パナソニックエンターテインメント&コミュニケーション(以下パナソニック)は2023年春の新製品テレビを発表した。有機ELテレビ2シリーズ5モデルと、4K液晶テレビ3シリーズ10モデルというラインナップだ。
●4Kマイクロレンズ有機ELテレビ
TH-65MZ2500(市場想定価格¥520,000、7月21日発売)
TH-55MZ2500 (市場想定価格¥370,000、7月21日発売)
●4K有機ELテレビ
TH-65MZ1800(市場想定価格¥400,000、6月16日発売)
TH-55MZ1800 (市場想定価格¥290,000、6月16日発売)
TH-48MZ1800 (市場想定価格¥270,000、6月16日発売)
●4K液晶テレビ
TH-75MX950 (市場想定価格¥530,000、7月21日発売)
TH-65MX950 (市場想定価格¥400,000、7月21日発売)
TH-55MX950(市場想定価格¥300,000、7月21日発売)
TH-50MX900 (市場想定価格¥190,000、7月21日発売)
TH-43MX900 (市場想定価格¥180,000、7月21日発売)
TH-75MX800(市場想定価格¥270,000、7月21日発売)
TH-65MX800 (市場想定価格¥200,000、7月21日発売)
TH-55MX800 (市場想定価格¥170,000、7月21日発売)
TH-50MX800(市場想定価格¥140,000、7月21日発売)
TH-43MX800 (市場想定価格¥130,000、7月21日発売)
ここでは有機ELテレビ2シリーズについて紹介する。
上位モデルのMZ2500シリーズは、マイクロレンズを搭載した新世代有機ELパネルを採用しているのが一番のポイントだ。
そもそもパナソニックは、自発光デバイスにこだわりを持っており、4Kについても、2017年に4Kプラズマテレビ「EZ1000」「EZ950」シリーズを発売するなど、前向きに取り組んでいた。市場での価格競争もあってプラズマテレビから撤退したが、その後も自発行ディスプレイの素晴らしさを追求し、有機ELテレビにプラズマで培った技術を盛り込んだ高品質なモデルを送り出している。
その有機ELテレビの絵作りでは、明るさ感の向上が問題だったという。そこでMZ2500シリーズでは、マイクロレンズ有機ELパネルでこの問題を解消している。これは微細な凸レンズ(1画素あたり数千個)を敷き詰めたマイクロレンズアレイと、有機EL発光層を一体成形した独自のパネル構造を持つ。レンズの凹凸に合わせて有機EL層にも凹凸を設け、両者を隙間なく一体化したことで、より高い輝度再現を可能にした。
新たにマイクロレンズ有機ELパネルに最適化したパネル制御技術「Bright Booster」も組み込まれている。これは入力信号の3次元映像解析(時間軸方向)を行い、同時にセンサーでパネルの温度を測定した結果を踏まえて、最適な電流制御アルゴリズムで有機ELパネルを駆動するものだ。
パネルの発光輝度を上げると放熱が問題になるが、これまでの独自素材を用いた放熱シートの貼り付けを継承し、その後方にバックカバー一体型の放熱プレートを追加した「デュアルメタルヒートレス構造」パネルとすることで対応している。
なおMZ2500シリーズでは独自のツールを使って一台ごとにパネルチューニングを実施し、業務用モニターにきわめて近い階調再現を実現している。これによって暗部表現のわずかな乱れも低減できているそうだ。
弟機のMZ1800シリーズは、昨年モデル「LZ2000」シリーズと同等の高輝度有機ELパネルを搭載(48型は除く)。独自素材を用いた貼り付け構造やバックカバー一体型放熱プレートといった技術を盛り込んだ、明るいパネルだ。
映像信号処理では、両モデルとも地デジとネット動画の画質改善に注力している。具体的にはヘキサクロマドライブで色の特徴を検出して補正を最適化することで、鮮やかさを保ったまま階調表現を向上させている。同時に肌色を検出して3D-LUT(ルックアップテーブル)で処理することで、より自然な人肌の表現を獲得したという。
ネット動画では、4Kファインマスターエンジンを改善した。通信速度などの影響で元の画質が変化した場合でも、自動的に適切な処理を加えることでノイズを抑制、精細感をアップさせている。ノイズ抑制とディテイルやエッジの再現の両立を叶え、さらに字幕もくっきり読みやすく再現するそうだ。
細かいことだが、環境光センサー連動機能も進化しており、部屋の明るさに応じて暗部の視認性を自動的に調整してくれる。これにより、暗いシーンで情報が潰れてしまうといった問題も解消されるだろう。HDRフォーマットは、HLG、HDR10、HDR10+(Adaptive)、ドルビービジョン、ドルビービジョンIQに対応済みだ。
スピーカーは、MZ2500はラインアレイスピーカー(本体正面下側)に加えて本体両側にワイドスピーカーと天面のイネーブルドスピーカー、背面のサブウーファー+パッシブラジエーターを搭載した「360立体音響サウンドシステム」を採用する。スピーカーの制御アルゴリズムを見直して、音の定位をさらに改善しているそうだ。
MZ1800は本体下側のL/Rスピーカーと天面のイネーブルドスピーカー、サブウーファー+パッシブラジエーター(48型は除く)という構成だ。
今回、ゲーム用のサウンドモードがふたつ追加された。「RPG」はセリフとBGMを強調したもので、「FPS」は足音を強調して敵を見つけやすくしたもの。音声モードはメニューから簡単に切り替え可能という。
ちなみにMZ2500、MZ1800は4K/120p、VRR、ALLMといったゲーム用信号に加え、新たにNVIDIA G-SYNC Compatibleにも対応を果たしているので、ゲームにこだわるユーザーにも喜ばれるだろう。