HDMI規格の新バージョン「HDMI 2.2」が、CES2025開催前日の1月6日に発表された。最大のポイントは、伝送速度。なんとHDMI 2.1の48Gbpsの2倍の96Gbpsが達成された。
これまでのHDMIの転送速度を振り返ると、2006年のHDMI1.3が10.2Gbps、2013年のHDMI2.0が18Gbps、そして2017年11月のHDMI2.1が48Gbpsだ。ちょうど7年ごとに、2~3倍のスピードアップを果たしていることが分かる。
マンダリンベイ・ホテルで開催された記者会見で、規格策定を行うHDMIフォーラム社長のチャンドリー・ハレル氏は、こう言った。
「HDMIへの期待はひじょうに大きいです。2024年は9億以上のHDMI対応製品が出荷され、当初来の製品数は140億を超えています。HDMIが次世代への移行を模索するのは、コンテンツプロデューサーが常に革新を求めているからです。彼らは制作とコンテンツ、配信において、より多くの帯域幅を求めています。
HDMIフォーラムの普遍的な使命は、新しく高まる需要に応える規格を開発することです。マーケットには新テクノロジーや新製品が続々と投入されています。新規格は、急速に進化するこうした状況に対応します」
そこで開発されたのがバージョン2.2というわけだ。技術的には次世代の固定レートリンク(Fixed Rate Link=FRL)がポイントで、さまざまな組み合わせがあり(パワーポイント写真参照)、非圧縮、圧縮信号のどちらも通せる。非圧縮では、8K/60Hz/4:4:4、4K/240Hz/4:4:4が可能。圧縮では12K/120Hz、16K/60Hzが伝送可能だ。
ディスプレイなどの映像機器と、プレーヤー機器の間にフィードバックループを形成し、映像と音声の同期を確保するLATENCY INDICATION PROTOCOL(LIP)も導入される。ハレル社長は言う。
「AVアンプ、サウンドバーなどを複数のHDMI機器からなるシステムにおいて、特定のコンテンツに対して、音声と映像の同期に不一致が生じることがあります。LIPは、そうした場合でも、同期を確実に確保するように、効果的にリップシンクが確保できます」
今後のアプリケーション例も呈示された。
「AR/VR/MR、空間現実、ライトフィールドディスプレイなどの要求の厳しいデータ集約的な没入型・仮想アプリケーションや、大規模デジタルサイネージ、医療用画像処理、マシンビジョンなどのさまざまな商用アプリケーションのパフォーマンス向上が可能になります」
市場には2025年第3、第4四半期に登場予定。記者会見で私は、「メタル線と光ファイバーのどちらでも大丈夫か?」と質問した。ハレル社長は「どちらも、検証済みです。心配なくお使いください」とのことだ。