2026年に50周年を迎える“角川映画”をUHDブルーレイでリリースしていく「角川映画UHDプロジェクト」。これまで『戦国自衛隊』『蘇える金狼』『野獣死すべし』『化石の荒野』『友よ、静かに瞑れ』などが既に新たな4Kデジタル修復版として甦っている。
その最新作、第6弾となるのが『伊賀忍法帖』だ。劇場公開時はこれもまた人気作の『汚れた英雄』との2本立てで上映された1982年の作品である。原作は『魔界転生』の山田風太郎。監督は『戦国自衛隊』の斎藤光正。主演は同年、先に開催された「角川映画大型映画女優コンテスト」で50,000人(!)を超える応募者の中から選ばれた渡辺典子。本作が映画デビュー作だ。
『伊賀忍法帖 4Kデジタル修復 Ultra HD Blu-ray 【HDR版】』
¥10,780円(税込、4月28日発売)
●1982年●日本●カラー●本編100分●ビスタサイズ●音声(UHD、BD共通):日本語劇場オリジナル(2.0chモノーラル)、日本語コメンタリー(2.0ch)、英語 吹替(2.0chモノーラル)●日本語字幕
<スタッフ>●監督:斎藤光正●原作:山田風太郎●脚本:小川英●撮影:森田富士郎●音楽:横田年昭●特撮撮影:宮島正弘
<キャスト>真田広之、渡辺典子、美保純、風祭ゆき、中尾彬、成田三樹夫、千葉真一
奇想天外で時にエロティックな妖術も登場する伝奇ロマン時代劇。アクションスターの枠を超えて大人気だった真田広之も共演するなど、アイドル映画的な楽しさや面白さが盛り込まれた、いかにも1980年代初期の角川映画らしいエンタテインメント作品である。
本作の4Kデジタル修復版の作成にあたっては、撮影監督の宮島正弘氏が監修として参画。元大映京都撮影所の撮影部に所属され、近年では大映作品の4K修復化の際にも尽力されているのはご存知の通りだ。宮島氏自身も当時、この『伊賀忍法帖』には特撮パートの撮影として参加している。本編パートの撮影監督は同じく大映の先輩筋にあたる森田富士郎氏。宮島氏曰く、「大映の作品もこの『伊賀忍法帖』も、僕にとっては同じ京都のスタッフたちが作り上げた作品です」。
本作の大掛かりな撮影では苦労が絶えなかったという。「クライマックスのひとつで大仏が燃えるシーンがあるんですが、焼け落ちるはずの頭がうまく転ばなくてNGになったり、池の中から出てくる役者をカメラで捉えるのが難しかったり、苦心した思い出があります。火と水を使う撮影は思い通りにはいかないものなのでたいへんなんです」。
4Kデジタル修復のグレーディングのテーマは明快だ。「大映作品とはまた違った、撮影当時の狙い同様、スクリーンの隅々まで明るく見える画調の再現を目指しました」。レストアとグレーディング作業を担ったIMAGICAエンタテインメントメディアサービスのスタジオでいくつかのシーンを見る機会があった。高いコントラストをベースに、色彩感も豊富。渡辺典子や真田広之のフェイストーンも健康的だ。記憶を辿ると、当時のスクリーン上映時よりも鮮明に見えているかもしれない。
宮島氏は本作だけでなく、大映作品を始めとする往年の日本映画を4Kデジタル修復化して次代に引き継ぐことの大切さを常に訴えている。「美しく甦った4Kデジタル修復版で、これまでにさまざまな作品があったことをもっと知って欲しい。そのためにも4K化の作業を通して、一本でも多くの作品を次の世代の映画ファンの方々に遺していきたいと考えているんです」。
ディスク化にあたって、新たに収録されたオーディオコメンタリーには宮島氏も出演。他にも興味深いエピソードが数多く披露されているに違いない。『伊賀忍法帖』は4Kデジタル修復 Ultra HD Blu-ray【HDR版】として4月28日のリリース。お手元に届くまでもうしばらくお待ちいただきたい。