B&O(Bang & Olufsen)は、昨日東京・西麻布のKarimoku Commons Tokyoで「The B&O Design -From the Present to the Past -」を開催した。
同社は、1925年にデンマークのStruerでPeterBang氏とSvend Olufsen氏が設立、Acoustic(アコースティック)、Design(デザイン)、Craftmanship(クラフツマンシップ)を大切にしたオーディオ・ビジュアル製品と音響技術の開発を続けているブランドだ。
フロアー設置のスピーカーからポータブルタイプのアクティブスピーカー、ヘッドホン、イヤホン、さらには大型テレビまで幅広いジャンルの製品を揃え、そのいずれもアルミや自然素材を多用した美しいデザインに仕上げられているのも人気だ。
今回のイベントは、そんなB&O製品の最新モデルで、いま最も注目を集めるデザイナーとのコラボレーションモデルとなるWifiスピーカー「Beosound A5」のお披露目と、同社のデザイン軌跡をたどるアーカイブ展となっていた。
会場1Fには1961〜62年に登場したFMやAMラジオの「Beolit」シリーズや、現在でも人気の高いレコードプレーヤー「Beogram 4004」(1974)、ペンシル型のフォルムと音質のよさで大きな人気を集めたスピーカー「Beolab 8000」(1992)が展示されていた。いずれもまったく古さを感じさせない美しいデザインで、同社がいかに上記の3つのテーマを大切にしているかがうかがえた。
その隣室にはヘッドホン/イヤホンといったアイテムを中心に展示。中でも「A8 Earphones」(2000)は耳にフックを掛けるデザインをいち早く採用したシリーズで、当時このフォルムとサウンドに憧れた音楽ファンは多かったはずだ。他にもユニークなところでは壁掛け時計の「Beotime Clock」(1970年代)や電話機「Beocom 1401」(1997)も並んでいた。
その一角に新製品のBeosound A5が並べられていた。既報の通りA5はWiFi対応のアクティブスピーカーで、AirPlay 2、Chromecast built-in、Spotify Connect、Tidal Connectなどの配信サービスやBluetoothによる楽曲の再生が可能。W285×H187×D130mmのボディに5.25インチカスタムウーファーと4分の3インチトゥイーターを構え、背面には斜めの角度でフルレンジを2基搭載して、迫力あるサウンドを実現している。
しかも重さは約3.7kgでバッテリー駆動にも対応、IP65の防水機能も備えており、家の中はもちろん屋外でも常にB&Oサウンドを楽しめる点も魅力だ。会場ではやや控えめの音量で音楽を鳴らしていたが、周囲の会話を邪魔せず、でも楽器の質感まできちんと描き出していた。
そして会場2Fと3Fは、カリモク家具とのコラボレーションで、生活空間に溶け込んだ展示が行われていた。どちらも一見しただけでは、オーディオ機器やスピーカーは目に入ってこないが、フロアー全体には心地良いいバランスでBGMが流れている。
これはB&Oの機器を使ったマルチルームとしての提案で、例えば2Fスペースではキッチンの棚に「Beosound Emerge」(2021)、その手前のダイニングスペースに「Beosound A9」(2023)を、そして窓側に「Beosound Level」(2021)という3台のアクティブスピーカーが設置され、これらをシームレスにつないで音楽を鳴らしている。
それぞれのスピーカーは2〜5mほど離れているが、音は部屋全体を包み込むように広がって、粗密感もない。ハイファイ試聴のように音像の正確な定位とか微細な情報再現を求めるといった聴き方ではないが、常に音楽と一緒に過ごしたいという向きにはぴったりの環境といっていい。ワイヤレスなので電源ケーブルさえ確保すれば、設置の自由度が高いのもポイントだろう。
配信サービスの充実で、音楽を楽しむスタイルも変化している。B&Oの製品で、あなたのイメージにぴったりのシステムを構築してみるのも面白いだろう。(取材・文:泉 哲也)