットワーク品質を向上させるために、今回は外部リニア電源であるDC POWER BOXを試した格好だ
さっそく試す。電源の重要度をよく知っているはずの僕でもこの変化には驚いた。スイッチングハブの電源強化でここまで変わるのか!
先ほどの言い方をなぞるのであれば、“音の活きの良さが違う”なのだ。単に音が躍動的というだけでなく、血が通って、力が漲るような変化があった。音場の見通しはさらに晴れやかになり、音の雑味がさらに減ったこともすぐにわかる。
さらにダメ押しだ。DC POWER BOX 12VとOPT REF SW間に使うDCケーブルを、これまたトップウイングがリリースしている「DC Au Cable 2.1」に変更。どれも同じように見えるDCアダプターの接続プラグを整理したい狙いもあり開発されたアイテムだという。
DCアダプターを使う様々な機器でDC POWER BOXを使えるようにするための役割もあり、線材は錫メッキ銅で絶縁材はPVC、外被はPE。DCを過不足なく伝送できる2芯/ノンシールド構造としている。実際に試してみると、音の力感や勢いが高まり、温度感も向上したうえに、全体に質感の向上などが感じられた。
なお、DC POWER BOXを、OPT ISO BOXなどのその他の機器の強化に使うことも可能だ。接続するプラグに合わせて3種類の「DC Au Cable」が用意されているので、様々な機器と合わせて使うこともできる。これらについても、気になる機器/箇所に合わせた導入を今後考えていきたい。
改善❸
強化電源とハブへの給電ケーブルをグレードアップ

DC POWER BOXから、OPT REF SWハブへの給電用ケーブルのグレードアップアクセサリーをトップウイングでは用意している。DC Au Cableというアイテムで、高電圧、高電流の給電に対しての音質と信頼性の両者を高いレベルで追求し、2芯ノンシールド導体構造、錫メッキ銅撚り線の18AWG仕様の線材を用いている。写真左がDC POWER BOX同梱の給電ケーブル、右がDC Au Cableだ。様々なコネクター種別が用意されているが、今回はDC Au Cable 2.1(両端が内径2.1mm/外径5.5mm、長さ1m仕様で価格は5,500円税込)を使った

写真上がOPT REF SW。LANケーブルが多数接続されている。右下にちらりと写っているのが、DC POWER BOX。中心あたりにDC Au Cableが繋がっているのがみえる
ハブはもはや通信機器に非ずオーディオ機器と認識すべきだ
スイッチングハブをオーディオ用のものにする効果は絶大で、OPT REF SWなら費用の負担も比較的小さく、電源強化など予算に合わせて導入できるのも良い。高価なスイッチングハブの実力も確かに驚かされるものがあるが、OPT REF SWはコストパフォーマンスを考えるとかなり優秀なアイテムだと断言していいだろう。
導入して数日経つと音の活きの良さがさらに良くなったと気付く。トランスを使用した電源部もそうだし、スイッチングハブ自体も慣らし(エイジング)による動作の安定性やノイズ低減効果の向上があるようだ。
そして、先日配布されたv1.0.13のファームウェアアップデートも実施した。不具合改善や動作安定性の向上のほか、LANポートの動作を示すLEDランプの点滅をオフすることができるようになり、実際に試してみると、さらにS/N感が向上するメリットが得られた。
ネットワーク環境は今まであまり手を付けていない箇所だったこともあり、わが架空劇場では改善の余地は大きな部分だった。とりわけスイッチングハブはその重要度が高かったことを、今回の実験で改めて実感した。もはや、スイッチングハブは、単なるネットワーク関連機器ではなく、立派なオーディオ機器として、設置や給電のあり方などにこだわるべき時期なのかもしれない。(続く)
鳥居邸ネットワークシステム環境(2026年5月取材後)

>本記事の掲載は『HiVi 2026年夏号』


