昨2024年10月、ストリーミングサービス「Qobuz」がついに日本で正式にサービスを開始した。同サービスは、音質にこだわるオーディオファンにとって待望のプラットフォームとなっており、Qobuzを契約し、本格的にストリーミングを楽しもうとするユーザーも増えているようだ。
Qobuzを再生する方法は、スマートフォンやパソコンなど多岐にわたるが、僕がおすすめしたいのは、専用のストリーマー(ネットワークオーディオプレーヤー)を導入することだ。そのような中、圧倒的なコストパフォーマンスで注目を集めているのが、アメリカのLinkplay Technology社が展開する「WiiM(ウィーム)」ブランドの製品である。

写真(左)WiiM Ultra、(右)WiiM Amp
Network Audio Player
WiiM Ultra
オープン価格(実勢価格5万9,400円前後)
● 型式:ネットワークオーディオプレーヤー
● 接続端子:アナログ音声入力2系統(RCA、1系統MM/MCフォノ入力)、デジタル音声入力2系統(光、HDMI ARC)、アナログ音声出力1系統(RCA)、サブウーファー音声出力1系統(RCA)、デジタル音声出力3系統(同軸、光、USB Type A)、LAN端子1系統(RJ45)、ヘッドホン出力1系統(標準)ほか
● 主な対応ストリーミングサービス:Qobuz、Spotify、Amazon Music、TIDALほか
● 対応アプリ:WiiM Homeアプリ
● 備考:AirPlay2対応、Roon Ready対応、Google Chromecast対応、Bluetooth、Wi-Fi対応
● 寸法/質量:W211×H72×D200mm/1.42kg
Integrated Amplifier
WiiM Amp
オープン価格(実勢価格5万1,975円前後)
● 型式:ネットワークオーディオ対応プリメインアンプ
● アンプ出力:60W+60W(8Ω)、120W+120W(4Ω)
● 接続端子:アナログ音声入力1系統(RCA)、デジタル音声入力2系統(光、HDMI ARC)、サブウーファー音声出力1系統(RCA)、LAN端子1系統(RJ45)ほか
● 主な対応ストリーミングサービス:Qobuz、Spotify、Amazon Music、TIDALほか
● 対応アプリ:WiiM Homeアプリ
● 備考:AirPlay2対応、Roon Ready対応、Google Chromecast対応、Bluetooth、Wi-Fi対応
● 寸法/質量:W190×H63×D190mm/1.84kg
●問合せ先:WiiM Japan
多機能と高音質を詰め込むんだプレーヤーとプリメインアンプ
今回は、WiiMの最新かつ代表的な2モデルを紹介しよう。
まずは、WiiMの最上位ネットワークプレーヤー「WiiM Ultra」。3.5インチのタッチスクリーンを備えたコンパクトな筐体ながら、高級オーディオ製品を彷彿とさせるアルミニウムシャーシを採用。入力端子はアナログ、デジタルとも豊富で、ARC対応HDMI端子も搭載する。ネットワーク接続は、有線LANおよびWi-Fiに対応。さらに300Ωの高インピーダンス対応3.5mmヘッドホン端子も搭載している。
対応ストリーミングサービスは、WiiMの他の製品と共通で、具体的にはQobuz、Spotify、Amazon Music、TIDALなど豊富。Roon Readyにも対応している。また、USBメモリーやネットワークサーバーを利用したデジタルファイル再生もサポートしており、ストリーミングだけでなくローカル音源も高音質で楽しめる。DACチップはESSテクノロジー製ES9038 Q2M。

WiiM Ultraは、ネットワークプレーヤーではあるが、アナログ音声入力、フォノ入力、HDMI ARCと光のデジタル入力を備えている。サブウーファー出力やヘッドホン出力も備わり、多彩な使い方に対応している

「WiiM Amp」は、コンパクトな筐体に、WiiM Ultra同様のネットワーク再生機能とアンプを搭載した一体型機で、パッシブスピーカーと組み合わせることで、最小の構成でストリーミング再生環境を構築できる。タッチスクリーンこそ持たないものの、アルミ製シャーシにホワイトのLEDステータスライトやボリュウムノブを備えた洗練されたデザイン。Apple製品を思わせる高級感が魅力だ。一体型プリメインアンプとして、入力端子は、デジタル光、アナログアンバランス(RCA)、HDMI(ARC対応)、Bluetoothと豊富。ヘッドホン端子は備わらないが、ワイヤレスヘッドホンと組合せ可能なBluetoothトランスミッター機能を搭載する。DACチップはESSテクノロジー製ES9018 K2M。

WiiM Ampは、HDMI ARCと光のデジタル音声入力とアナログ音声入力を備えたネットワーク対応プリメインアンプ。スピーカー端子の間隔が狭いのでバナナプラグなどを活用して、ショートしないようにスピーカーケーブル繋ぎたい

帯域バランスが整って音源に正確な音調が好印象
WiiM UltraをデノンのプリメインアンプPMA-SX1 LIMITEDと接続し、iPhoneにインストールした専用操作アプリ「WiiM Home」を使ってQobuzを再生した(スピーカーはB&W 805 D4)。レディー・ガガ&ブルーノ・マーズによる「Die With A Smile」を聴いてみると、帯域バランスの整った音で、派手さよりもソースに正確なサウンドを重視していることが好印象だった。「ローザ:ヴァイオリン協奏曲 第3楽章/シモヴィッチ(vn)、ラトル指揮ロンドン交響楽団」では、オーケストラの音場が鮮明に再現され、トゥッティの抑揚も緻密に表現されていた。
WiiM Ampは、805 D4と組み合わせてテストした。同じく「Die With A Smile」を再生すると、音場は広すぎず狭すぎずバランスが良い。スピーカーと価格のバランスが取れていないせいか、低音を完璧に制動しているとは言えないが、ヴォーカルの定位感は、しっかり安定している。「ローザ:ヴァイオリン協奏曲」では、コントラバスなど低音楽器の量感も十分に感じられ、演奏が腰高にならないことが嬉しい。
両モデルとも、コンパクトな筐体による設置性の高さだけでなく、アプリの使い勝手や動作スピードが申し分なく、非常に優れた操作性がポイントだ。箱から出してすぐに音が出るということは見逃せない特徴である。
音質は、より高価な機種ならばさらなる表現力を求めることは可能だが、この価格帯での完成度は驚異的。コストパフォーマンスにおいて群を抜いている。もし、このレベルのモデルが2010年代初頭のハイレゾ黎明期に存在していれば、日本のファイル再生の歴史は大きく変わっていたかもしれないとまで思う。ストリーミング時代の有力な選択肢として、WiiMの諸製品は今後さらに注目を集めることだろう。
WiiM(ウィーム)は、ネットワーク系に非常に経験豊富なブランドであり、多機能かつ使いやすいアプリの出来栄えが秀逸。WiiM Homeアプリをスマホ/タブレットにインストールしたうえで、アプリの指示に従い初期設定が完了する流れ。スムーズでほとんど戸惑わずに作業できるだろう。Qobuzの再生操作も非常にわかりやすい
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>本記事の掲載は『HiVi 2025年春号』