ドキュメンタリー『TOMORROW パーマネントライフを探して』(フランスで110万人が観たという)のシリル・ディオン監督の最新作が、この『アニマル ぼくたちと動物のこと』である。事実上の案内役となるのは、10代のベラとヴィプラン。彼らは地球の環境、地球の未来に大きな不安を覚えている。そこでディオン監督の協力を得て、絶滅を食い止めるための答えを探るべく、環境問題に取り組んでいるさまざまな「先達」に取材する。

 この瞬間、我々の――――というと主語がデカすぎてしまうので、私の――――と訂正するが、とにかく、視点がベラとヴィプランと同じになる。彼らは実にわかりやすく質問し、質問された側も、ひじょうに丁寧に説明する。それに対する彼らの反応も実にわかりやすい。だから見ているこちらも、内容がすんなりと呑み込める。もっとも、いま良くない環境が明日からすっかり良くなるというようなことなど、ない。が、少しでも悪化をくいとめよう、種を重んじようというひとが世界にいて、その人自身の立場で探求や努力をして、それが10代の少年少女たちにインスピレーションを与えている事実は、画面越しにありありと伝わる。個人的には、コスタリカの政策を、うらやましく感じた。

画像: 「気候変動」と「種の絶滅」の核心に迫ろうとする少年少女の視点が、見る者に示唆を与える『アニマル ぼくたちと動物のこと』

 カンヌ国際映画祭2021 ドキュメンタリー映画賞とセザール賞2022 最優秀ドキュメンタリー賞にノミネートされ、ヨーロッパ映画賞2022 ヤング観客賞を受賞した一作。子供と一緒に、もしくは親と一緒に見に行って、見終わった後にじっくり語り合うのも一興だろう。サウンドトラックはセバスチャン・フーグとザビエル・ポリュカルポスが担当。

映画『アニマル ぼくたちと動物のこと』

2024年6月1日(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー

監督:シリル・ディオン
出演:ベラ・ラック、ヴィプラン・プハネスワラン、ジェーン・グドール 他
撮影:アレクサンドル・レグリーズ 編集:サンディ・ボンパー
プロデューサー:ギヨーム・トゥーレ、セリーヌ・ルー他
原語:英語、フランス語
原題:ANIMAL
配給:ユナイテッドピープル
105分/フランス/2021年/ドキュメンタリー
(C)CAPA Studio, Bright Bright Bright, UGC Images, Orange Studio, France 2 Cinema - 2021

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