Qobuzはスマホ/パソコン用Qobuz純正アプリやオーディオメーカーが作るアプリの他に、サードパーティ製再生アプリでも楽しむことができる。ここではその代表的なアプリを3種類、紹介することにしよう。
Qobuz対応音楽再生ソフトウェア(1)
Roon(ルーン)
月額$14.99、年額$149.88、ライフタイム(買い切り)$829.99
「Roon」はQobuzと連携することで縦横無尽に音楽の垣根を飛び越えられる
約10年前に登場し、こだわり派のオーディオファン、熱心な音楽ファンを中心に支持を集めている音楽再生/管理ソフトRoon(ルーン)。楽曲とそのメタデータをデータベース化することで、ユーザーが所有/保存している音楽ファイルと、Qobuzなどの音楽配信サービスの楽曲を統合して、再生可能なライブラリーを縦横無尽に渡り歩くことができるという優れものだ。
所有している音楽ファイル再生とサブスクの音楽配信の再生の垣根を越えて、自由自在に扱えるだけでも凄いが、さらにそのアルバムに参加しているアーティストの情報を自動取得して、まとめて表示することもできる。
それも演奏家だけでなく、作曲/作詞家、レコーディングエンジニア、プロデューサーに至るまで、それぞれの詳細データの確認が可能で、さらに情報が欲しい場合は、リンクを辿ってお目当てのアーティスト/スタッフの情報に辿り着けるという徹底ぶりだ。
現在、Roonが対応している音楽配信サービスはQobuzをはじめTIDAL(日本未サービス)、KKBOXなど。たとえ現在、使用しているオーディオ機器がQobuz非対応でも、「Roon Ready」であればQobuzの再生が可能。我が家のシステムで言えば、トリノフ・オーディオのコントロールAVセンターALTITUDE 16が「Roon Ready」となるため、ROONの契約さえすれば、Qobuzの音楽配信が楽しめることになる(Roon Serverの端末は別途必要)。

統合音楽再生/管理アプリRoonでQobuzのホーム画面の「ニューリリース」に相当する画面を表示したところ。楽曲フォーマットやリリース日が明示されている。邦楽の日本語表示はやや中途半端な状態だった

Roonは、ネットワークサーバーなどに保存された自らの音源ライブラリーと、QobuzやTIDALなどの音楽ストリーミングサービスを一括して管理・再生できる
iPhone用Roonのアプリ画面。Roonは、同一アルバムのバージョン違いの一括表示機能があり非常に便利だ
Qobuz対応音楽再生ソフトウェア(2)
mconnect (エムコネクト)
mconnect Player(iPhone用¥1,000、Android用¥660)、mconnect PlayerHD(iPad用¥1,000、Androidタブレット用¥660) ※それぞれ無料版Liteあり
ネットワークプレーヤーをQobuz対応に変える「mconnect」
次は韓国のConversDigital社がリリースしているUPnP/DLNA対応の音楽再生ソフトmconnect Player(エムコネクト・プレーヤー)。これも10年ほど前からリリースされている汎用的に使えるネットワークオーディオ再生アプリで、DLNA/UPnPベースのメディアプレーヤー対応機器であればメーカーに関わらず、使用可能だ(ただUPnPベースとされるOpenHome対応のプレーヤー/トランスポートでは基本、動作しないため要注意だ)。
ソフトはiPhone用、iPad用、Android用の3種類が用意され、それぞれ有料版と無料版が存在する。有料版と無料版の違いは広告の有無だけで、基本的な機能性は変わらないようだ。音楽配信サービスについては、Qobuzの他、TIDAL、Deezer、vTunerをサポートしており、無料版でもハイレゾ音源のギャップレス再生が可能だ。
アプリを立ち上げて、設定画面を表示すると、再生デバイスリストが検出され、同じ画面上で対応する音楽配信サービスが表れる。ここで「Qobuz」を選ぶと、同サービスの選曲画面が立ち上がるという仕組みだ。
新譜を紹介する「New Releases」、おすすめのプレイリスト「Qobuz Playlist」、人気曲を集めた「Streaming charts」など、Qobuzの音楽再生に関する基本サービスはほぼサポートしている。
楽曲の再生、送り/戻し/一時停止/停止などの基本操作に加えて(停止がある音楽再生アプリは珍しいが)、再生中のオーディオ機器にボリュウム機能がある場合は、音量調整が可能。また再生画面下に、フォーマット、再生周波数、ビット長、ビットレートなどの楽曲の基本データが表示される。デザイン、機能性、操作性と、アプリとしての完成度は非常に高く、タッチパネルによる操作もサクサクと反応し、焦れったさを感じるようなこともない。またQobuz再生曲を複数のスピーカーから同時に再生(マルチルームスピーカー再生)したり、Google Chromecastデバイス、あるいはAirPlay対応デバイスに転送して、再生することもできる。このあたりの機能性、使い勝手の良さが評価されているのか、海外のオーディオメーカーで使われている例が多い。

UPnP/DLNAおよびGoogle Cast(Chromecast)をサポートするネットワークプレーヤーソフトウェアのmcconectもQobuz再生機能を実装している。無料版と有料版があるが、広告表示がされるか否かの違いだけのようだ

音楽ストリーミングサービスは、QobuzとTIDAL、Bugs(韓国の音楽配信サービス)に対応している。個別にオンオフが可能だ
iPhone用mconnect Playerの画面。要素が整理され表示されているが、使い勝手は良好だ
Qobuz対応音楽再生ソフトウェア(3)
Audirvāna Studio(オーディルヴァーナ・スタジオ)
月額¥980、年額¥9,980 ※Audirvāna Orign(¥24,980 /買い切り)はQobuz再生には非対応
定番「Audirvāna」のサブスクアプリ「Studio」はQobuz再生に万全対応
そしてパソコン用音楽再生ソフトウェアとして再生品質の高さで定評のあるAudirvāna(オーディルヴァーナ)との連携もQobuzは可能だ。ただ従来と同じ買い切り型「Audirvāna Origin」ではストリーミング音楽配信サービス、ラジオ、ポッドキャストをサポートしておらず、Qobuzを楽しむにはサブスク型「Audirvāna Studio」の契約が必要になる。Qobuzの設定画面でメールアドレスとパスワードを入力し、「アプリ連携を許可する」。これで基本設定は完了して、Qobuzサービスが提供されることになるが、ここで忘れてならないのが「ストリーミング品質を制限」の項目で「HiRes192kHz」を指定すること。これでQobuzの最高品質が約束されることになる。
Audirvāna Studioで特徴的なのは、TIDALとQobuzを統合して、両サービスを並列に扱っているところだ。この2つのサービスを契約している場合、画面右横スペースにプレイリストやお気に入り(My Music)などの項目が「TIDAL」と「Qobuz」別々に表示され、ダイレクトに選ぶことが可能。アルバム、アーティスト、ジャンル、Hi-Resなど、サービスの枠を超えて呼び出され、アクセスできるのも便利だ。
そしてユニークなのが、ローカルの音楽ファイル、音楽配信に関わらず、その音源の品質を判定する「Audio Scan」という機能だ。これは実際の音源データのダイナミックレンジ、ビット深度、チャンネル、DCオフセットなどを検証して、表記されている品質が確保されているかどうか、チェックするというもの。Qobuzの音源品質が目でも確認できるというわけだ。

かつてMac用音楽再生ソフトとして一斉を風靡したAudirvānaは、Windowsにも対応。定額制ソフトの「Audirvāna Studio」では、QobuzやTIDALなどの音楽ストリーミングサービスにも対応している。パソコンからの直接出力の他に、ネットワークを介してネットワークプレーヤー等での再生も可能だ

ハイレゾ音源は、Qobuzの「Q」マークの右に「HD」という表示がされる。デザインはよく研究され、直感的に使いやすく、しかも細部までの情報が網羅されている
パソコン用音楽再生ソフトであるAudirvānaは、音楽再生時に当然ながらパソコンを起動させておく必要があるが、操作用無料アプリ「Audirvāna Remote」が用意され、スマホからの操作が可能。機敏な反応で快適だ
「Qobuz」再生メソッド研究【 ① Qobuz純正アプリ】
https://online.stereosound.co.jp/_ct/17755281
「Qobuz」再生メソッド研究【② オーディオ機器操作用アプリ】
https://online.stereosound.co.jp/_ct/17755286
「Qobuz」再生メソッド研究【③ サードパーティ製アプリ】
https://online.stereosound.co.jp/_ct/17755290
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