日本でもヒットした『世界の果ての通学路』公開から約10年。同作の制作チームが、新たな作品を放った。
舞台/中心人物となるのは、「ブルキナファソのサンドリーヌ」、「バングラデシュのタスリマ」、「シベリアのスヴェトラーナ」。3人とも女性教師であり、教え子たちにもっと広い世界を知ってほしいと、毎日、張りのある日々を過ごしている。サンドリーヌはとにかく子供たちに文字の読み書きができるようになってほしいと熱を込め、フェミニストでもあるタスリマは子供や女性にもしかるべき権利が与えられるべきだと語る。スヴェトラーナは極寒の中、遊牧民“エヴェンキ族”の伝統が消えていくのではないかと危惧している。
おそらく彼女たちは一堂に会したことがなく、互いのことも知らないかもしれない。が、この映画では3者の登場シーンがいれかわりたちかわり現れるので、「みんなけっこう共通しているところがあるな」、「アフリカでもアジアでも、教育について考えていることにはさほど違いはないんだな」等、共通点がどんどん浮かび上がってくる。
うだるような暑さが伝わってくるようなブルキナファソの風景、すぐさま凍傷になりそうなシベリアの風景、だが観終わって気づくのは、けっきょく「人は人」なのだ、という明快な着地点だ。それにしても、費用がない、近くに学校がないなど、さまざまな理由から学ぶことの難しい子どもたちが1億2,100万人もいるとは。監督エミリー・テロン。
映画『世界のはしっこ、ちいさな教室』
7月21日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国公開
監督:エミリー・テロン 製作:バーセルミー・フォージェア ナレーション:カリン・ヴィアール
出演:サンドリーヌ・ゾンゴ、スヴェトラーナ・ヴァシレヴァ、タスリマ・アクテル 後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ 提供:ニューセレクト 配給:アルバトロス・フィルム
フランス映画|フランス語・ロシア語・ベンガル語|2021年|83分|5.1ch|ビスタ|字幕翻訳:星加久実