エミライでは、Bricasti Design（ブリキャスティ・デザイン）のフラッグシップD/Aコンバーター「M21」を本日発売する。定価は￥3,080,000（税込）。
M21は、左右独立した専用のリニア電源、D/Aコンバーター部、DDSクロッキング部、アナログ回路部を備え、デュアルモノーラル構造で究極のセパレーションを実現するフラッグシップD/Aコンバーターだ。
一番の特長は、DACセクションに3種類の変換方式「AD1955によるマルチビットΔΣ方式（PCM /DSDに対応）」「DSD専用ダイレクト変換回路（DSDのみ対応）」「PCM専用R-2Rラダー型回路（PCMのみ対応）」を搭載し、PCM/DSDのデータを理想的に再生してくれる点だろう。
「AD1955によるマルチビットΔΣ方式」では、DACチップとしてアナログ・デバイセズ社製「AD1955」を採用。AD1955は史上稀にみる電流振幅を持つ電流出力型DACチップで、低いゲインのI/Vで出力が取れるため、適切な回路設計によりTHD、ダイナミックレンジ共に優れた出力特性を実現する。さらに、このチップを左右それぞれに1基ずつ独立搭載したモノーラル動作を行っている。
次の「DSD専用ダイレクトアナログ変換方式」は、同社の「M12」「M3」で先行搭載された独自開発の変換回路。この回路では、ノイズフィルタリングとレベル制御はアナログ領域で行われるため、DSD信号へのデジタル処理は行われない。DSDがマルチビットΔΣやPCMに変換されることなく、純粋なアナログ回路によって変換されるため、DSDの開発理念に基づいた理想的な再生が行えるとしている。
最後の「20ビットR-2Rラダー型DAC方式」も自社で開発した。部品選定から回路構成に至るまでを自社の理想とする設計で行うことが可能となり、DACチップによるD/Aコンバートの制約から解放された理想的なPCM再生を行えるとのことだ。
なおAD1955では、DSDデータをマルチビットΔΣ信号に正確に変調してからアナログ信号に変換する機能を持っているが、DACチップに搭載されているデジタルフィルターには設計上の制約もあるそうだ。そこでM12ではDACチップ搭載のフィルターは使用せず、PCM用に独自に開発したリコンストラクション・アンチ・エイリアス・フィルター（デジタルフィルター）を搭載している。
DSD信号の変換に際しても、SHARC DSPチップを用いた独自開発のポストフィルターによるリコンストラクション処理を行っている。これにより、AD1955をモジュレーション処理のみに専念させることで、高品位なデジタル再生を可能とした。なお、M21の使用時には、リニアフェーズ・フィルターとミニマムフェーズ・フィルターが選択可能とのことだ。
M12は、ネットワーク・インターフェイス機能とメディア・レンダラー機能も準備する。これにより、ネットワーク上のDLNA互換オーディオデバイスとして認識させることも可能だ。M21のネットワーク・インターフェイスはPCM384kHz/24ビット、DSD128のデータ再生に対応している。
またM21は、信号処理回路、アナログLchとRchの出力回路が完全に独立した基板を搭載し、L/Rch間の干渉のみならず、デジタルノイズからの徹底的なアイソレーションを実現している。電源部には、左右チャンネルに1基ずつと、制御回路用に1基のリニア電源を用意。それぞれのチャンネルに安定した電源供給が行われている。
「M21」の主なスペック
●接続端子：AES/EBUデジタル入力、同軸デジタル入力（BNC、RCA）、光デジタル入力、USB、LAN、アナログ音声出力×2（XLR、RCA）
●対応サンプリング周波数（最大）：AES/EBU＝PCM192kHz、同軸デジタル＝PCM192kHz、光デジタル＝PCM96kHz、USB＝PCM384kHz/DSD256（Native and DoP）、イーサネット＝PCM384kHz/DSD128（Native）
●寸法/質量：W430×H110×D313mm/約8.6kg
