「冤罪」「復讐」「人間ドラマ」という、ある意味映画好きなら誰もが惹かれるテーマに満ち満ちた一作。しかも美術と衣装はセザール賞を受賞したというだけあって卓抜の一言に尽き、自然光を生かした映像も実に美しい。映像が美しいほど、内容のドロドロ具合が際立つというわけだ。あらゆる事象がコンパクトに短縮化されているような空気の中、ある種、時代に逆行するような約180分の大作だが、第77回カンヌ国際映画祭では11分間のスタンディングオベーションを獲得し、フランス国内で940万人を動員したという。重厚長大なものに浸るのも、人生において重要なのだ。

 ストーリーは、文豪アレクサンドル・デュマが記した「巌窟王」に基づく。まさに古典中の古典、読んだことはなくてもタイトルは知っているという人も多いことだろう。物語の起点となるのは1815年。主人公の航海士ダンテスはある日、無実の罪で投獄される。策略の犠牲となったのだ。だが、やっていないものはやっていないのだ。やっていないことを証明するのは、やったことを証明するよりはるかに難しいのだが、ダンテスは老司祭との出会いによってより知的に、冷静に、ある意味狡猾になり、奇跡的に脱獄を果たした後、異様にリッチな謎の人物“モンテ・クリスト伯”としてパリ社交界にデビューする。さあ、ここからが復讐の始まりである。自分の若き日の人生をぶち壊した者に、生まれ変わったダンテス=モンテ・クリストが徐々に近づいていくのだ。

 この複雑なキャラクターを演じるのはピエール・ニネ、ほかダンテスの婚約者メルセデス役にアナイス・ドゥムースティエ、メルセデスを手に入れるためにダンテスを陥れた政治家役にバスティアン・ブイヨンなどが出演。監督・脚本はマチュー・デラポルトとアレクサンドル・ド・ラ・パトリエールが共同で務めた。

映画『モンテ・クリスト伯』

11月7日(金)より TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー

監督:マチュー・デラポルト、アレクサンドル・ド・ラ・パトリエール
原作:アレクサンドル・デュマ
出演:ピエール・ニネ、バスティアン・ブイヨン、 アナイス・ドゥムースティエ、アナマリア・ヴァルトロメイ、 ロラン・ラフィット、ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、パトリック・ミル、ヴァシリ・シュナイダー、ジュリアン・ドゥ・サン・ジャン

2024年/フランス/178分/シネマスコープ/5.1ch /原題: Le Comte de Monte-Cristo /字幕:手束紀子/
後援:在日フランス大使館、アンスティチュ・フランセ
配給:ツイン
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