Qobuzの音の良さを満喫するのなら外部DAC+有線イヤホン/ヘッドホンがおすすめ

スティック型USB DACでスマホをハイレゾプレーヤーに

 「Qobuzをどうしてもワイヤレスで楽しみたい!」という場合は、高音質コーデックをサポートしたフィーオのUSB Type C型のBluetoothトランスミッターBT11のようなアクセサリーの活用が考えられる。とはいえ、ワイヤレス伝送可能なハイレゾ音源への対応は96kHz/24ビットまで。Qobuzの音の良さを満喫するには、やはり有線接続がベストだ。

 そこで今回用意したのは、編集部に常設しているアステル&ケルンのPEE51。最新のiPhoneやiPadなどのUSB Type C端子に直接接続して使えるスティック型USB DACである。多面体の洒落たデザインが特徴的で、重さは約25g。バッテリーは非内蔵で、USBポートから電源供給を受けて動作する。DACチップはシーラス製CS43198をL/R独立で配置。PCM 384kHz/32ビット、DSD 11.2MHzまでの音源がネイティブ再生できるという本格派だ。出力端子は3.5mmアンバランス出力のみ。今回はWi-Fi接続したAndroid OSのスマホ(Xiaomi Mi 11 Lite 5G)と繋いで、そのサウンドを確認してみた。これに組み合わせるヘッドホンとして、ダイナミックレンジに余裕があり、スピーカー再生に通じる自然な音の拡がりが得られるクロスゾーンCZ-8Aを用意。DSP処理にたよらず、アコースティックな手法だけでヘッドホン特有の脳内定位の違和感を軽減した画期的なモデルで、ハイレゾ音源との相性もいい。

 

画像1: 『Qobuz再生パターン研究 8選』再生パターン①《スマートフォン/タブレット》

 

 まずQobuz純正アプリで、リンダ・ロンシュタット、チョ・ソンジンと、聴き慣れた楽曲のハイレゾ音源を選んで再生。声の質感、奥行を感じさせる自然な定位、そしてピアノの繊細なタッチ、豊かな空間の広がりと、最初の数秒間でQobuzの表現力の非凡さが実感できる。

 帯域バランスは高域、低域ともに誇張することのないニュートラルなチューニングで、声、楽器を問わず、原音を明確に描き出していく解像力を備えている。穏やかに拡がり、消えていく響きの余韻に、うっとりとしてししまったほどだ。

 

スマホでQobuzを再生する場合は、再生音質の設定が重要だ。モバイルデータ通信時は「MP3 320kbs」、Wi-Fi時は「ハイレゾ24-Bit /最大192kHz」など、工夫して使用するとよいだろう

 

 USBのバスパワー電源で、CZ-8Aを十分駆動できるかどうか、やや心配だったが、これも全く問題なし。音量を上げても歪みっぽさはなく、細部の情報が潰れて、聴きづらくなることもなかった。

 天井方向、奥行方向に自然に拡がる音場感と、様々な音源との距離感を明確に描き分けていく分解能の両立は、まさにハイレゾ音源の情報量をそのまま引き出すPEE51と、スピーカーが奏でる波面に近い再現性を備えたCZ-8Aの共演の賜物。

 特にリンダが歌う「デスペラード」(96kHz/24ビット)では声の抑揚、生々しい息づかい、ピアノ、ドラムスの響きが躍動し、収束していく様子と、的確な描写力が印象に残った。

 最後に再生機を第10世代のiPadに変更し、レディー・ガガが自ら書き下ろした映画『トップガン マーヴェリック』の主題歌「ホールド・マイ・ハンド」(44.1kHz/24ビット)を聴いてみたが、彼女の力強い歌声が全開。そこにエレクトリックギターの熱い響きが加わり、相手の苦しみに寄り添うような優しさを感じさせる。実に味わい深い。

 実在感に富んだ彼女のヴォーカルが心に染み込むように響き、その背後にはリバーブのかかったきめ細かな響きが重層的に拡がっていく様子も聴き応えがある。映画のワンシーンが目の前に浮かんでくるかのような説得力のあるサウンドを体験することができた。

 

画像2: 『Qobuz再生パターン研究 8選』再生パターン①《スマートフォン/タブレット》

 

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