日本では昭和期に森繁久彌の主演舞台で一躍広まった『屋根の上のバイオリン弾き』(脚本;ジョゼフ・スタイン)。帝政ロシア下のユダヤ人の生活に迫った古典だ。個人的には哀感のこもった楽曲の数々も強く印象に残っている。「サンライズ・サンセット」を耳にして、八代亜紀の「雨の慕情」を思い出す(あるいはその逆も)という人も多かろう。
この映画は、『屋根の上のバイオリン弾き』そのものの背景に迫るドキュメンタリー。2022年アトランタ・ジューイッシュ映画祭最優秀ドキュメンタリー映画賞など、いくつもの栄誉に輝いた力作だ。全編、味わい深いフッテージの連続だが、1971年に映画化された時の撮影映像も相当良い状態で残されており、「あそこはこう撮られていたのか」的な発見にも事欠かない。製作から50年を経て、ノーマン・ジュイソン監督があらためてこの映画について語っているのも貴重だ。
ほか、音楽を担当したジョン・ウィリアムズ(かつてはジョン・タウナー・ウィリアムズというジャズ・ピアニストだった)、役者たちの談話も実に面白い。とくに“顔の毛”に関するパートには吹き出しそうになった。
製作・監督・編集;ダニエル・レイム、ナレーションはジェフ・ゴールドブラムが担当している。3月31日からヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク吉祥寺にてロードショー。
映画『屋根の上のバイオリン弾き物語』
3月31日(金)より ヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク吉祥寺にてロードショー
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