来年、生誕100年を迎える“永遠のアイコン”マリリン・モンロー。その軌跡を映画や報道フィルム、関係者(トニー・カーティス、ジョージ・チャキリス、ジェーン・ラッセル、ジェリー・ルイスなどの俳優や一般人の彼氏など)の貴重なインタビューでたどる一作といえよう。原題は『Dream Girl: The Making of Marilyn Monroe』と、実にわかりやすい。
混沌としているが本人が述べるほどには悲惨ではなかったらしい少女時代、映画界へのあこがれ、16歳での(おそらく、愛などない形での)最初の結婚、軍需工場で働いていたころに掴んだピンナップガール(日本語にするとグラビアアイドルか?)への切符、ヌードを含むモデル経験、端役でのモノクロ映画登場、有力業界人との交わり、整形手術、自殺未遂などを経て、1953年、『ナイアガラ』、『紳士は金髪がお好き』、『百万長者と結婚する方法』で大ブレイク、いわば“カラー映画に最も映える”女優として世界的なアイコンとなる。そして、ブロンドの髪の毛で体をプリプリさせてため息交じりの声を出してププッピドゥ、というパブリック・イメージが形成されてゆく。
役柄やイメージと本人が同じであるわけはないのだが、ファンの数が多ければ多いほど、比例して「重ね合わせる」「同一化してしまう」層も増えていくはずだ。映画ではモンローがいかに学びを尊ぶ人であったか、先見性のある人であったかも描かれている。が、世間がカネを出すのは「セックス・シンボル」としてのモンローであり、そのあたりの葛藤は確実に彼女をむしばんでいたであろう。最晩年、意味深な関係にあった男性の祝典に登場して「ハッピー・バースデイ」を歌った映像でのモンローは、私には「ラリラリ」に見えた。今も謎の死因について、この映画が自殺説・他殺説のどちらをとっているのか、そこも注目ポイントであろう。監督はイアン・エアーズ。
映画『マリリン・モンロー 私の愛しかた』
5月30日(金)より ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺ほか全国ロードショー
監督・脚本・編集:イアン・エアーズ プロデューサー:エリック・エレナ
出演:マリリン・モンロー、トニー・カーティス、ジェリー・ルイス、ジョージ・チャキリス、ジェーン・ラッセル
2022/フランス/英語・フランス語/ワイド/120分/ステレオ/映倫:G
原題:DREAM GIRL THE MAKING OF MARILYN MONROE
字幕翻訳:星加久実/字幕監修:田村千穂 配給:彩プロ
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