第98回アカデミー賞 脚本賞/国際長編映画賞ノミネート、第78回カンヌ国際映画祭パルムドール(最高賞)受賞作品。内容に関しては邦題に示されている通りであるようにも感じたが、偶然というのは予想できないところにやってくるもの。だから目が離せないし、手に汗も握る。各賞に選ばれるのも当然だろう。

 主人公の名前は、ワヒド。とある義足の男に、ある意味人生をズタズタにされてしまい、その後遺症が肉体的にも精神的にも残っている。恨みを晴らそうという準備も万端だ。そしてある日、彼は義足の看守を見つける。あいつに違いないとばかりに、ワヒドはその男を捉え、荒野に穴を掘ってそいつを埋めようとするのだが、何かが違うのだ。考えてみたらワヒドはその義足の看守の顔を見たことがないし、どうも「この男を敵と定めて復讐する」ファクターにはなんとなく欠ける。それからワヒドの「新犯人探し」が始まってゆくのだが、けっこうどんでん返し的シーンもあり、途中からシヴァという女性の存在感が俄然、増していくところもあり、終結部における限りなく余韻を残す描写も含めて、脚本も手掛けたジャファル・パナヒ監督の才気が光りまくる。きくところによると映画には監督が受けた2度の投獄経験や、同じ境遇の人たちの声も反映されているという。

映画『シンプル・アクシデント/偶然』

5月8日(金)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下 ほか全国公開

監督・脚本:ジャファル・パナヒ
出演:ワヒド・モバシェリ、マルヤム・アフシャリ、エブラヒム・アジジ、ハディス・パクバテン、マジッド・パナヒ、モハマッド・アリ・エリヤ
英題:IT WAS JUST AN ACCIDENT/2025年/フランス・イラン・ルクセンブルグ/ペルシャ語/103分/日本語字幕:大西公子/字幕監修:ショーレ・ゴルパリアン/協力:ユニフランス
配給:セテラ・インターナショナル
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