柳裕章監督の最新作『事実無根』が本日5月10日(土)、念願の東京での公開を迎え、公開記念の初日舞台挨拶が新宿K’s cinemaで行なわれた。登壇したのは、主演の近藤芳正、ヒロインを演じた東茉凜、そして柳裕章監督の3名(14:30~上映後)。

画像1: 映画『事実無根』が待望の東京での上映が開始。新たな映画賞の受賞も決まり14冠を達成。柳監督は「本当にうれしいです」と感無量の表情

 初日、一回目の上映回は、満席の大盛況。監督は大勢の観客を前に「夢にまで見た東京での上映が実現できて、こんなに多くの方に来ていただいて、本当にうれしく思っています」と満面の笑みでコメント。

 さらに、上映直前にインドの映画祭で特別賞を受賞したことも報告され、ポスターに書かれている13冠が、14冠になったと司会から伝えられると、「すごくうれしいです」と主演の近藤とともに、その喜びを分かちあっていた。

 さて、トークコーナーではまず、京都での先行上映の話に花が咲き、近藤は「最初は2週間の限定上映だったものが、3週間になってよかったねって話していたら、また伸びて4週間になって、5週間になって、最終的に7週間まで伸びて! (こちらが)びっくりするぐらい評判がよくて!」とうれしそうな表情で話していた。その流れで本日の観客に、「観ていただいてどうでしかた?」と促すと、会場からは大きな拍手が贈られていた。

画像2: 映画『事実無根』が待望の東京での上映が開始。新たな映画賞の受賞も決まり14冠を達成。柳監督は「本当にうれしいです」と感無量の表情

 今回の仕事(舞台挨拶・取材)が東京デビューとなった東は、「京都で上映していた時に、まさか東京で上映できるとは思っていなくて。観ていただいたみなさんのお陰でちょっとずつ大きくなれているなって実感しているので、本当に感謝の気持ちでいっぱいです」と初々しいコメントをしていた。

画像3: 映画『事実無根』が待望の東京での上映が開始。新たな映画賞の受賞も決まり14冠を達成。柳監督は「本当にうれしいです」と感無量の表情

 近藤は、監督の柳とはドラマで一緒に仕事をした経験があり、当時からその仕事ぶりに感心していたそうで、「監督になりたいとは聞いていたので、協力できればと思っていたら今回、お話をいただいたので、もう本を読む前からぜひやらせてくださいってお返事したんです」と、その人柄に惚れてオファーを快諾したと話していた。

 その後、相手役に、共演経験のある村田雄浩氏が決まったと聞いて、「一対一でお芝居するのは初めてだったので、とても新鮮だったし、楽しくて、本当に決まってよかったと思いました」と村田との撮影を振り返っていた。

 その流れで話しは東に飛び、監督から「近藤さんや村田さんとの共演は、緊張されていましたよね」と振られると、「緊張しずぎていて、監督にも言われたんですけど、本読みの時に、私の声が小さすぎて、横にいらっしゃる村田さんにも聞こえないぐらいだったんです。その後、現場で近藤さんと村田さんが優しく話しかけてくださったお陰で、どんどん緊張がほぐれていって、お芝居ができたのかなと思います」と返していたが、そこからさらに監督が「緊張がほぐれたというか、殻を破れたのはなぜ?」と突っ込むと、先週の試写会での村田との話を聞いている(知っている)近藤から「なんか言ってたよね。聞いてるよ」と被せられた東は気まずそうな表情で「距離を縮めるために、毎回ランチを誘ってくださるんですけど……」という前置きの後、「あんまり喋ってくださらないので、黙食のランチで……」と、当時の様子をはにかみながら話していた。

画像4: 映画『事実無根』が待望の東京での上映が開始。新たな映画賞の受賞も決まり14冠を達成。柳監督は「本当にうれしいです」と感無量の表情

 さて、話は印象に残ったシーンに移り、近藤はカレーを食べるシーンを挙げ、「そこで初めて彼女(東)と長い芝居をすることになったんですけど、カレーを食べながら同じタイミングでドレッシングを取ろうとしても、ちゃんと対応してくれたので、あっいいなと思って、そこから(二人の)距離感がすごく縮まったように思いますね」と述懐。

 東も同じシーンを挙げ、「私もすごく印象的で。星さん(カフェのマスター役・近藤)の過去を聞くのも、長い間話すのも初めてで、対面で目を合わせながら一緒に食事をしていたので、距離も縮まったし、心の中の距離も縮まったなと感じたので、強く印象に残っています」と撮影を振り返っていた。

 近藤はさらに、今年1月に逝去した西園寺(元刑事の城田 役)との共演を振り返り、「西園寺さんが酔っぱらってカフェに入ってくる二人だけのシーンが本当に思い出深くて」と述懐。「(西園寺が)すっと入ってきただけで、お互いの空気がクワっと出てきて、僕(役柄)は嘘が許せない人なんですけど、彼は嘘を許している。セリフにはないけど、その気持ちが芝居(役)を通してすごく伝わってくるんです」と話すと、監督も「本当にすごくいいお芝居でしたね」と絶賛。西園寺の役に対する向き合い方に感動し、その姿勢が「忘れられない」と追憶していた。

 ちなみに、劇中で夫婦役を演じた西園寺と和泉敬子は、実際の夫婦だという。

 続いて話は撮影手法へ。本作は、台本の流れに沿って撮影を行なう順撮りだったそうで、近藤は東との最初のシーン――履歴書を見て、バイトに雇って、という冒頭のところ――を振り返りながら、「初対面に近い雰囲気も出せたし、最後の琵琶湖のところも、順撮りだからこその雰囲気を出せてよかったんじゃないかな」とコメント。

 監督も「(撮影の)効率は悪いんですけど、(役の関係性などが)どんどん積み重なっていって、面白いものになったので、それでやってよかったと思う」と応え、(仕上がりに)手応えを感じているようだった。東の芝居についても、「(順撮りをすることで)気持ちがどんどんどんどん育っていく感じがして、それが最後の琵琶湖のシーンにも活かせていたと思います」とほめていた。

画像5: 映画『事実無根』が待望の東京での上映が開始。新たな映画賞の受賞も決まり14冠を達成。柳監督は「本当にうれしいです」と感無量の表情

 それを受け東も(少しネタバレしますが)、「終盤の琵琶湖のシーンは、どういう感情でそこに行けばいいのか(の表現)が、本当に難しかったんですけど、その根本にはやはり、お父さんに会いたい! っていう気持ちが強かったから、最終的に行けたんだろうと思っています」と、演じた役柄の心情の変化を語っていた。

画像6: 映画『事実無根』が待望の東京での上映が開始。新たな映画賞の受賞も決まり14冠を達成。柳監督は「本当にうれしいです」と感無量の表情

 その後に起きる、東と近藤のハプニング(?)には、いろいろな裏話も披露されたが、まずはそのシーンの二人の行動を、表情を、心情を、劇場で確認してほしい。

画像7: 映画『事実無根』が待望の東京での上映が開始。新たな映画賞の受賞も決まり14冠を達成。柳監督は「本当にうれしいです」と感無量の表情

 最後に、「みなさんの感想が、とても重要です。ぜひ、作品を観た感想をSNSに載せて、広めてほしいです」(近藤)、「作品を観た感想をSNSで広めていただいたり、家に帰ってから、家族やたいせつな人に話してほしいです」(東)、「今日は、一粒万倍日っていう縁起のいい日なんです。僕は、一粒万倍プロダクションっていう名前の会社を作って、この作品を完成させました。東京での初日を迎えることができて、この喜びを、作品を、広めたいと思っています。ぜひ、作品の感想を家族に伝えていただき、そこからちょっとずつでもいいので、(作品を)広げていけないかと思っています。(作品を)いいと思った方は、ぜひ広めてほしいと思います。本当にありがとうございました」(監督)という挨拶をもって、舞台挨拶は終了した。

画像8: 映画『事実無根』が待望の東京での上映が開始。新たな映画賞の受賞も決まり14冠を達成。柳監督は「本当にうれしいです」と感無量の表情

映画『事実無根』

2025年5月10日(土)より 新宿K's cinema ほか全国順次公開

●舞台挨拶情報
新宿K's cinemaにて、連日舞台挨拶を開催
 上映は1日2回(14:30、16:45)実施
・2025年5月11日(日) 近藤芳正/東茉凜/柳裕章監督
・2025年5月12日(月) 村田雄浩/東茉凜/柳裕章監督
・2025年5月13日(火) 村田雄浩/東茉凜/柳裕章監督
・2025年5月14日(水) 東茉凜/柳裕章監督
・2025年5月16日(木) 安藤玉恵/武田暁/柳裕章監督

<ストーリー>
京都「そのうちcafe」のマスター・星隆史。ひとりで切り盛りしてきたが、利き手を骨折してバイトを雇う事になった。アルバイトに採用された大林沙耶は、高校を卒業したばかりで不器用を絵に描いたような性格。しかし一所懸命かつ異様なほど几帳面に働き、その姿はマスターはもちろん、常連の間でも注目の的となっていった。

そんな沙耶を公園から覗き見る男がいる事に気付いた星。問いただしてみると、セクハラの冤罪で大学教授の職を追われホームレスになってしまったらしい。この男は沙耶の元義理の父親だという。家族に迷惑をかけまいと、事件の渦中に妻と娘の元を離れたが、唯一後悔しているのは「セクハラは事実無根である」という説明を娘にしなかったことだった……。

<出演>
近藤芳正 村田雄浩 東茉凜 西園寺章雄 和泉敬子 仲野毅 西尾塁 しまずい香奈 小堀正博 武田暁

<スタッフ>
原案・監督:柳 裕章 脚本:松下隆一 音楽:上野祥 撮影:武村敏弘 照明:古川昌輝 録音:松陰信彦 美術:小出憲 装飾:長谷川優市呂 ヘアメイク:重松隆 助監督:井田純朋 編集:藤田和延 製作:高原正浩 プロデューサー:安達ツトム 配給:MomentumLabo.
2023年|日本|カラー|99分|1:2|5.1ch|
(C)一粒万倍プロダクション

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