これから、Qobuzをどう再生していくべきなのか、オーディオ機器の製品ジャンルに沿って詳解していくが、その前段として「どんな方法(メソッド)でQobuzを再生するのか」を整理しよう。ここでは ①パソコン純正アプリ、②オーディオ機器操作用アプリ、③その他のサードパーティ製アプリの3つに大別して紹介していく。(編集部)

使い勝手に優れた純正アプリ。Widows版には「排他モード」が備わる

 Qobuzはパソコンのウェブブラウザー上のプレーヤーでも再生可能だが、私の感覚では基本的な操作性、使い勝手、そして再生品位についても、パソコン、スマホ/タブレット用Qobuz純正アプリに優位性を感じることが多い。

 たとえば、Qobuzではお目当てのアルバム、楽曲(単曲)、プレイリストのオフライン再生はQobuzアプリだけが可能だ。ここではパソコン用Qobuzアプリの使い勝手を紹介したい。スマホ/タブレット用純正アプリは最適化されてはいるが、画面デザイン自体はパソコン用とほぼ同じ。「オーディオ機器連携用設定」が違うことを意識しておけばよいだろう。

画像: Android用Qobuzアプリ

Android用Qobuzアプリ

画像: iPhone用Qobuzアプリ

iPhone用Qobuzアプリ

 

Windows OS用Qobuzアプリでの再生音質面に有利な「排他モード」あり

 まずWindows OS(基本再生ソフト)用Qobuzアプリから確認していこう。

画像: Windows用Qobuzアプリ

Windows用Qobuzアプリ

画像: Qobuzでハイレゾで再生したいときは、「スペック」を「Hi-Res 24 bit / 176.4kHz-192kHz」にしよう。またWindows用アプリには音質面で有利な「排他モード」が実装されている

Qobuzでハイレゾで再生したいときは、「スペック」を「Hi-Res 24 bit / 176.4kHz-192kHz」にしよう。またWindows用アプリには音質面で有利な「排他モード」が実装されている

 再生前に欠かせない「設定」としては、「ストリーミング」タブ内の「スペック」が『Hi-Res 24 bit / 176.4kHz-192kHz』になっているかを確認することが挙げられる(モバイル環境などでデータ量を節約したい場合は別のスペックをあえて選んでもよい)。

 次に再生機器として「オーディオ出力」で再生したいオーディオ機器を選ぶ流れだが、高音質を引き出すためには、ここでさらに歯車マークをクリックし、そこで「排他モード」を『オン』にしよう。これで音質に悪影響を及ぼすOSのオーディオエンジンやサウンドミキサーを介することなく、Qobuz音源だけをUSB DACなどのパソコンとつないだオーディオ機器を占有できることになる。

 専用ドライバーがインストールされていなくても、画面右下に表示されるオーディオ出力(スピーカー、DACなどの型番、デバイス名)を選べば、同様に再生が可能になる。

 音質的には「排他モード」を選べるのがWindows OSパソコンでQobuz純正アプリを使う際での大きなアドバンテージとなるが、加えてQobuzでは再生する楽曲に連動して自動的に本来のサンプリングレートが切り替わる点も便利。パソコン側の設定によって勝手にオーバーサンプリング再生されることもなく、音源データのオリジナル周波数で楽しめるというわけだ。

 Qobuzアプリでは、Apple Musicアプリにある「音量を自動調整」、あるいはAmazon Musicアプリでの「ラウドネスノーマライゼーション」にあたるラウドネスの自動調整機能は見当たらない。異なる楽曲を自動再生(オートプレイ機能)したり、複数のアルバムを続けて再生したりするような場合、楽曲の切り替わり時に音量の変化が気になることもあるが、これは言わば音質を重視する姿勢の表れ。そう大きな問題ではないだろう。

 

「排他モード」が使えないのが惜しいMac OS用 Qobuzアプリでの再生

画像: Mac用Qobuzアプリ。オーディオ出力を選択している画面だ

Mac用Qobuzアプリ。オーディオ出力を選択している画面だ

 Mac OS用Qobuz純正アプリについても、基本的な設定、機能性は、Windows OS用アプリと大きくは変わらない。ただ唯一かつ大きな違いは、「排他モード」設定がないことだ。この機能がないため、Qobuzの再生時でも、他のアプリの再生音やシステム音などがOS内でミキシングされて出力されるため、当然ながら、音質へのダメージは避けられない。

 実際にWindows OS用Qobuzアプリ(排他モード/オン)とMac OS用Qobuzアプリを使用し、聴き慣れた楽曲を比較試聴してみると、パソコン自体の違いはあるにせよ、ヴォーカルのニュアンス、息づかい、空間の奥行、スケール感、低域の張り出し、分解能と、明らかに排他モードが有効なWindows用アプリの方が好ましかった。

 ストリーミング配信の音質ということでは、Mac OS用Qobuzアプリの再生音は、現時点で相当にレベルが高いと思うが、厳しい視点で比較すると、再生クォリティの差はいかんともしがたい。強力なライバルである、Amazon MusicアプリがWindows OS用、Mac OS用に関わらず「排他モード」が使える状況からしても、Qobuzアプリも早急に対応する必要があるだろう。

 ちなみにスマホ/タブレット版のQobuzアプリについても、Android OS、iOSともに排他モードは非対応。スマホ用はモバイルデータ回線を遮る必要があるため、排他モードの実装のハードルはかなり高いが、高音質の楽曲を提供する配信サービスだけに、ぜひチャレンジしてもらいたいところだ。

 

使い勝手抜群。大本命と目されるQobuz Connect(?)も近々登場予定

 そして近い将来、リリースが噂されているのが、パソコン/スマホ/タブレットを問わずQobuz純正アプリから同一ネットワーク内に存在する対応再生機器(プレーヤー、アンプ内蔵スピーカー、プリメインアンプ、AVセンターなど)を「オーディオ出力先」として直接再生指示を出せ、再生機器側でQobuzサーバーと連携して、高品位かつ簡便、スムーズな再生が楽しめる機能。恐らく「Qobuz Connect(コバズ・コネクト)」と呼ばれるだろう。

 先行するSpotifyで実装され、非常に使い勝手がよいと好評の「Spotify Connect」のQobuz版で、スマホがそのままQobuz対応オーディオ機器のリモコンになるというもの。

 Qobuz純正アプリがそのまま使えるうえに、同一画面で、(機器によっては)オーディオ機器の基本操作(電源オン/オフや音量調整)できる見込み。アルバムやプレイリストなど、再生楽曲データ情報を「キュー(Queue)」として機器側に渡してしまえば、スマホを完全オフにしてしまっても問題ない。帰宅時にスマホ+ワイヤレスイヤホンで聴いていた楽曲の続きを、自宅にある再生機器を画面上で選択するだけで、そのまま再生できる、ということも可能になるはずだ。

 まさにそのつかいやすさと高音質を両立できるQobuz再生の本命。この機能がリリースされると、対応機器が一気に増えることは間違いない。

「Qobuz」再生メソッド研究【 ① Qobuz純正アプリ】
https://online.stereosound.co.jp/_ct/17755281

「Qobuz」再生メソッド研究【② オーディオ機器操作用アプリ】
https://online.stereosound.co.jp/_ct/17755286

「Qobuz」再生メソッド研究【③ サードパーティ製アプリ】
https://online.stereosound.co.jp/_ct/17755290

 

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