『ゴーストワールド』や『ロスト・イン・トランスレーション』に出演したスカーレット・ヨハンソンが、初めて長編作品の監督・プロデュースを手掛けた。

 タイトルからもわかるように、主役はエレノアという名の女性。『テルマがゆく!93歳のやさしいリベンジ』でテルマ役を演じたジューン・スキッブ(1929年生まれ)がますます元気に、エレノア役を演じている。とはいえ、長く生きれば生きるほど、周りの仲間たちはどんどん世を去ってゆく。エレノアも大の親友を失ってしまった。そこで娘や孫の住む大都会ニューヨークへ向かうのだが、なにしろニューヨークの人々は忙しいし毎日が超アップテンポだ。淋しくなったエレノアは、たまたま「ホロコースト生存者の会」に足を運ぶ。先に書いた親友はホロコーストの生存者だった。そこでエレノアは親友からきいたことを自分自身の体験のように語ったところ、それが周りの人々の心を打ってしまった。大感動したひとのなかには、ジャーナリスト志望の学生ニナもいた。「このひとを知らしめなければ、もっとホロコーストの真実を伝えなければ」と思うのは、ジャーナリストとしてはごく当然のことだ。

 さあ、ここで私は問いを突き付けられているような気分になる。エレノアはホロコーストの生存者ではない。だから自分のことであるように語ったのは「嘘」だ。だがホロコースト生存者は生きている時、エレノアに事細かに話してくれた。それを次の世代に届けることは、二度とそのような惨事を起こさないためにも、私が思うに「善」だ。さあ、どうしたものか。映画の登場人物の心の揺れ動きと、自分の心の揺れ動きがシンクロする。そこでニナの「ジャーナリスト志望」という設定が生きてくる。できる限りフラットに、公明正大に伝えていくことが、いわばジャーナリストの責務だからである。

映画『エレノアってグレイト。』

6月12日(金)より新宿バルト9ほか全国順次公開

監督:スカーレット・ヨハンソン 脚本:トリー・ケイメン
出演:ジューン・スキッブ、エリン・ケリーマン、ジェシカ・ヘクト、リタ・ゾーハー、キウェテル・イジョフォー

キャスティング:エレン・ルイス、ケイト・スプランス 音楽監修:ランドール・ポスター 音楽:ダスティン・オハロラン 衣装デザイナー:トム・ブローカー 編集:ハリー・ジャージアン プロダクションデザイナー:ハッピー・マッシー 撮影:エレーヌ・ルヴァール エグゼクティブプロデューサー:ルーシー・キース、ジェニー・ハルパー、ピーター・ソビロフ、ミシェル・ソビロフ、アンドリュー・カロフ、アンジェラ・カードン、ジェイミー・ヒース、スティーヴ・サロウィッツ、ジャスティン・バルドーニ、ラージ・キショー・カワー、エズラ・ガベー、ジャン・マカドゥ、シャルロット・ドーファン、ロバート・ケッセル、スーザン・リーバー、トリー・ケイメン、エリン・クレシダ・ウィルソン プロデューサー:スカーレット・ヨハンソン、ジョナサン・リア、キーナン・フリン、トゥルーディ・スタイラー、セリーヌ・ラトレイ、ジェサミン・バーガム、カラ・デュレット
【2025年|アメリカ|ビスタ|カラー|98分】 配給:東映ビデオ
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