北海道と東京でしか暮らしたことがない私にとっては初めて知ることばかり。三河地方はおろか、繊維に関しても白紙の状態で観始めて、その点、申し訳ない限りだが、この映画には「三河地方と繊維の歴史」についても実にわかりやすく描かれていて、滑らかに「自分になじみのなかった世界」へと案内してくれる。つまりとても学びの多い作品であった。

 約1200年前、日本に初めて綿花がもたらされたのが三河地方であること。西洋の技術を取り入れて発展したこと。戦後、機械をガチャンと動かせば万の金が儲かるという「ガチャ万景気」に見舞われて大いに街が潤ったこと。それがすっかり過去の物語になってしまったこと。が、いま、新しい息吹が生まれようとしていること。三河の繊維にクリエイティヴに取り組んでいる現在進行形の面々がいること。

 いかに世界と結びついていくか。いかにコンテンポラリーな要素を打ち出していくか。聴こえてくるのは希望の響きである。

 企画・プロデュースは数々のテレビ番組をヒットさせた土屋敏男。監督・撮影・編集は岩間玄、語り(ナレーション)は岸井ゆきのが担当した。

映画『わたのまち、応答セヨ』

5月2日(金)新宿シネマカリテ ほか全国ロードショー

配給:鈴正 JAYMEN TOKYO
2024年|日本映画|99分|ビスタ|DCP|5.1ch|
(C)ゴンテンツ

公式サイト
https://watanomachi.com/

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