多機能&高品位で使いやすい。Qobuz体験のはじめの一歩に最適

 ネットワーク時代のオーディオは予想外のことが起こる。新興メーカーからいきなりヒット作が生まれたり、手のひらサイズのプレーヤーが実はハイエンドだったりと、驚くべきアイテムが続々登場して話題に事欠かない。

 アイ・オー・データのSoundgenic Plusも見かけによらず強いインパクトを与える製品だ。ひとことで言えば高機能版のミュージックサーバーなのだが、「fidata Music」アプリと併用するとQobuz、Amazon Music、Spotify Connectが聴けるネットワークプレーヤーに生まれ変わる。ストレージが異なる2モデル(2TバイトHDDまたは1TバイトSSD)の機能は同等で、5~6万円前後と価格も手頃。Qobuzをできるだけシンプルに楽しみたいという人にまずはおすすめしたい1台だが、さらに上を目指したくなったときにアップグレードできる懐の深さもある。

 

画像1: 『IO DATA Soundgenic Plus』注目モデルで聴くQobuz《ネットワークトランスポート、プレーヤー/ミュージックサーバー編》

Network Audio Transport / Player / Music Server
IO DATA
Soundgenic Plus HDL-RA1S
オープン価格(実勢価格6万3,800円 前後)

●型式:ネットワークオーディオトランスポート、プレーヤー/ミュージックサーバー
●ストレージ容量:SSD 1Tバイト
●接続端子:USB Type A端子2系統(USB2.0、USB3.0)、LAN端子2系統(RJ45)
●主な対応ストリーミングサービス:Qobuz、Amason Music、Spotifyほか
●対応アプリ:fidata Musicアプリ
●備考:OpenHome対応、DoP、DirectDSD転送対応、Diretta方式のLAN DAC再生対応、Music Push機能。USBオーディオケーブル、Bluetooth/USBアダプター付属
●寸法/質量:W168×H43×D134mm/約690g
●ラインナップ:HDD 2Tバイト仕様(HDL-RA2H、実勢価格¥53,130前後)あり

 

●問合せ先:(株)アイ・オー・データ機器インフォーメーションデスク TEL. 0120-777-618

 

 

 どういうことか、具体的に説明しよう。まずは、アンプやアクティブスピーカーとアナログで繋ぎ、「ネットワークプレーヤー」としてミニマムなシステムを作るのが基本だ。そして、Soundgenic PlusのUSB Type A出力をD/Aコンバーターに繋ぎ音のグレードアップを狙う「ネットワークトランスポート」としての活用が次のステップだ。この方法は繋ぐ機器次第で大幅な音質向上が期待できる。単体D/Aコンバーターがなくても、CDプレーヤーやアンプにUSB Type B入力があればそれを活用すれば良い。

 ところでSoundgenic Plusから、アナログ接続するといっても本体にはアナログ音声出力端子がない。そこで活躍するのがDAC内蔵タイプのUSB Type A/RCAアンバランスという珍しい形態の付属ケーブルだ。このケーブルはバスパワーで動作し、PCM 384kHz/24ビットとDSD 5.6MHzまでアナログに変換するので、手軽にハイレゾ再生を楽しみたいならこれで間に合ってしまう。

 

画像2: 『IO DATA Soundgenic Plus』注目モデルで聴くQobuz《ネットワークトランスポート、プレーヤー/ミュージックサーバー編》

 

 拡張性も要注目だ。本体はWi-Fi非対応だが、Bluetooth / USBアダプターが付属し、スマホの音源をSoundgenic Plusにワイヤレス送信する用途をサポート。さらに、USB Type A接続で汎用の光学ドライブを繋ぐとCD再生とリッピングまでできるようになる。2系統のUSB Type A端子を活用すれば、Qobuz以外の音源も自由自在に楽しめるのだ。これ1台でデジタル音源はほぼすべて聴けるというメーカーの主張は大げさではない。

 

アイ・オー・データ機器のオーディオブランドfidata(フィダータ)は、非常に使い勝手に優れたネットワーク再生用アプリ「fidata Music」を提供している。本機もそれを活用して、様々な再生を行なう。選曲画面、サーバー/音楽ストリーミングサービス選択、再生楽曲操作の、3要素をわかりやすく配置している

 

画像4: 『IO DATA Soundgenic Plus』注目モデルで聴くQobuz《ネットワークトランスポート、プレーヤー/ミュージックサーバー編》

接続端子はシンプル。オーディオ機器等は、USB2.0端子に、光ドライブや増設用ドライブなどはUSB3.0/2.0に繋ぐ

 

画像5: 『IO DATA Soundgenic Plus』注目モデルで聴くQobuz《ネットワークトランスポート、プレーヤー/ミュージックサーバー編》

付属のUSBオーディオケーブル。片側がUSB Type A、片側がアナログアンバランスRCAとなっている

 

 

付属USBケーブルも侮れないが、USB出力でさらなる高品位を体感

 「fidata Music」アプリを使って、SSDを内蔵するHDL-RA1SでQobuzを聴く。HDL-RA1Sをレンダラーに指定し、アプリの「Music Services」からQobuzを選ぶだけですぐに音が出た。今回はiPhoneで操作したが、画面が見やすくアプリのレスポンスも良好だ。fidataアプリは、iPhone用のほか、iPad用、Android用もあり様々なユーザーに対応している(※)。

 付属USBオーディオケーブルをデノンPMA-SX1 LIMITEDに繋いで、HiVi視聴室リファレンスのBowers & Wilkins 802 D4スピーカーで再生したQobuzの音はオーケストラ、ピアノ、ヴォーカルいずれも音が痩せず、音域の広い楽器でもレンジの不足を感じさせない。同じ曲でサンプリング周波数が異なる音源を聴き比べてみると、ハイレゾ(96kHz/24ビット)はCD相当(44.1kH/16ビット)のロスレス音源に比べて見通しが良く、ピアノの低音域の混濁が気にならない。接続スタイルは簡便だが、ハイレゾの長所は確実に聴き取ることができた。

 デノンのSACD/CDプレーヤーDCD-SX1 LIMITEDのUSB入力に切り替えると、空間がひとまわり大きくなり、低音楽器の重量感が向上、802 D4から思いがけず鳴りっぷりの良い音を引き出してみせた。オーケストラやピアノ協奏曲のダイナミックレンジの広さはこちらの方が余裕があり、クレッシェンドで駆け上がる勢いと力強さも実感させる。

 SSDモデルだけでなくHDDモデルもファンレスの静音設計なので、クラシックの音源でも静寂表現に不満を感じることはない。Qobuz体験の最初の1台として広くおすすめできる製品だ。

※ Android用アプリはQobuz再生非対応

 

 

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>本記事の掲載は『HiVi 2025年春号』

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