スマートホンは、いまや世代、性別、地域の垣根を越えて広く浸透し、コミュニケーションツールとしてのみならず、日々の生活に欠かせないキーデバイスになっています。その傑出した能力は、当然ながら音楽再生の分野でも遺憾なく発揮されています。
ここでは、5月に小社から発行したムック「かんたん、わかりやすい スマホで始めるオーディオ&ネット動画再生読本」の中から、スマホを音楽の再生機として、ハイレゾ音源の醍醐味を体験するための知識、ノウハウ、システムづくりのあり方などを紹介した記事を、順次掲載していきます(全36回を予定)。
今回は、安定して、音もいい。有線でスマホをオーディオ機器につなごうというテーマのなかで、iPhoneとオーディオ機器との接続をご紹介します。
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パターン1 変換ケーブルで直結
Lightning / USB Type B変換ケーブル
メリット
かんたん、(アダプター経由に比べて)音がいい
デメリット
アップル純正品がないので、今後継続的に使えるか不透明
MeloAudio Lightning / USB Type B変換ケーブル
iPhoneのLightning端子とDAC内蔵のオーディオ機器の接続パターンは大きくふたつに分けられる。まずLightning/USB Type B変換ケーブルを使用して、両者を直結するというパターンだ。
ケーブル1本で完結して接続できるため、アダプターを経由させるパターンに比べると、シンプルでかんたん。接点数が最小限となり、接続の信頼性も高い。またアダプターを併用したケーブル接続で問題になりやすい、ノイズの発生、波形の乱れといった影響も最小限に抑えられるため、音質的にも好ましいケースが多い。
ただ現在、このタイプのケーブルはアップル純正品では現時点では存在しない。やや特殊なケーブルということもあり、いまのところ無名メーカーの製品に限定されている。品質的での不安があることと、今後継続的に使えるかについても不透明と言わざるを得ない。少なくとも千円以下で購入できるような極端に安いケーブルは避けておいた方が無難だろう。
ちなみにLightning/USB Type Cのアップル純正品は存在するが、給電専用タイプのようで、これはUSB Type C入力端子を持つポータブルDACとの接続には使えない。
もうひとつの方法は、まずLightning端子から「カメラアダプタ」を経由させて、USB Type A/Type B変換ケーブルで接続するという「変換アダプター」と「ケーブル」を使用する接続方法だ。Lightning/USB Type B変換ケーブルを使う接続に比べると、対応できるオーディオ機器が多く、音質対策が施された高品位な「オーディオ用」USBケーブルが使用できるというメリットがある。
反面、アダプターとケーブルを使うため、費用面の負担は大きくなりやすく、両者の接点の不具合も問題になりやすい。またアップル純正の「カメラアダプタ」にも「Lightning to USBカメラアダプタ」と「Lightning to USB3カメラアダプタ」の2種類があり、組み合わせるオーディオ機器によっては、前者では電力不足になり信号伝送ができないケースもあるので要注意だ。この場合、オーディオ機器側の仕様により、給電が必要になり、後者のアダプターで別途給電しながら、音楽再生を行なう必要がある。
パターン2 カメラアダプタ経由
カメラアダプタ➡USB Type A/Type B変換ケーブルで接続
メリット
多くの場合接続可能。高品位USBケーブルが使用できる
デメリット
やや面倒。接点が増える
注意! カメラアダプタには2種類あり
Apple純正のカメラアダプタは2種類が存在している。「Lightning to USBカメラアダプタ」(上。¥3,850税込)、下が「Lightning to USB3カメラアダプタ」(下。¥4,950税込)。一般的には前者で問題ないが、オーディオ機器側の仕様によっては、給電が必要になり後者を使用しなければいけないケースがある