1950年代の全米ヒットチャートを賑わせたミッキー&シルヴィア「ラヴ・イズ・ストレンジ」の心地よい響き、それがこの映画では恐怖の序章になる。監督は、独立系映画会社“NEON”の歴代興収記録を更新した『ロングレッグス』(ニコラス・ケイジの白塗りも話題を集めた)のオズグッド・パーキンス。どおりで不気味なわけである。気鋭ホラー監督の新作、ということで見る側の期待を裏切ることはないであろう。
物語のシチュエーションは、けっこうこじんまりとしている。2023年のハリウッドでのストライキを利用して、カナダのバンクーバーに飛んで撮影したという。光の入れ方、編集や音(foley)も含めて、相当、考えに考えたのではないかと私は感じている。なかなかの美男美女カップルがこじゃれた山荘(ロッジという感じか)でなかなかいい感じなのだが、どういうわけか、彼女がひとりきりになる妙なことになる。だが彼氏に限らず登場人物はそれに気づかず……という感じ。
と書くとドリフターズのお化けコントみたいだが、とにもかくにも見る側(我々)には認識できるので、とにかく彼女の意識が正常さを保つこと、一刻も早くその空間から脱出することを願ってやまなくなる。なんというのだろう、見ていると自分も劇の中に紛れ込んでいるような感じになってくるのだ。もちろんこの山荘が持つ秘密というか、なぜそんな妖気をまとうようになったのかについても丁寧に描かれており、作りこまれた怪物たちの姿ともども、この不気味さと丁寧さのバランスがオズグッドの魅力なのかとも感じさせられた。
脚本はニック・レパード、主演はタチアナ・マズラニー、共演はロッシフ・サザーランド。
映画『KEEPER/キーパー』
5月29日から ヒューマントラストシネマ渋谷、ヒューマントラストシネマ有楽町 ほか全国ロードショー
監督:オズグッド・パーキンス
出演:タチアナ・マズラニー ロッシフ・サザーランド
2025年/カナダ/99分/カラー/ビスタ/5.1ch/日本語字幕:中沢志乃
映倫マーク:G 配給:ショウゲート
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