ソニーは、ノイズキャンセリング機能を搭載したワイヤレスヘッドホンの『WH-1000XM6』(ソニーストア価格¥59,400、税込)を5月30日に発売する。
同社は “世界最高クラスのノイズキャンセリング性能” を備えたモデルとして「WH-1000XM5」をラインナップしていたが、今回はその後継機としてさらに進化を遂げている。

本体仕上げはブラック(写真)とプラチナシルバーの2色を準備
WH-1000XM6一番の特長は、グラミー賞受賞/ノミネート歴のあるサウンドエンジニアとの協業によりバランスの取れた音を実現したことだ。CDなどのパッケージメディアや配信用の音源は、最終的にはスタジオでのマスタリング作業を経て音が決まっており、ソニーではマスタリングエンジニアが果たす役割は大きいと考えている。それを踏まえて今回は、著名サウンドエンジニアとのチューニングを実施している。これによって、クリエイターが届けたい高音質を楽しめるようになったとのことだ。
高音質ノイズキャンセリングプロセッサーは「QN3」に進化した。このリニューアルに合わせてD/A変換技術も発展させ、先読み型ノイズシェーパーを新たに開発・搭載している。これにより急峻な音の立ち上がりへの応答性を改善し、迫力ある低音やスピード感のあるサウンドを実現したという。
なおQN3ではノイズキャンセリングの処理速度も7倍以上に高速化され、アダプティブNCオプティマイザーもさらなる進化を遂げた。イヤホンの左右にそれぞれ6つ、合計12個のマイクを搭載してフィードフォワード/フィードバック両方式でのノイズキャンセリングを実施、“世界最高クラスのノイズキャンセリング性能” をまた一歩進めたということだ。

アダプティブNCオプティマイザーでは、外部の騒音やユーザーによる装着状態をリアルタイムで分析、いつでも最適なノイズキャンセリング効果をj吉原する。今回から帽子を被っているかどうかまで識別できるようになったとかで、その効果のほどが期待される。
ドライバーは30mmフルレンジで、WH-1000XM6のために専用設計されたもの。振動板の真ん中はカーボンファイバー素材(硬い材質)で、エッジ部分には柔らかい材質を使うなどの工夫が盛り込まれている。さらに穴を開けたボイスコイルボビン構造を採用することで高音域の再現性が向上、よりなめらかで伸びのある高域を実現したそうだ。
BluetoothのコーデックはSBCとAAC、LDAC、LC3に対応。ハイレゾクォリティでの音楽再生も楽しめる。圧縮音源で失われた高域を補間するDSEE Extremeも搭載済みとのこと。

キャリングケースもよりコンパクトに、マグネットロックで簡単に開閉できるようになった
音楽再生時のモード(リスニングエフェクト)としては、「スタンダード」「BGM」「シネマ」の3種類が準備された。「BGM」は仕事や考え事をしながらBGM的に音楽を流したいという用途を想定したもので、音源が遠くから聞こえるように感じられるという。
「シネマ」はその名の通り、映画を楽しむためのリスニングモード。ソニーによると、3万円以上のヘッドバンド型ヘッドホンは映画視聴でも使われることが多いそうで、今回は360 Upmix fir Cinema機能を搭載して。2ch音源も臨場感のある立体的な音場で楽しめるようにしたそうだ。
通話性能は、5億サンプルを超える機械学習を行ったノイズリダクションAIと6個のマイクを使ったAIビームフォーミングアルゴリズムが進化、これまで以上に聞き取りやすい声を捉えてくれる。
その他、ヘッドバンドの幅も見直されて安定感も向上、アプリでのイコライザーも10バンドタイプになっている(WH-1000XM5は5バンド)。またWH-1000XM6では音を聞きながら充電もできるようになったので、バッテリー残量が少なくなった場合でも安心だろう(充電時間は長くなる場合もあり)。

ノイズキャンセリングやリスニングモードの切り替えなどは、専用アプリから設置可能.。LDACで聞く場合は「Bluetooth接続設定」で「音質優先」を選ぶといいだろう
WH-1000XM6のデモ機でノイズキャンセリングの効果を確認してみた。駅の雑踏をスピーカーで再生している中で音楽を聞いてみたが、ノイズキャンセリングをオンにするとアナウンスや車内ノイズが消え(100%ではないが)、音楽に集中できるようになった。ボーカルや楽器の音には影響は感じられなかったので、これなら日常的に使っても違和感はないだろう。コーデックはキレの良いAACに対し、LDACでは声のなめらかさ、楽器の余韻などがいっそうリアルになる印象だった。
スマホに保存した動画作品もチェックした。「シネマ」モードを選ぶと(エフェクトの切り替えはアプリで行った)、低音の押し出しが強くなり、セリフもくっきり再現する傾向になる。スマホでの視聴だと画面が小さすぎてバランスが悪い、と感じるほどの迫力で楽しむことができた。
なおソニーではヘッドホンを長く愛用してもらいたいということで、イヤーパッドの販売も行っている。同社サイト( https://www.sony.jp/support/repair_parts.html )からオーダーでき、左右どちらかだけの購入も可能。交換は自分で行なうことで修理に出すよりもお安く、手軽に利用できるそうだ。

新製品のWH-1000XM6(左)と、前モデルのWH-1000XM5(右)