ソニーから、日本国内向けのAVアンプ新製品「STR-AN1000」が発表された。市場想定価格12万円前後(税込)で3月18日の発売を予定している。

 ソニーのAVアンプとしては「STR-DN1080」がコロナ禍での部品供給不足等もあって2020年末で生産を終了、弟モデルの「STR-DH790」等は継続発売されていたものの、上位機となるゾーンでは後継機が出ていなかった。今回6年ぶりの新製品リリースということで期待しているファンも多いだろう。

画像: STR-AN1000の本体サイズはW430×H156×D331mmで重さは10.3kg

STR-AN1000の本体サイズはW430×H156×D331mmで重さは10.3kg

 そのSTR-AN1000は、7.1ch対応機で、ドルビーアトモスやDTS:X、360 Reality Audioなどのデコードにも対応している。また独自の「360 Spatial Sound Mapping」機能を備え、複数のリアルスピーカーからの音波を合成することで、理想的な位置に配置されたファントムスピーカーから臨場感あるサラウンド音場を再現してくれる。つまりリビング用途などでスピーカー配置に制限がある場合でも、優れたサラウンド体験が可能になるわけだ。

 その機能を活かすため、自動音場補正機能の「D.C.A.C. IX」(デジタル・シネマ・オート・キャリブレーション IX)も搭載されている。付属の測定マイク(STR-DN1080と同様のステレオマイク)を使い、スピーカー配置を3次元(距離、音圧、周波数特性、角度)で正確に測定、補正を行うものだ。従来の「D.C.A.C」からの進化点としては、角度(高さ)の補正ができるようになっており、これはドルビーアトモスなどのトップスピーカーも正しく測定するためという。

画像: D.C.A.C. IXの操作メニュー。写真はスピーカー距離の測定結果を表示した状態

D.C.A.C. IXの操作メニュー。写真はスピーカー距離の測定結果を表示した状態

 それもあり、D.C.A.C. IXでは付属のマイクスタンドを使って2回測定を行う。最初はスタンドの上側にマイクを置いて測定し、次にスタンドの下側に90度回転させた状態でマイクを設置して、2度目の測定を行う仕組だ。これにより正確な3次元測定が可能になるそうだ。

 なお測定の前に天井高やモニターまでの距離、床から画面中央までの高さなどを入力するメニューも準備されており、これらの情報を活用してセンタースピーカーリフトアップ機能なども実現している。他にも「A.P.M.」(オートマチック・フェーズ・マッチング)や「スピーカーリロケーション」「ファントム・サラウンドバック」(内部処理で7.1.2に対応)といった補正機能を備えている。

 新しい提案としては、サウンドバー用に発売されているワイヤレスサラウンドスピーカー「SA-RS5」「SA-RS3S」や、ワイヤレスサブウーファー「SA-SW5」「SA-SW3」にも対応した。ケーブルなしでもリアスピーカー(1ペアのみ)やサブウーファー(同一モデルであれば2台まで)を簡単に追加できるのは、特にリビング設置などで喜ばれるだろう。

画像: リモコンとマイクも付属する(左)、写真右の測定用マイクスタンドも同梱されており、D.C.A.C. IXでセットアップする場合にはこれを使うことになる

リモコンとマイクも付属する(左)、写真右の測定用マイクスタンドも同梱されており、D.C.A.C. IXでセットアップする場合にはこれを使うことになる

 ハイレゾ音源については最大192kHz/24ビットのPCMとDSD11.2MHzの再生が可能。DSD5.6MHz/5.1ch、WAV/7.1ch、FLAC&AIFF/5.1chの信号にも対応済みなので、ハイレゾマルチチャンネル再生も楽しめることになる。

 MP3やCD、ストリーミング音源を独自のAIで解析し、サンプリング周波数とビット深度を拡張する「DSEE Ultimate」も搭載された。これにより、弦楽器の音の伸びや消え際の細かい音の再現性、楽器や女性ヴォーカルなどの高域の表現力も改善できることになる。

 デジタル処理回路では、音声信号処理のすべてを1チップで受け持つSoC(システム・オン・ア・チップ)を搭載。前モデルのSTR-DN1080では3基のDSPに分けて処理していたものが統合されたことで、D.C.A.C IXなどの音質がグレードアップしたそうだ。

画像: 新しくなったデジタル基板

新しくなったデジタル基板

 入力端子はHDMI入力を6系統備え、このうち2系統で8K/60pや4K/120p信号に対応した。HDMI出力は2系統装備。HDR10とHLG、ドルビービジョン、IMAX Enhanced、ゲーム用としてはALLM、VRRも受け付けてくれる。

 ネットワーク関連ではChromecast build-inやSpotify Connect、AirPlay 2に加え、works with SONOSとRoon Testedに対応した点が新しい。work with SONOSはSOSNOアプリから、Roon TestedはRoonアプリからの再生が可能になるもので、北米ではこれらの機能が必須になっていることを受けての採用という。

 ソニーが提供するMusic Centerアプリからの操作ももちろん可能で、GUIも新デザインに変更されたという。アプリからは入力切り替えや音響機能、サウンドフィールドの選択といった操作が可能となっている。

画像: リアパネルには6系統のHDMI入力と2系統のHDMI出力を装備。その他にデジタル音声入力(光、同軸)やアナログAV入力も搭載。映像信号はアナログからHDMI変換されるが、解像度等はオリジナルのままで出力する

リアパネルには6系統のHDMI入力と2系統のHDMI出力を装備。その他にデジタル音声入力(光、同軸)やアナログAV入力も搭載。映像信号はアナログからHDMI変換されるが、解像度等はオリジナルのままで出力する

 STR-AN1000の試作機で、いくつかのコンテンツを体験することが出来た。スピーカーは5.1.2環境で、360 Spatial Sound Mappingのオン/オフを切り替えてもらった。

 映画作品で、雪山で吹雪に襲われるシーンでは、360 Spatial Sound Mapping/オフでも吹きつける風の勢いがあって緊迫感も再現できているが、オンにすると氷の粒の実体感が増し、嵐の臨場感、怖さの再現が格段に上がる。セリフと画面の馴染みもよくなって、いっそう作品に入り込むことができた。

 音楽ライブでも、オンの方が絵と音の一体感が増して、会場の広さ、観客の盛り上がりなどさらに楽しい。360 Spatial Sound Mappingは音源が持っている音場の再現性を変えることなく空間を拡張してくれるので、積極的に活用するべき機能といえるだろう。

画像: 360 Spatial Sound Mappingのオン/オフはメニュー画面からも切り替え可能

360 Spatial Sound Mappingのオン/オフはメニュー画面からも切り替え可能

 なおStereoSound ONLINEでは、STR-AN1000の取材を予定している。3年振りのソニーAVアンプの実力を詳しくお届けするので、楽しみにお待ちいただきたい。

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