タクトシュトックでは、2023年1月10日よりスロバキアのCANOR AUDIO(カノア・オーディオ)の製品取り扱いを開始する。真空管フォノアンプ2機種からスタートし、来年早々には真空管インテグレーテッドアンプも発売予定とのことだ。
●真空管フォノアンプ
PH1.10 ¥1,210,000(税込)
PH2.10 ¥770,000(税込)
PH1.10は、カノア・オーディオのフラッグシップ・フォノプアンプだ。合計9本の真空管が搭載されており、ひとつは6CA4EHでアノード電圧の整流に使用、残りの8本は6922EH双三極管という構成だ。MM信号の増幅、RIAAカーブの補正は純粋なパッシブ回路で行われ、最後に真空管ではきわめて低インピーダンスなバランス出力段を形成するために、チャンネルあたり4つ、合計8つの三極管が使用されるという。
青色アルマイト処理されたアルミニウム製シールド・シリンダーは真空管を振動や電磁干渉から保護。使用される真空管はカノアが誇るAladdin試験システムを用いて細心の注意を払って測定・選別されたものだけが採用・マッチングされている。
内部は3つの領域に分けられ、フロントパネルの後ろはコントロールとユーザーインターフェイス部、もうひとつは金属製ボックスに収められたトランスを備えた電源部、そして最後は個別基板と2つのステップを備えたゲイン領域となっている。
PH2.10は、PH1.10の弟分となる製品。増幅のための真空管は1段/2段目が12AX7で構成され、サブソニック・フィルターを通過。その後3段/4段目は12AT7によって増幅される。RIAAカーブの補正は純粋なパッシブ回路で行われ、青色アルマイト処理されたアルミニウム製シールド・シリンダーが真空管を振動や電磁干渉から保護している。
近年ではその手間から使われる事が少ない真空含侵トランスを採用し、機械的なハムノイズや混入ノイズの低減に威力を発揮。トランス全体は特殊な防振材が用いられ、トランスの一次側と二次側の巻き線は50%オーバーラップしたシールディング・カッパーで分離されており、ネットワークなどの干渉電圧の侵入を防いでいる。
信号経路には高品位なポリプロピレン・コンデンサーのみが使われ、全体的なフィードバックがない設計となっているだけでなく、回路にはカノアが誇るオリジナルCMTテクノロジーが採用されている。MC入力にはPH1.10同様高品質ルンダール製ステップアップトランスを使用。
「PH1.10」「PH2.10」の主な特長
●MM/MC両フォノ・カートリッジに対応した真空管プリアンプ
●MM/MCは干渉せず同時接続が可能
●フロントパネルのノブとボタンにより、MM/MCの選択や各セットアップが可能
●グローバル・フィードバックがない回路設計
●PCB基板にはカノア・オリジナルCMTテクノロジーを採用
●自社開発測定機を用いた徹底的な測定と選別による使用真空管のマッチング
●真空含浸(vacuum-impregnated )トランス・コア
●特殊な防振材を使用したトランス
●高品質なポリプロピレン・コンデンサーのみを使用
●MCフォノ・カートリッジ用に高品質なルンダール(Lundahl)社製トランスを採用
またタクトシュトックは、今後、真空管式のインテグレーテッドアンプやD/Aコンバーターの発売も予定している。いずれも2023年春頃のリリース予定で、主なラインナップは以下の通り。
●真空管プリメインアンプ
AI1.10 ¥1,430,000(税込)
KT88ハイパワー管4本を使った真空管プリメインアンプ。オートバイアス機能を備え、トライオードモード(20W)とウルトラリニアモード(40W)の切り替えをスイッチひとつで行える。PH 1.10同様、ブラックカラーとシルバーカラーをラインナップ。
AI2.10 ¥770,000(税込)
出力150W(4Ω)のハイブリッド・プリメインアンプ。正確なリレーアッテネーターを備えた真空管プリアンプ部(6922×2)とリニア電源を搭載したクラスDパワーアンプのコンビネーション。
●D/Aコンバーター
DAC2.10 ¥770,000(税込)
6922管×4を使用した真空管DAコンバーターで、ESSSabre ES9038Q2M DACチップをデュアル・モノーラル構成で搭載。PCM768kHz/DSD512/MQAフォーマットにフル対応する。