スマートホンは、いまや世代、性別、地域の垣根を越えて広く浸透し、コミュニケーションツールとしてのみならず、日々の生活に欠かせないキーデバイスになっています。その傑出した能力は、当然ながら音楽再生の分野でも遺憾なく発揮されています。

ここでは、5月に小社から発行したムック「かんたん、わかりやすい スマホで始めるオーディオ&ネット動画再生読本」の中から、スマホを音楽の再生機として、ハイレゾ音源の醍醐味を体験するための知識、ノウハウ、システムづくりのあり方などを紹介した記事を、順次掲載していきます(全36回を予定)。

今回は、音楽サブスクでいま注目されている「空間オーディオ」についてお届けします。

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 音楽サブスクでいま注目されている新たなサービスが「空間オーディオ」だ。5.1chや7.1chのサラウンド環境に天井スピーカーを加えることで立体音場を体験できる音声フォーマット「ドルビーアトモス」を採用した映画コンテンツがこの10年ほどで多くなり、映画館や本格的なホームシアター環境で楽しめるようになっているが、「空間オーディオ」はその音楽サブスク版。Apple MusicやAmazon Musicを中心に、いくつかの音楽ストリーミングサービスが対応音源を配信している。基本的にはドルビーアトモスを採用した音楽コンテンツが「空間オーディオ」と呼ばれており(Amazon Musicなどは「360 Reality Audio」という別の規格で作られた音源も空間オーディオに含まれる)、イヤホン&ヘッドホンや2chスピーカーでバーチャル的に立体音場を実現する。

 たとえばApple Musicでは、アプリの再生画面に「Dolby Atmos」のバッジが表示されているのが空間オーディオ対応音源で、追加料金なしにすべての音源を楽しむことができる。アップルのサービスなので、iPhone/iPad/Mac/Apple TV 4K(テレビやAVアンプとの接続でネット動画や音楽サブスクを再生できるセットトップボックス)と同じくアップル製のAirPods Pro(ワイヤレスイヤホン)/AirPods Max(ワイヤレスヘッドホン)/HomePod mini(スマートスピーカー)との組合せが推奨されているが、ドルビーアトモス対応機種ならAndroidスマホでも再生可能であるほか、アップル製以外のイヤホン&ヘッドホンでもその効果を体験できるなど、汎用性も広い。

立体音響の効果は限定的。ホームシアターでこそ真価を発揮する

 とはいえ「映画館で楽しめるような大迫力の立体音響が楽しめる」という期待は抱かないほうがよい。イヤホン&ヘッドホンの再生では音が広がる効果はきわめて限定的で、こと「音質」面だけを考えると「ステレオ再生」で楽しんだほうが魅力的に思えるケースが多いのが現状だ。

 その意味では、本格的に空間オーディオを楽しみたいという方には、「Apple Music」の空間オーディオ再生楽曲を「Apple TV 4K」で再生し、「ドルビーアトモス対応AVアンプ」と「リアルアトモススピーカーシステム」で楽しむことをおすすめしたい。「スマホで楽しむ」という趣旨からは外れてしまうが、ドルビーアトモスに対応したホームシアター環境にApple TV 4Kを組み合わせることで、イヤホン&ヘッドホンやスマートスピーカーとはレベルの異なる本格的なイマーシブ(没入)体験が得られるからだ。

AndroidスマホでAmazon Musicの「ドルビーアトモス」音源を再生したときのステータス画面。楽曲とスマホと出力デバイスがすべて「ドルビーアトモス」の表示となり、正しく再生していることがわかる

iPhoneでのApple Musicの「空間オーディオ」設定画面。アップルが推奨している空間オーディオ対応デバイス(AirPods Proなど)をつないだ場合は、「ドルビーアトモス」を「自動」にしておこう

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