ヤマハミュージックジャパンから、ネットワークレシーバーの新製品が2モデル発売される。今年5月末に登場した「R-N2000A」の弟モデルで、それぞれブラックとシルバー仕上げが準備される。

R-N1000A ¥198,000(税込、9月発売)
R-N800A ¥143,000(税込、9月発売)

画像: 「R-N1000A」(写真はブラック仕上げ)。上位機の「R-N2000A」からフロントパネルのレベルメーターを取り外し、スイッチ類を中央に配置している。本体下側の有機ELディスプレイは継承

「R-N1000A」(写真はブラック仕上げ)。上位機の「R-N2000A」からフロントパネルのレベルメーターを取り外し、スイッチ類を中央に配置している。本体下側の有機ELディスプレイは継承

 両モデルとも、“さまざまな音楽コンテンツをいつものリビングで気軽にHi-Fiクォリティで楽しむことができるネットワークレシーバー” というコンセプトを、よりお手軽な価格帯で実現する製品として開発された。

 「R-N1000A」はR-N2000Aと同等の機能を備え、使用部品などを厳選することで価格を抑えたモデル。一方の「R-N800A」は既発売のネットワークレシーバー「R-N803」をベースにストリーミング機能を充実させた製品という位置づけだ。

 ネットワーク機能は、Amazon Music HD、Spotify、deezer、radikoなどのストリーミングサービスに対応(別途契約が必要)、その操作は専用アプリの「Music Cast CONTROLLER」から可能という。

画像: 「R-N800A」(写真はシルバー仕上げ)。本体サイズは「R-N1000A」「R-N800A」ともW435×H151×395mmで、「R-N2000A」よりも高さが6mm、奥行は78mm小さくなっている

「R-N800A」(写真はシルバー仕上げ)。本体サイズは「R-N1000A」「R-N800A」ともW435×H151×395mmで、「R-N2000A」よりも高さが6mm、奥行は78mm小さくなっている

 USB DAC機能関連では、DACチップにESSの「ES9080Q」をヤマハ製品として初搭載(上位モデルのR-N2000Aは『ES9026PRO』)。ES9080QはリニアPCM 768kHz/32ビット、DSD22.4MHzの再生が可能だが、今回の2モデルはR-N2000Aと同等のリニアPCM 384kHz/32ビット、DSD11.2MHzへの対応となっている。音声ファイルのフォーマットはAIFF/WAV/FLACなどに対応済だ。接続端子はUSB Type-Bを備える。

 両機の違いとしては、R-N1000AはARC対応HDMI端子を搭載しているので、ARC対応テレビとつなぐだけでテレビ放送や動画ストリーミングサービスの音声も高品質で楽しめる(対応音声はPCM 192kHz/24ビット)。またオプションメニューからPLL(位相同期回路)を3段階に変更でき、再生機器に最適な状態でデジタル信号が伝送できるようになっている。

画像: 「R-N1000A」のリアパネル。ARC対応HDMI端子を搭載しているのが「R-N800A」との違い

「R-N1000A」のリアパネル。ARC対応HDMI端子を搭載しているのが「R-N800A」との違い

 R-N800AはHDMI端子の代わりに同軸デジタル入力を2系統搭載(R-N1000Aは同軸デジタル入力1系統)。テレビの音声を楽しみたい場合は光、または同軸デジタル入力にテレビのデジタル音声出力をつなぐといいだろう。

 内部回路は、ヤマハ伝統のピュアオーディオ設計思想「Top-Art」に基づいた設計が採用された。信号経路のストレート化、最短化にこだわったシンメトリカル&ダイレクト回路レイアウトで、不要振動を吸収・遮断する独自の樹脂フレームが組み合わせられている。

 なおR-N1000Aでは、シャーシ底面に1mm厚の鉄製振動板を追加、ダブルボトムシャーシとすることで制振性・耐振性を一層高めているそうだ。

画像: 「R-N1000A」の底面には1mm厚の鉄製振動板が追加されている。脚部は樹脂製を採用

「R-N1000A」の底面には1mm厚の鉄製振動板が追加されている。脚部は樹脂製を採用

 音質にこだわったパーツとして、カスタムメイドの大型EIコアトランスや大容量ブロックケミコン、ローインピーダンスの大容量パワーサプライを搭載。定格出力100W×2(8Ω)を実現している。R-N1000Aにはハイグレードの高音質ケミコンやアムトランス社製高音質抵抗が奢られている。

 付属のマイクで部屋の形状や壁の材質、スピーカーの設置場所等による再生音の違いを測定し、最適な音質に補正する「YPAO」(Yamaha Parametric Acoustic Optimizer)も搭載。初期反射音を積極的に制御する「YPAO-R.S.C」や192kHz/24ビットの信号まで対応し、64ビット精度で演算・イコライジング処理を行う「ハイプレシジョンEQ」も搭載されている。

 またスピーカーセレクターの設定(A/B/A+B/プリアウト)ごとにYPAOの結果を保存できるので、複数のスピーカーをつないでいるといった使い方でも測定をしなおす必要はない。

画像: 説明会では、ヤマハのフラッグシップスピーカー「NS-5000」との組み合わせで音を確認させてもらった

説明会では、ヤマハのフラッグシップスピーカー「NS-5000」との組み合わせで音を確認させてもらった

 今回両機の音を確認するチャンスがあった。

 まずR-N800A(YPAO-R.S.Cのみオン)でダイアナ・パントンやジョン・メイヤー、上原ひろみのハイレゾファイルを聴かせてもらう。いずれの楽曲もS/Nのいいすっきりした印象で再現される。ダイアナ・パントンやジョン・メイヤーのヴォーカルの定位も明瞭で、眼の前で歌っているイリュージョンが味わえる。上原ひろみのピアノもスピード感たっぷりで切れのいい演奏が再現された。

 続いてR-N1000Aで同じ楽曲を再生してもらうと、楽器の音の厚み、音階の表現などが確実にアップし、演奏の生々しさやステージ感がいっそう感じ取れるようになる。男性ヴォーカルの声の太さ、コーラスとの重なりの美しさなども心地いい。ついついボリュウムを上げたくなる、そんなまとまりのいいサウンドだ。

 今回はスピーカーに「NS-5000」を組み合わせているが、30cmウーファー搭載の3ウェイ機を相手に、これだけのパフォーマンスを再現できるR-N800A、R-N1000Aの実力は、たいしたものだと感じた次第だ(お値段は10倍近いわけだし)。

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