伝説的な公演を映画化した、劇場版『JAZZ NOT ONLY JAZZ』が、来る9月19日（金）から全国劇場公開される。製作・配給はWOWOWで、一部の劇場ではDolby Atmos（ドルビーアトモス）による上映も行われる。昨日、109シネマズプレミアム新宿でドルビーアトモスによるマスコミ完成披露試写が開催されたので、潮 晴男さんと一緒に参加してきた。潮さんは本作のサウンドをどのように感じたのか、じっくりお読みいただきたい。（StereoSound ONLINE）
劇場版『JAZZ NOT ONLY JAZZ』
●公開日：2025年9月19日（金）より、全国公開
●出演：アイナ・ジ・エンド、上原ひろみ、大橋トリオ、田島貴男(OriginalLove) PUNPEE、堀込泰行 ※出演者 50 音順
●バンドメンバー：石若駿、西田修大、細井徳太郎、マーティ・ホロベック、松丸契、山田丈造、渡辺翔太
●製作・配給：WOWOW
●チケット料金：劇場窓口￥3,500（税込）、ムビチケ￥3,200（税込）※Dolby Atmos は別途追加料金あり。109シネマズプレミアム新宿は料金体系が異なります
Photo：Maho Korog
“日本で最も多忙なドラマー” と称される石若駿氏が、この日のために実力派バンド「The Shun Ishiwaka Septet」（Dr.石若駿、Gt.西田修大、Gt.細井徳太郎、Ba.マーティ・ホロベック、Sax.松丸契、Tp.山田丈造、P.渡辺翔太）を結成。そこに、アイナ・ジ・エンド、上原ひろみ、大橋トリオ、田島貴男（Original Love）、PUNPEE、堀込泰行といった豪華ゲストが加わり、ジャンルも世代も越えた多様なセッションが繰り広げられた。限られた人しか体験できなかったこのイベントが、今回スクリーンで甦る。
“一夜限りのライブセッション”として注目を集めた『JAZZ NOT ONLY JAZZ』が全国の劇場で公開される。しかもドルビーアトモスでも上映されるとのことで、音楽ファンには見逃せないはずだ。
収録当初『JAZZ NOT ONLY JAZZ』に劇場公開の予定はなく、WOWOWではオンエアだけの予定だったという。それを劇場公開にまで押し上げたのは、ひとえに石若 俊をリーダーとする「The Shun Ishiwaka Septet」のエネルギーと多彩な顔ぶれのゲストミュージシャンによって生まれたケミストリーである。
この作品の凄いところは、2024年6月21日の一夜限りの演奏を捉えているのに、カメラの被りがきわめて少ないことだ。これだけでもWOWOW収録陣の緻密な計算の元に撮影されていることがよくわかる。2Kのハイビジョンカメラによる収録なので、解像感が物足りないことと、ロングショットでの輝度不足はもったいないと言わざるを得ないが、アップになると表情の豊かな映像に俄然色めき立つ。収録は東京・渋谷のNHKホール。
Photo：Maho Korog
音声はホールの臨場感を求めてドルビーアトモスでの収録もなされている（一部劇場にて）。ダイナミックレンジはそれほど広くないが、空間はそれなりにスケールを感じさせる。拍手の演出はやや過剰気味ながら、トップスピーカーから盛大に効果音として現れる。
印象に残ったのは、ゲストミュージシャンのアイナ・ジ・エンド、大橋トリオ、田島貴男、堀込泰行といった、ジャンルも世代も超えたセッションにおけるヴォーカルが、しっかりとセンターチャンネルに捉えられ、上映用として作りこまれていることだった。また、それぞれの声の表情が豊かさに溢れていることにも驚かされる。
僕自身は、ライブ収録作品は、ライブ会場に行けなかった人はもちろん、会場に行った人にももう一度観直して欲しいと思っている。行けなかった人は、その感動を時空を乗り越えて味わえるし、ライブに行った人も、単なる追体験でなく、会場では観ることのかなわないベストポジションで収録した映像・音声を体験出来るからである。
Photo：Maho Korog
最終章に登場する上原ひろみと石若 俊、そしてベースのマーティ・ホロベックの3人による演奏と、後にギターの西田修大が加わった4人の競演がスクリーンに映し出されると、ライブ会場のどんな特等席に居た人であっても未体験のゾーンへと突入する。眼前で繰り広げられる彼らの熱を帯びた圧巻の超絶プレイを捉えたカメラワークとサウンドには誰しも釘付けになることは間違いない。
劇場版『JAZZ NOT ONLY JAZZ』は、これだけでもシアターに足を運ぶ価値のある作品だと思う。その際にはぜひドルビーアトモス上映を選んでいただきたい。
©WOWOW
※StereoSound ONLINEでは「麻倉怜士のいいもの研究所」で本作の収録時の詳細についてリポートしています。こちらも合わせてお楽しみください。
