スピーカー部門2（ペア10万円以上 20万円未満［税込11万円以上 22万円未満］）第1位 イクリプス『TD508MK4』【HiVi冬のベストバイ2024 特設サイト】

プロフェッショナル、特に録音エンジニアが好んで使うのが、イクリプスのスピーカーだ。音場、音像の正確再現が可能なので、些細なところまで検聴しなければならないモニター用途には最適なのだ。従来のTD508MK3がフルモデルチェンジしたMK4では、こうした「正確な音再現」という美点に加え、エンタテインメント性も加味した。『エトレーヌ／情家みえ』では、音楽的な美質が満開だ。冒頭のピアノの快適なコード進行、アコースティック・ベースのシャープさ、情家みえの声質の艶感……など、本音源を愉しむための情報性に溢れている。もともと音場感、音像感は抜群であり、正確にして、楽しい音楽性も堪能。

前作から12年、熟成の期間を経て完成したMK4モデル。振動板は前作MK3同様にグラスファイバーを採用しているが、磁気回路を強化しユニットを支えるアンカー（錨）を大型化。さらにアンカーを支えるディフュージョンステーの太さを搭載場所によって変えて共振を防止、エンクロージャーの容積を400ccアップして歪みを低減するとともに中低域の再現能力をアップし、音の実在感を高めることに成功した。

卵形スピーカーの人気モデルも、早いもので第4世代。8cm径コーン型ドライバーはエッジ等の細部をモディファイされ、本体容積は20％ほどアップ。角度調節もよりイージーな機構となった。サウンドは低域が伸び、一段とパワフルなパフォーマンスを実現。本機をサラウンドで組んでイマーシブ再生した時の包囲感と方向感は絶妙。

イクリプスの独自のシェイプはそのままに、仕様の大幅なグレードアップを図った同社最新スピーカー。その恩恵は、鮮明なピッチ感によるベースの存在感に現れ、声や楽器の生々しさにも結実。新型MK4機で俄然向上した表現力に感嘆する。外寸拡張＝容積拡大をはじめ、ユニットも各部の強化を図った入魂作である。

楽音波形の忠実な再現やインパルス応答の収まりなど、旧来のスピーカーとやや異なるアプローチで再生音の抜本的な見直しに挑み続けるイクリプス製品。その中堅どころに位置するTD508の最新バージョンが当機だ。点音源志向の基本に変りはないが、ドライバーユニットから一新。磨き上げた音のたたずまいに息をのむ。

デスクトップ使用や壁への設置など、様々な設置レイアウトに対応できるコンパクトな球形スピーカー。8cmフルレンジユニットの改良やボディの容量拡大などを実施。低域再生能力の拡大や中高域のスムーズな再生を実現した。ニュートラルな音調をベースに、音場感の豊かな再生が楽しめる。サラウンド再生でも優秀な実力を発揮。

イクリプスのスピーカーは、エッグシェル・コンストラクションによる歪みのない音場表現とピンポイントの音像表現に優れ、さらにフルレンジ・ドライバーによる高音から低音まで統一感のある音色を追求している。シリーズ最新モデルである本機は、これまで課題だった低音の再生能力が大幅に改善され、表現力が大きく上がった。

8cm径ユニットによるフルレンジ再生という基本システムを受け継ぎつつ、ワンクラス上の低域再現力を目指した意欲作。実際、声の厚み、実在感、バスドラムの躍動と、そのサウンドから確かな進化が聴き取れる。フワッと浮き立つ艶やかな歌声、にじみを感じさせない明確な音像と、ワン・アンド・オンリーの「イクリプス・スピーカー」ワールドが実に楽しい。

8cmフルレンジ・ドライバーとラウンドシェイプのキャビネットで位相歪みの少ない正確な空間再現を狙ったTD508シリーズ機が前作から12年を経て新世代に生まれ変わった。低域の音色と音圧の改善や不要共振の低減など、改善は本質的なもので、帯域バランスだけでなくトランジェントも向上し、ワンランク上の音に進化した。

23年にも及ぶイクリプスの歴史の中で、もっとも出来が良いスピーカーは本機ではないかと思う。周波数特性にクセがなく、出音がきわめてスムーズで音色的に気になるところがない。各チャンネルをすべて本機で揃えたサラウンド・サウンドに脱帽した。