2023年、フランスのアカデミー賞と呼ばれるセザール賞で12部門にノミネート。観客動員100万人越えの大ヒットとなったという一作が11月8日より全国公開される。
舞台は近未来の地球。人間の世界で、徐々に身体が動物と化していく病が蔓延していた。「猫になって一日中ひなたぼっこしていたいニャー」とか「空を飛ぶ小鳥のように自由に生きたいピヨー」というようなお気楽なものでは全くない。自分の体が日に日に動物化していくのだ、発する言葉も徐々に「言葉」から「鳴き声」になっていくのだ。そしてその対象となる“動物”を、おそらく自分の意志では選ぶことができない。原因不明の突然変異である。動物化したからといって体が小さくなるわけではなく、基本的にそのひとの身長に即した動物となる。つまり170cmとか180cmとかのまま「男性/女性」から「オス/メス」になる。人間の身体能力に動物のそれが加わるとどうなるか? 途方もなく狂暴になるに決まっているではないか。
その“新生物”になってしまったのが、主人公・フランソワの妻であるラナだ。すっかり変貌してしまったとはいえ、それでもフランソワはラナを愛している。もっとも今は施設で隔離されているのだが……。しかしある日、移送中の事故によって、“新生物”が野放しになってしまう。フランソワが息子のエミールと共にラナを探しているうちに、エミールが次第に毛深くなり……。この先は想像を超えるスリリングな世界が待っている。同時期公開の『ネネ -エトワールに憧れて-』とは異なるストーリーであるものの、やはりルッキズムの問題を突き付けられているように私は感じた。監督はトマ・カイエ、出演はロマン・デュリス、ポール・キルシェほか。
映画『動物界』
11月8日(金)より、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷他にて公開
監督・脚本:トマ・カイエ
出演:ロマン・デュリス、ポール・キルシェ、アデル・エグザルコプロス、トム・メルシエ、ビリー・ブラン
2023年|フランス|フランス語|カラー|スコープサイズ|原題:LE R?GNE ANIMAL|英題:THE ANIMAL KINGDOM|DCP|128分|字幕翻訳:東郷佑衣|映倫区分:PG12
配給:キノフィルムズ 提供:木下グループ
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