ソニーの立体視ディスプレイ第二弾となる「ELF-SR2」が発売された。2020年に登場した初号機「ELF-SR1」は、高品位な3D映像がクリエイターを中心に注目を集めた。ELF-SR2はそんな初代機ユーザーの声を反映し、さらに多くの分野で活用できるよう、大きな進化を遂げている。今回は、新世代3Dモニターを目指したELF-SR2の特長や、実際に楽しめる3D映像のクォリティについて検証した。(StereoSound ONLINE編集部)

●空間再現ディスプレイ:ソニー ELF-SR2 市場想定価格50万円前後

画像1: ソニー「ELF-SR2」は、理想的な立体視ディスプレイである。自然で現実感に溢れた裸眼3D映像は、一度体験する価値がある:麻倉怜士のいいもの研究所 レポート100

●パネルサイズ:27インチ
●解像度:水平3,840×垂直2,160画素
●視野角:上20度、下40度、左右各25度
●明るさ:400nits
●コントラスト:1,000対1
●色域:Adobe RGB約100%
●内蔵スピーカー:モノーラル(1W)
●接続端子:HDMI入力1系統、ディスプレイポート1系統、USB端子2系(Type-A、Type-C)、他
●消費電力:64W(待機時0.5W以下)
●寸法/質量:W622×H419×D51mm/6.5kg(本体)

画像2: ソニー「ELF-SR2」は、理想的な立体視ディスプレイである。自然で現実感に溢れた裸眼3D映像は、一度体験する価値がある:麻倉怜士のいいもの研究所 レポート100

麻倉 6月に発売された「ELF-SR2」は、裸眼で立体映像が楽しめるたいへん興味深い製品です。私は初号機の「ELF-SR1」を展示会で確認したことがありますが、その自然さに驚きました。ELF-SR2はそこからさらに進化したということで、まずは概要から教えて下さい。

鈴木 インキュベーションセンター メタバース事業開発部門 部門長の鈴木です。昨今は、VR/ARなどのサービスも充実してきており、各社からそれらを表示するためのデバイスも登場しています。特に今後は立体映像クリエーションやそのB to Bへの展開といった分野は着実に発展していくと考えています。そこに対してソニーが何を提供できるかというと、コンテンツ制作にまつわる部分としてのアプリケーションと、最終段として映像を表示する手段だろうと考えました。

麻倉 “表示する手段” というのが立体視ディスプレイになるわけですね。

鈴木 そうです。立体視ディスプレイはB to B用として企画し、ELF-SR1を2020年10月末に発売しました。今回のELF-SR2は画面サイズが大きくなっただけでなく、デバイス自体も進化しております。

太田 同じくインキュベーションセンターでソリューション担当部長/統括課長を勤めている太田です。私からELF-SR2の技術的な面についてご説明します。

 ELF-SR2は、従来機より大画面化した空間認知システムとして企画・開発を行いました。画面サイズは27インチです。ターゲットはインダストリアルデザインや建築設計、エンタテインメントなどの分野で、実際にデザインのディテイルを確認したり、3DCGを制作するクリエイターの方に使っていただきたいと考えています。またショウルームやサイネージの分野で活用される機会も増えていくことを期待しています。

 ELF-SR1は当初、ARやVRデベロッパーなどのアプリケーション開発を行っている方に向けて発売し、これによって3DCGなどの制作用アプリもかなり増えてきました。アプリが充実してくれば、自分で作った3D画像を商談やプレゼンテーションで使うとか、モデルルームで展示するといった広がりが期待できます。そこで次のステップとして、ターゲットを3DCGなどのコンテンツ制作者にも広げていきたいと考えたわけです。

麻倉 ELF-SR1の登場により、VRやAR空間を生み出すためのツールが多く登場して、制作環境が整ったわけですね。そこで、エンドユーザーに近いところまで立体視ディスプレイを届けようと言う狙いでELF-SR2が誕生したと。ちなみにELF-SR2のお値段は?

鈴木 ELF-SR1が市場想定価格50万円前後で、今回のELF-SR2も据え置きにしました。

麻倉 本当に? 画面サイズも大きくなっているんだから値上がりしてもおかしくないでしょう。

太田 そうなんですが、今回は逆にELF-SR1の方を値下げしています。

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麻倉 それは良心的ですね。立体視ディスプレイを普及させようというソニーの意気込みを感じます。製品としてのスペックも向上してるんですよね。

太田 ELF-SR2の一番の特長は画面サイズが大きくなっていることで、これは実物をご覧いただければすぐにおわかりいただけるでしょう。

麻倉 27インチでパーソナルコンテンツを見るというと、思い出されるのは「プロフィールPRO」ですね。クリエイター向けリファレンスモニターとしてはこのくらいのサイズがぴったりなのかもしれない。

太田 もうひとつの特長は、オブジェクトを原寸大で表示できることです。工業製品のデザイン用として、27インチ画面ならヘッドフォンなどのガジェットを実物と同じサイズで表示できます。

麻倉 初代機の15.6インチでは小さい、原寸大にしてほしいという声は多かったんですか?

鈴木 はい、そういったリクエストはかなりいただきました。

太田 立体視で見る時にオブジェクトを縮小表示すると、どうしてもフィギア感が強くなって、デザイン確認用としては物足りないのです。

麻倉 なるほど、オリジナルのサイズで見ることに意味があるんですね。そういったニーズは他にもあったのでしょうか。

太田 ELF-SR1は医療分野で、シミュレーション・教育用途としてもお使いいただいていますが、そこで一番多かったのも、臓器の3DCGデータを原寸大で見たいという要望でした。原寸大にすることで、手術のシミュレーションが正確にできるというお話もいただいています。

鈴木 15.6インチだと、子どもの心臓のサイズ感しか原寸大で表示できないのですが、27インチなら成人の心臓も表示できます。この点が重要でした。

麻倉 そうなると、27インチといわず、もっと大きな画面の方が喜ばれるんじゃないですか。

鈴木 27インチより大きくなると、B to B用途では設置スペースをどうするかという問題も出てきてしまうのです。

太田 医療機関には、ディスプレイが既に6 枚ぐらい設置されていることも多いそうです。そこに追加するとなると、極端に大きいサイズは難しいという一面もあります。

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麻倉 なるほど。画面サイズは大きくしたいけど、設置スペースは限られるという中で考えると、27インチがちょうどよかったと。ちなみにELF-SR1はシミュレーション以外にどんな使われ方をしていたのでしょうか?

太田 実際の病院というよりも、その手前の研究者の方にお使いいただくことが多いですね。

鈴木 教育用としての使い方が中心です。医学部の学生さん達が、立体映像を見て人体の構造を勉強するそうです。

麻倉 なるほど、そうなると立体の再現性だけでなく、映像の緻密さや色の再現性なども求められそうです。

太田 おっしゃる通りです。そこでELF-SR2では、立体空間画質も改善しています。立体空間画質は、立体映像処理とディスプレイの基本画質、センシングの3つの要素によって構成されていますので、これらをブラッシュアップさせました。

 まず立体映像処理では、超解像エンジンを搭載しています。これはELF-SR1には搭載していなかったもので、ブラビア用に作った超解像エンジンと同じアルゴリズムを流用して空間再現ディスプレイ用に最適化しています。

麻倉 ブラビアと同じチップだけど、処理内容が異なるんですね。

鈴木 ブラビアに搭載しているチップをそのまま入れたわけではなく、アルゴリズムを応用しているとお考えいただければと思います。

太田 3D映像を表示する場合、画面が大きくなると解像感が落ちてしまうのですが、超解像処理を入れることによって大画面であっても解像感を落とさずにご覧いただけます。

 またELF-SR2では2K→4Kアップコンバートにも対応しました。ELF-SR1は4K信号しか入力できなかったのですが、今回は2K信号もアップコンバートしてお楽しみいただくことができます。

 もうひとつ、色モアレ補正も追加しています。空間再現ディスプレイの場合、表面にマイクロオプティカルレンズという立体視のための表面構造がある関係上、どうしても色モアレが目立ちやすくなるんです。それを徹底的に補正しています。

麻倉 画面サイズによって求められる処理も異なるとは、3Dディスプレイも奥が深いなぁ。

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太田 そのひとつとして新クロストーク補正も搭載しました。クロストークは右目用の映像が左目に入るなどして二重像になる現象ですが、15.6インチだと画面が小さいのであまり問題になりませんでした。しかし、27インチになると目から画面の端までの距離が長くなるため、見る角度によってクロストークが起きやすいのです。そこで視聴者の目を検知して、位置に応じたクロストーク補正をダイナミックに行っています。

 また細かい話ですが、ディスプレイパネルは温度によって多少なりとも色ムラの補正内容が変わるんです。今回はそこに対しても、常にパネルの温度を見てフラットな状態に補正しているので、クロストークがかなり抑えられています。

麻倉 今うかがった4つの機能がすべて新搭載されたわけですね。ずいぶん頑張りましたね。

太田 すべて新モデルに合わせて最適化、新設計した機能になります。

鈴木 画面が大きくなると粗が目立ちますからそこを直すというのは、弊社としてはブラビアでもずっとやっていきています。今回もブラビアのチームが最適化を担当してくれました。

麻倉 パネルのスペックはどうなっているのでしょう?

太田 正確な色再現のために10ビット処理を行い、色域もAdobe RGBをほぼ100%カバーしています。ELF-SR1は色域は同じですが、8ビット処理でしたので、正確性という意味では改善されています。

 またELF-SR1は色調整ができず、PC側で調整した信号をダイレクトに表示するという仕組みでした。今回はそのプロセスも見直して、黒レベルやゲインの調整も細かく行えるようになっています。

 センシングは、いかに正確に視線をトラッキングして遅延なく3D映像を再現するかがポイントで、実はこれが映像の解像感にも直結しています。ELF-SR2では視線の追随性もよくなったので、映像のぶれがかなり抑えられています。またレンズが広角設計になりましたので、上や横から見た場合でも正確な立体視を再現できます。

麻倉 レンズのトラッキング範囲も広くしているとは、細かいところまで気を配っていますね。

太田 今回はこれらの処理をハードウェア化した点もポイントです。今まではレンダリング処理などを含めてPC側で処理していたので、アプリの負荷も大きく、ハイエンドなデスクトップPCが必要でしたが、今回はゲーミングノートPCでも3Dを再生できるようになっています。

麻倉 再生システムの負荷が減るのは、ユーザーには喜ばれます。

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太田 あとは、人物の認識精度を上げています。ELF-SR1は暗い環境では認識精度が落ちて、たまに認識できなかったり、映像がブレることもありました。今回は美術館などの薄暗い環境でも使えるぐらいには認識率が上がっています。

鈴木 人の顔を認識して、次に目の位置をセンシングしますので、顔が判別できるくらいの明るさは必要です。さすがに真っ暗では厳しいんです。

麻倉 ところでELF-SR1を初めて見せていただいた時に、サイドパネルがあったほうが没入感を得やすいというお話をうかがいました。それは画面サイズが大きくなっても同じですか?

太田 被写体が画面の真ん中にあるような映像では、サイドパネルの有無はあまり関係しません。しかし水平面や背景も含まれた空間映像の場合は、サイドパネルがついている方がより没入できます。

麻倉 そういう境界線があった方が、広がりを感じる?

太田 サイドパネルがないと、リアルとバーチャルが融合しすぎてしまうようなんです。しかしサイドパネルで閉じてあげることによって、その中の空間がはっきりと認識されます。

麻倉 なるほど、何であれ “けじめ” は必要なのですね(笑)。ところでELF-SR2では、いわゆる3Dデータをすべて再生できるのですか?

太田 すべて、というわけではありません。3D制作用のアプリケーションについては、これまでB to Bでどのアプリが一番使われているのか、あるいはどんな種類があるのかお客様にしっかりお伝えできていなかったため、今回は「対応したアプリケーション」をまとめたポータルサイトを立ち上げました。

麻倉 そのサイトでアプリも買えるんですか?

太田 購入可能なサイトにリンクしています。なおここでは、「空間再現ディスプレイ プレーヤー」という無償の3DCGビューワーアプリを提供しています。対応フォーマットはFBXとOBJ、STL、GLFFで、いずれも3DCG業界ではお馴染みです。

 これまで3DCGのクリエイターやモデラーは、ビューワーアプリも自分で準備しないと3D画像を見ることができなかったんですが、空間再現ディスプレイ プレーヤーを使っていただければ、3Dデータをすぐに立体で表示できます。

 とはいえ、直接自分の制作環境から3DCGを確認したいという方もいらっしゃるでしょうから、プラグインも用意しています。Mayaに対応したプラグイン ソフトウェアの提供を2023年内に開始する予定で、モデリングのデータを作っている最中に制作した立体映像を表示してみるといったことも可能です。今後はMaya以外のツールにも順次対応していきたいと思っています。

麻倉 やはり3DCG制作がメインになるのですね。

太田 一番の用途は3DCGですが、点群撮影のアプリにも対応しています。点群撮影は空間を3Dキャプチャーするもので、美術品や貴重な建造物などを撮影してデジタルアーカイブできます。また点群データは映画やゲーム、CMの背景としても使えます。撮影した物体がCGデータになって、そのまま立体で見られるというのも特長です。

麻倉 点群で撮影することで、実写をCGにも取り込める。面白いアプリですね。

太田 もともとは測量や工事現場などで使うアプリで、点群で撮影して工事の必要な場所などをシミュレーションするといった目的で使われるようです。建築分野では3Dデータを作るのに点群で撮影するという習慣が広がり始めています。

麻倉 点群と言うからには、映像はドットで構成されているんですね?

太田 そうです。2Dで言うところの解像度のようなイメージです。撮影時には色情報も取得しているので、カラーも再現できます。

麻倉 ということは、そのポイントの数が増えれば映像も高解像度になる。

太田 解像度を上げたい場合は、撮影データを元にモデリング処理を行ったり、テクスチャーとして写真を貼り付けたりといった処理も可能です。

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麻倉 その他にどんなアプリがあるのでしょう?

太田 医療系では、「DICOM Viewerアプリケーション」に注目していただきたいです。CTやMRTで撮影すると、一回で何千枚というスキャンデータが得られます。今はその中から一部を抜き出して、人の目でどこに病理があるかといった診断を行なっています。しかしそのデータを
DICOM ViewerアプリケーションでPCに読み込むと、スキャンデータが立体で確認できるようになるのです。しかも動画で再現できますから、圧倒的に分かりやすいというメリットがあります。

麻倉 お医者さんはこれまで数千枚ものデータをチェックしていたわけですか?

太田 病気が疑われる部位の静止画を確認しているそうです。でも、空間再現ディスプレイで3Dで立体に確認すると、どこが悪いのかひと目でわかります。また角度によっては静止画では見えなかった悪いところもわかるそうなんです。さらに動きがつくことによって、本来こう動かなくてはいけないのに、こんなふうに曲がっているといった不具合もわかるので、病状の発見に役立っていると聞いています。

鈴木 医療ドラマなどで、CTスキャンの画像を見ながらお医者さんが症状を解説するといったシーンがありますが、10年後にはすべて立体視になっているんじゃないでしょうか。写真で見るのは古いという時代が来ると思います。

麻倉 これまで医療分野では8Kディスプレイも使われていたと思います。今後は解像度8Kで3Dを表示するといった方向もあるのでは?

太田 現状では、CTスキャンのデータは1枚あたりの解像度はそこまでありません。しかし数千枚のデータを集めているので、3Dで表示する際には既に8Kを超える情報量を持っていることになります。

鈴木 ではそろそろELF-SR2の映像をご覧いただきたいと思います。まず、空間再現ディスプレイ プレーヤーで3DCGを再生します。

麻倉 広がり感が凄いですね。15.6インチからひと回り以上大きくなった印象があります。解像度も劣化していないし、立体視ディスプレイとして、ちゃんと “空間” を再現できている。

画像8: ソニー「ELF-SR2」は、理想的な立体視ディスプレイである。自然で現実感に溢れた裸眼3D映像は、一度体験する価値がある:麻倉怜士のいいもの研究所 レポート100

太田 こちらはフィギアの原型デザイン用に作られたもので、今ご覧いただいているのが原寸大になります。フィギアの髪の毛や顔の凹凸は2Dデータで見ている場合と、3Dモデルを起こした時で印象が変わることも多いと聞いています。しかし事前に3DCGで確認できれば、そういった不自然さがないので、実際のデザイン現場でもお使いいただいています。

 またこのアプリの特長として、アニメーションを制作できます。そこでは背景も変えられますので、屋外・屋内といった環境や、明るさもシミュレーションできます。つまり、3DCGでデザインしたオブジェクトをリビングに置いたらどんな風に見えるか、屋外ならどうかといったことがすぐに判断できるのです。

麻倉 実際にそういう環境がなくても判断がつくと。それは便利だ。

太田 こちらは点群で撮影した茶室の映像です。コントローラーを操作すると、建物の中に入ることができます。どんどん近づいていくと、ドット構造がわかってくるかもしれませんが……。

麻倉 確かにドットの構造が見えてきました。でも木々などはなかなかリアルです。27インチは近年の感覚では決して大画面ではないけれど、立体視の場合、近づいて見るので大きく感じる。

鈴木 エンタテインメント分野では、VRデータを制作・販売しているアーティストさんもいらっしゃいます。これまでは個展で作品を体験してもらう時にはお客さんもVRゴーグルを付けなくてはならず、それが作品鑑賞の障壁になっていたそうです。しかしELF-SR2ならゴーグルなしでも立体で楽しんでもらえる。その意味では、アートの分野でもモニターとして使っていただけるのではないかと考えています。

太田 最後に、麻倉さんに面白い体験をしていただきたいと思います。ELF-SR2で、従来の3DTVの素材として使われていたサイドバイサイドの映像を立体映像として再生できますので、それを御覧いただきます。

麻倉 サイドバイサイドとは懐かしいですねぇ。しかも裸眼で3Dのコンテンツを楽しめるのは貴重です。

画像: 取材に対応いただいた方々。写真右から、ソニー株式会社 インキュベーションセンター メタバース事業開発部門 部門長の鈴木俊之さん、同じくインキュベーションセンター メタバース事業開発部門 プロダクトマネジメント部 アプリ&ソリューション課 ソリューション担当部長/統括課長 太田佳之さん。麻倉さんの左は商品企画課長の森川靖大さん

取材に対応いただいた方々。写真右から、ソニー株式会社 インキュベーションセンター メタバース事業開発部門 部門長の鈴木俊之さん、同じくインキュベーションセンター メタバース事業開発部門 プロダクトマネジメント部 アプリ&ソリューション課 ソリューション担当部長/統括課長 太田佳之さん。麻倉さんの左は商品企画課長の森川靖大さん

太田 本来は医療用の内視鏡アプリです。もともと内視鏡は2枚のステレオ映像を撮影してそれを立体に再現していますので、試しにブルーレイのサイドバイサイド信号を読み込ませたら、ちゃんと立体映像として再生できました。コンテンツ自体が古いので飛び出し感は強調気味ですが、裸眼立体テレビとしての可能性は感じていただけるのではないでしょうか。

麻倉 可能性も感じるし、とにかく楽しいですね。これまで3Dテレビが普及しなかったのは3Dメガネが必要だったことが一番の原因だし、そもそも裸眼だと3Dの画質が悪い。でもELF-SR2は画質もよくなっているし、3Dメガネも必要ない。これは大きなメリットです。

太田 3Dソースの多くは今のところフルHDですが、今後は4Kになっていくでしょう。そうなれば、もっとリアルで高精細な3Dを楽しめるはずで、エンタメ映像も変わっていくでしょう。

麻倉 サイドバイサイドだけじゃなく、3Dブルーレイを再生するインターフェイスも作って欲しいなぁ。個人的にはELF-SR2を早く家庭用テレビとして出すべきだと考えていますが、この映像を見てますますその思いを強くしました!

裸眼で楽しむ立体映像こそ、オーディオビジュアルファンの “夢” 。
ELF-SR2は、その実現に大きく近づいた注目アイテムだった …… 麻倉怜士

 10年ほど前に3Dテレビが流行った時期がありましたが、個人的にはこれは長続きしないと思っていました。というのも、3Dを見るにはメガネが必要だったし、裸眼では解像度が低かったからです。予想通り数年で3Dテレビのブームは終わってしまいましたが、実際問題として、3Dでテレビを見たいっていうのはオーディオビジュアルファン共通の “夢” だと思うんです。

 3年ほど前にELF-SR1を見て、そこに写し出されているダンスホールの映像に驚きました。凄くリアルで、本当にそこで小人が踊っているんじゃないかと思ったほどです。裸眼で、なおかつ解像度が高く、自然な奥行感がある。これにはびっくりしました。

 その後継機であるELF-SR2では、さらに自然でリアリティを感じる映像が楽しめます。前回の15.6インチも、質感再現や自然さという意味では素晴らしかったのですが、いかんせんミニチュア感は残っていた。それは3Dの楽しみ方のひとつではあるんだけど、リアリティという点では違和感がありました。ELF-SR2ではそれが解消されて、本物らしさを感じました。

 ELF-SR2の用途としては、医療用とかデザイン開発、ゲーム制作を想定しているとのことですが、この画質であれば、それに限らずもっと広がっていくと思います。

 これは私が以前から言っていることですが、ぜひELF-SR2をベースにした次世代テレビを発売して欲しい。ELF-SR2はこれまでの3Dテレビの弱点をすべて克服しているわけですから、B to C分野での展開を期待します。

 もちろん目前のビジネスとしては医療用、デザイン用などの需要があるわけですから、それはしっかり拡大していくとして、その次の新しい市場を切り開いていくのがソニーじゃないですか(笑)。期待しています!

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